motorsport.com編集部が選ぶ2017年モータースポーツTOP10レース
今年も、様々なカテゴリーで素晴らしいレースが繰り広げられました。motorsport.com日本版編集部が選ぶ今年のTOP10レースをご紹介
Marc Marquez, Repsol Honda Team, Andrea Dovizioso, Ducati Team
Gold and Goose / Motorsport Images
2017年も残りあと少し。今年も、様々なカテゴリーで数多くのレースが行われました。今回はmotorsport.com日本版編集部が選んだ今季のモータースポーツTOP10レースをご紹介。あなたが選ぶベストレースは、一体何だったでしょうか?
10位:ブエミにまさかの落とし穴。ディ・グラッシが初戴冠
フォーミュラE 最終戦モントリオールePrix
今季6勝と圧倒的な強さを誇っていたシーズン2王者のセバスチャン・ブエミ(ルノーe.ダムス)。しかし、シーズン3の最終戦でまさかの展開が待っていた。
ブエミがWECとの日程重複でニューヨークでの2レースを欠場していた間に、ルーカス・ディ・グラッシ(アプト・シェフラー・アウディ・スポート)が差を詰め、10ポイント差で最終決戦を迎えた。
すると追われる立場に焦ったか、ブエミがフリー走行で大クラッシュ。怪我はなかったものの、バッテリー交換によるグリッドペナルティを余儀なくされてしまう。
対するディ・グラッシはレース1を見事ポール・トゥ・ウィン。ブエミは後方から4位まで追い上げるも、レース後車検で重量違反が発覚し、まさかの失格。これでディ・グラッシがポイントリーダーに立つと、ブエミがレース2もノーポイントで終わったことで、ディ・グラッシが初のフォーミュラEタイトルを獲得した。
2レースの欠場が痛かったものの、最終戦は明らかに精彩を欠いていたブエミ。チームにもミスがあり、いかにチャンピオンシップを勝ち切ることが難しいかを改めて思い知らされたレースだった。
9位:ハミルトン逆襲のきっかけ!? 追撃を振り切った跳ね馬のワンツー
F1 第11戦ハンガリーGP
レギュレーションが大きく変わり、新時代を迎えたF1。シーズン前半からフェラーリとメルセデスの直接対決が繰り広げられた。
モナコを得意としたフェラーリは、ハンガロリンクでもセバスチャン・ベッテルとキミ・ライコネンが快走を見せ、それをバルテリ・ボッタスとルイス・ハミルトンのメルセデス勢が追う形となった。
しかしベッテルのステアリングにトラブルが発生。ペースが落ちるとトップ4が一気に接近した。
メルセデスがチームオーダーでハミルトンを先行させた一方、フェラーリはライコネンにベッテルの護衛をさせた。ハミルトンは果敢にライコネンに襲いかかるが、ポジションアップを果たせず、最終ラップでボッタスに順位を譲った。
結果的にフェラーリがなんとかワンツーフィニッシュを果たし、ベッテルが14ポイントのリードを持って夏休みを迎えた。しかし”2度とボッタスに先行させてもらうようなことはしない”と誓ったハミルトンは、夏休み明けから3連勝を飾ることになる。
8位:中上貴晶、MotoGP昇格発表直後に魅せた会心レース
Moto2 第12戦シルバーストン
2018年からMotoGPへ昇格することが8月20日に発表された中上貴晶。その1週間後に行われたシルバーストンでのレースで、会心のレースを見せた。
多くの注目が集まっている中、序盤は冷静にレースを進めた。中盤以降、同じくMotoGP昇格が既に決まっているフランコ・モルビデリやトーマス・ルティを交わし、一気に前に出た中上。最後はペースをコントロールし、Moto2クラスでの2勝目を挙げた。
周囲に様々な”雑音”があったことは想像に難くないが、それに惑わされることなくチームと力を合わせて理想的な勝利を飾って見せた。
来年はLCRホンダから世界最高峰クラスに挑戦する中上。世界の頂点を目指し、これからも高く険しい道のりを歩み続けていく。
7位:最後の鈴鹿1000km、ナカジマレーシング10年ぶり優勝
スーパーGT 第6戦鈴鹿1000km
伝統の鈴鹿1000kmが幕を閉じる今年、優勝を飾ったのは#64 Epson Modulo NSX-GT。ナカジマレーシングにとっては2007年の最終戦で優勝して以来、10年ぶりの優勝となった。
レースは序盤から#17 KEIHIN NSX-GTが好ペースを発揮。順調に首位を走行していた。しかしそこは長丁場の1000kmレース。路面温度が下がってきたコンディションにダンロップタイヤがマッチし、#64 Epson Modulo NSX-GTが一気にペースを上げ、首位を奪取した。
