金丸悠「シューマッハーから勝利の”貪欲さ”を学んだ」

motorsport.comはヨーロッパをレース活動の本拠として戦う、22歳若手ドライバー金丸悠を独占取材。

  金丸悠は、F1を目指す若き有望株のひとりだ。幼い頃ポケバイに憧れ、その後カートに乗ったことでモータースポーツに目覚め、欧州をレース活動の本拠にして戦ってきた。休暇で日本に戻った金丸にmotorsport.comはインタビューすることができた。

金丸悠(yu kanamaru)
金丸悠(Yu Kanamaru)

Photo by: Motorsport.com

 2016年は金丸にとってフォーミュラV8 3.5のデビューイヤーだったが、『不完全燃焼』な年になったという。しかし、彼の表情からは失念や不安のようなマイナス感情は伺えず、彼の瞳はすでに2017年シーズンを捉えている。

 12月にヘレスで行われたテストに参加した彼は、トップチームであるアーデンのマシンに乗り、手応えを感じたという。彼は、エンジニアの力の重要さに気付いたのだ。

「結果的には不完全燃焼なシーズンになりました」

 金丸はそう語る。

「以前のチームと、今回のテストで乗ったアーデン・モータースポーツではエンジニアのアプローチに違いがありました。アーデンは、エンジニアがマシンのセッティングだけでなく、ドライバーに対して走り方も指摘してくれるんです。良いところをさらに伸ばしていこうというアプローチですよね。良いタイムを出しても、もっとここがタイムを削れると指摘してくれました」

「一方、前のチームは悪いところを改善しようというアプローチ。それによって良さもなくなってしまい、中途半端な仕上がりになってしまっていたことが分かりました」

 金丸は良いエンジニアをつけることが、勝利を掴むための鍵だと考えている。来季に向けてはいくつかのチームから声がかかっているが、その“良いエンジニア”がいるチームに入ることを目指すという。しかし、そのような体制を手に入れるためには、実力が必要なのは言うまでもないものの、それだけではまだ足りない。実際に、実力は認められたとしても、F1にたどり着くことができなかったドライバーはゴマンといる。

 ひとり欧州での戦いを続ける金丸は、F1を目指すのに2つの要素が必要だと考えている。

「今僕は22歳で、25歳までにF1に乗れないと厳しいと思っています。F1に行ったとしても1回パッと乗って終わってしまうドライバーもいると思いますが、僕はコンスタントに乗れないとダメだと思っていて、そのためには成績と”土台”が必要だと感じています。土台というのはシンプルにお金です。今のカテゴリーに参戦するためにも年間3億円は必要です。F1ともなると年間30億円になるので、そのためにスポンサー探しをしています。日本を拠点とした(スポンサーへの営業活動をする)チームが出来てきていて、そのうちの何人かの人たちと共に企業を回ったりしています」

「スポンサーにお話をする時は、『F1へ』というよりも、『日本の若者を世界に出しませんか?』というアプローチの仕方をしています。そういう風にアピールした方が話を聞いていただきやすいです。その話の中で興味を持ってくださった方には、自動車大国の日本でF1ドライバーがいないのに、メーカーのないスペインなどでは多くのF1ドライバーを輩出している実態をお話します。(日本人としての)プライド的にも悔しくないですかという風に」

「それと同時に成績もしっかり残すことができれば、絶対(F1に)いけると思っています」

「現時点ではスポンサーが固まっているわけではありませんが、どこかひとつでも支援を決めていただければ、それに続いて多くのスポンサードを受けることができると思っています」

 また金丸は、若手のドライバー育成プログラムを利用せず、個人で戦う理由を明かした。

「海外でもフェラーリなど若手ドライバー育成しているところがありますが、結局はお金が必要となってくると思います。だから、自分でやらなきゃいけないと思います」

敬愛するシューマッハーの教え

金丸悠(yu kanamaru)
金丸悠(Yu Kanamaru)

Photo by: Motorsport.com

 金丸と話していると、自らの目標に向けた貪欲さのようなものを感じた。一体、彼のその貪欲さはどこから来るのだろうか。

 その秘密は彼が尊敬しているドライバーに関係しているようだ。彼は最も敬愛するミハエル・シューマッハーと約1週間、共にカートに取り組む機会があった。

「2011年に、ラスベガスで開催されるカートのお祭りにシューマッハーさんが来たんです。僕のチームのオーナーがシューマッハーさんと知り合いで、僕が彼のことが好きなのを知っていて『行くか?』と誘ってくれ、僕は2つ返事でラスベガスに飛びました。初めてシューマッハーさんに会いに行く時、彼はテントの中にいたのですが、あまりにもオーラが凄すぎて15分くらいテントには入れませんでしたね。その時の彼はすごくピリピリしていたのですが、夜にホテルのエレベーターで偶然会った時は、とてもフランクに話しかけてくれました」

「彼の勝ちに対する貪欲さは凄かったです。カートのお祭りといえど、シートを自分で測ってミリ単位で調整するんですよ。車載カメラを自分で取り付けてドライビングを分析したりもしていました。本当にピリピリしてて近寄れなかったです。そういうところを知って、オンオフの切り替えがすごいなと思いました」

「彼は僕のレースを見ていてくれたんです。そのレースで僕は2位だったのですが、彼は、(ある意味ルール違反とも言えることをしてでも)”何がなんでも勝たなきゃダメなんだ”ということを僕にアドバイスしてくれました。彼と触れ合うことで勝ちに対する姿勢を学んだと思います」

日本でのレースも視野に

 長年海外を主戦場にF1を目指している金丸だが、将来は日本のレースにも出走したいと語る。

「いつになるかはわかりませんが、日本に戻ってきて、日本のレースにも出場したいです。スーパーGTも速いですし、スーパーフォーミュラも(ストフェル)バンドーンが敵わなかったくらいレベルが高いですから」

「でも今はF1に行くことが目標です。来季はチーム自体は僕を選んでくれていて、あとは資金面だけです。まだ乗れない可能性もあるのでそこは不安ではありますが、ひとまずそこまでの道筋が見えていて、来季乗ることができれば確実に成績を挙げられると思うし、自分の中でもステップアップができると自信を持っています。あとは来季しっかりレースできるように、自分がどれだけ努力できるかというところですね」

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シリーズ フォーミュラ・ルノー V8 3.5 , F1 , スーパーGT , スーパーフォーミュラ
記事タイプ インタビュー