F1 カナダGP

2026年規則への懸念に対処するFIAの”燃料流量増加案”について、複数メーカーが反対の意向「すでに2年も前から開発が進んでしまっているんだ」

2026年からの新レギュレーション下で生み出されるマシンについて、パフォーマンスが低すぎるという懸念に対応するため、エンジンの出力を当初の予定よりも引き上げる案が出ているが、PUメーカーはこれに反対の姿勢を取っている。

Toto Wolff, Team Principal and CEO, Mercedes-AMG F1 Team, on the pit wall

 F1は2026年から新しい規則の下で生み出される、新しい規格のマシンが登場する予定だ。この概要が先日発表されたが、そのパフォーマンスはあまりにも低すぎるという懸念が、各方面から噴出している。

 これに対処するために、エンジンの出力を引き上げる案も示されているが、F1に参戦するパワーユニット(PU)メーカーは、すでに当初予定されていた規格での開発が進んでいるとして、難色を示している。

 2026年からは、エンジンの出力と電気モーターの出力を均等にした、新しいPUが登場する予定で、すでに詳細なレギュレーションが発布されている。各チームはこのレギュレーションに応じてPU開発を進めており、テストベンチでの稼働も始まっている。

 この新PUに伴い、2026年からはシャシーに関するレギュレーションも変更される。この概要がカナダGPの直前に発表されたが、これまでのシミュレーションでは、コーナリングスピードが異様に遅く、直線スピードが異様に速い、アンバランスなマシンになる可能性が高いとされる。

 このマシンはF1と呼ぶには相応しいモノではないという声も高く、チームやドライバーからは多くの懸念が寄せられている。FIAはこの懸念に対処するため、正式決定までまだまだ調整する可能性があると指摘。そのうちのひとつが、エンジンの出力を引き上げるというものだ。

 2026年のPUでは、エンジンと電力のパワーを均等にするため、エンジンに送られる燃料の流量を、現行のモノよりも大きく引き下げる方針だ。しかしこの燃料流量を引き上げることによって、エンジンの出力を向上させ、マシンのパフォーマンスも引き上げようというのが、この対策の狙いである。

「微調整が必要な場合には、PUメーカーが協力してくれると確信している」

 FIAのシングルシーター担当ディレクターであるニコラス・トンバジスは、カナダGPの際にそう語った。

 しかしPUの規則はすでに詳細が決定しているため、その内容に変更を加えるためには、全メーカーの賛成が必要となる。ところがこの新PUの開発はかなり進んだ段階にあるため、燃料流量の引き上げなど、変更を加えるのは簡単なことではなさそうだ。

 メルセデスのチーム代表であるトト・ウルフ代表は、これについて次のように語った。

「パワーユニットの側で言えば、時すでに遅しと言えるだろう」

「遅れていると感じているチームもあれば、良い仕事ができていると感じているチームやメーカーもある。それが、レギュレーションに関する通常の葛藤だ」

「シャシーの側では、微調整が必要となる可能性がある。しかしエンジンの側で言えば、その開発プロセスはあまりにも進んでしまっている」

 アルピーヌのチーム代表であるブルーノ・ファミンは、ここまで数年に渡って新しいエンジンの開発に取り組んできたため、今更変更を加えるのは難しいと認めた。

「シャシーの面では、これまでほとんど何の開発も行なわれていない。まだレギュレーションが出来上がっていないんだからね」

 そうファミン代表は言う。

「しかしPUについては、ここまで2年間も開発をしてきたんだ」

 燃料流量が増えれば、エンジン内部でより多くの燃料が燃え、それが出力の向上につながるわけだ。しかしF1のエンジンはギリギリの設計……当初の燃料流量に合わせて、たとえばエンジンブロック等の”贅肉”を極限まで削り取ったり、それに合わせた冷却能力を考えたりといった作業も既に行なわれているはずだ。つまり、流量が増えたことによる圧力や熱の増加には耐えられない可能性も考えられる。彼らはそういうことを懸念しているのだろう。

 一方でレッドブルのクリスチャン・ホーナー代表は燃料流量増加など、変更を加えることを容認する、そういう構えだ。レッドブルは2026年から、自社傘下のPU部門”レッドブル・パワートレインズ”製のPUを使う予定で、その開発に難航しているとも言われている。

「変更を望まないチームは常に存在するものだ」

 そうホーナー代表は言う。

「しかし、それはFIA次第だ。以前から言ってきたとおり、変更するのが遅すぎるということはない」

「彼らは、あらゆる知識とシミュレーションの結果を持っている。結局のところF1にとって何が最善か、何が最高のレースを生み出すことにつながるのかということを考えなければいけない。だからFIAとFOMが、正しい判断を下してくれると信頼しなきゃいけない。必要なことかどうかは分からないが、彼らは理解するための知識を全て持っているはずだ」

 

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