それ、言う必要あった？　メルセデス代表、元同僚ボウルズの“シューマッハー下げ”に苦言「彼はストレートに言い過ぎることがある」

　ウイリアムズのジェームス・ボウルズ代表は、後半戦のドライバー候補のひとりとされていたミック・シューマッハーについて、それほど高く評価していないという旨のコメントをした。これについてメルセデスのトト・ウルフ代表は、そういった発言はすべきではなかったと語った。

　ウイリアムズは、成績不振のローガン・サージェントをオランダGPをもって解雇。その後任候補としては、リアム・ローソンやシューマッハーの名前が挙がっていた。しかしレッドブル育成のローソンは、必要さえあればすぐに呼び戻せるようにすることをレッドブル側が求めたため、候補から外れた。

　そのためハースF1で2シーズン参戦した経験を持ち、今はメルセデスのリザーブドライバーを務めるシューマッハーが有力な選択肢と見られていたが、最終的にチームは育成ドライバーであるフランコ・コラピントを昇格させることを決断した。

　この決断について、ボウルズ代表は次のように説明した。

「ミックはハースにいた時よりもかなり成長した。そのことに疑いの余地はない。アルピーヌ、メルセデスなどで素晴らしい仕事をしてきた」

「確かにミックは良い仕事をしてきたが、ミックを乗せるかどうか、もしくは我々のアカデミーの一員であり、シミュレータで何百周も何千周も走り、明らかに大きなステップを踏んでいるドライバーに投資をすべきか……そういう決断を迫られた」

「そのどちらについても、“良いドライバーだが特別ではない”というカテゴリーに入ると私は思う。そこについては正直に言うべきだと思う。ミックは特別なドライバーではなく、あくまで優秀なドライバーだ」

　一方でメルセデスのウルフ代表は、苦境に立たされていたハースで2年間走ったシューマッハーには再びチャンスが与えられるべきだと声高に主張してきた。そんな彼は、かつてメルセデスで共に戦っていたボウルズ代表の発言について苦言を呈した。

「彼は（メルセデスで）戦略家だったので、当然彼のことは長年知っている」

　ウルフはSky Sports F1にそう語る。

「彼は時々、ストレートに言い過ぎることがある。彼はしなくてもいい発言だった」

「ミックはF4、F3、F2とあらゆるカテゴリーを制してきたし、残酷なほど厳しいギュンター（シュタイナー代表）の下で戦ってきた。そしてそれはおそらく、ドライバーとして成長するために必要な環境ではなかった」

「だからこそ、彼にはチャンスが与えられるべきなのだ。彼にチャンスを与えないのであれば、コメントするべきではない。それが私の考えだ」

　なお、レギュラードライバーとしてチャンスを得たコラピントは、デビュー戦となるイタリアGPのフリー走行2回目でチームメイトのアレクサンダー・アルボンとコンマ2秒差の17番手。トップ集団からは約1秒遅れだった。

　またコラピントのF1昇格を受けて、ウイリアムズは彼の地元であるアルゼンチンの企業とスポンサーシップ契約を結ぶなど、経済面での影響も表れはじめている。