ミスやトラブルで戦線を離脱するマシンが出る中、着実にマシンをゴールに持ち帰った松浦孝亮。レース後の記者会見では「レーサーとしてまだやれるんだと思えた」と、男泣きを見せた。
ジェンソン・バトン&小林可夢偉の参戦や、GT300クラス優勝の#65 LEON CVSTOS AMGが見せた2周目ピットインという大胆な作戦、終盤に#100 RAYBRIG NSX-GTの山本尚貴が見せた激走など、伝統のレースの有終の美を飾るのにふさわしい名レースだった。
6位:ライバルも驚く大胆戦略見せたTEAM LEMANS。ガスリー連勝
スーパーフォーミュラ 第5戦オートポリス
海外ドライバーの参戦が続き、注目度が上がっているスーパーフォーミュラ。今季はピエール・ガスリー(TEAM MUGEN)とフェリックス・ローゼンクヴィスト(SUNOCO TEAM LEMANS)がその実力を見せつけた。
オートポリス戦は2スペックのタイヤが持ち込まれたが、ガスリーは上位陣の中で唯一ソフトタイヤスタートを選択。抜群のスタートで2番手とすると、タイヤをうまくマネージメントしトップに浮上。前戦もてぎからの連勝を飾った。
正攻法で優勝を飾ったガスリーに対し、SUNOCO TEAM LEMANSが採った作戦は見ている誰もが驚愕するモノだった。ローゼンクヴィストは4周終わりでピットインし、ソフトタイヤでの超ロングランを敢行。彼がピットインしたタイミングはライバルたちから見てもガス欠必至だったが、見事に燃料セーブを成功させチームメイトの大嶋和也と共に表彰台に上がった。
5位:トヨタ、WRC復帰からわずか2戦目で総合優勝!
WRC 第2戦ラリー・スウェーデン
今年からWRCに復帰したトヨタ。その初優勝は、復帰からわずか2戦目に訪れた。
開幕戦ラリー・モンテカルロで2位を獲得したトヨタのヤリ-マティ・ラトバラは、ラリー・スウェーデンの3日目を終えて首位に立っていた。
最終日もラトバラの猛進は続く。SS16、SS17でもトップタイムをマークしたラトバラは、2番手以下との差をぐんぐん広げていった。
ボーナスポイントが与えられる最終SS、パワーステージでもラトバラの勢いは止まらない。鬼気迫る走りを見せたラトバラは、パワーステージでも最速タイムをマーク。29秒以上の差をつけ、総合優勝を果たした。
1999年以来の優勝が復帰後2戦目に訪れたことに、豊田章男社長は「私の想像を超えていた」とコメントを寄せた。
4位:マルケス vs ドヴィツィオーゾ、雨中の大激闘
MotoGP 第15戦日本GP
今シーズン、MotoGPのタイトル争いを最後まで演じたマルク・マルケス(レプソル・ホンダ)とアンドレア・ドヴィツィオーゾ(ドゥカティ)。ふたりは雨に見舞われたもてぎでも一歩も引かないバトルを展開し、集まった観客を沸かせた。
レース前半はダニーロ・ペトルッチ(プラマック)がリードするが、14周目にマルケスがトップに立つとドヴィツィオーゾもそれに続き、タイトルコンテンダー同士の一騎打ちが繰り広げられた。
難しいコンディションの中で激しいオーバーテイク合戦が繰り広げられ、レースは最終ラップに。マルケスが挙動を乱した隙にドヴィツィオーゾがトップに立つが、マルケスは諦めず、最終コーナーのイン側にバイクをねじ込んだ。しかしこれを予期していたドヴィツィオーゾは、加速しやすいようにワイドにコーナーを周り、再びマルケスを逆転。トップチェッカーを受けた。
3位:マカオ市街地決戦は最終コーナーでまさかの結末
マカオGP FIA-F3ワールドカップ 決勝レース
中国・マカオ特別行政区の市街地で行われる伝統のマカオGP。若手ドライバーが集うエネルギッシュなF3の決勝レースは、劇的な結末を迎えた。
レース終盤、トップを走るセルジオ・セッテ・カマラにフェルディナンド・ハプスブルクが背後からプレッシャーをかけるも、抜きどころが少ない市街地コースでなかなかチャンスは巡ってこない。
最終ラップに入り、ハプスブルクは最大のオーバーテイクポイントであるリスボアでも逆転することはできず、万事休すかと思われた。
しかしコース幅の狭いマウンテン区間を抜けた後、わずかな隙をついたハプスブルクはセッテ・カマラに並びかけ、最終コーナーに向けて先にターンインすることに成功する。
しかし挙動を乱したセッテ・カマラに続き、ハプスブルクまでもウォールに接触。その横をダン・ディクタムがすり抜けていき優勝を飾った。ハプスブルクは3輪状態でフィニッシュを目指し4位となった。
第2位:LMP1マシンにトラブル続出、ジャッキー・チェンDCがあわや優勝の総合2位
第85回 ル・マン24時間レース
昨年、ル・マンには”魔物”が棲んでいると思ったものだが、このレースに勝つことがこれほど難しいのかと今年も思い知らされた。
今年のトヨタは、十分な速さを備えてル・マンに臨んだ。予選では小林可夢偉が驚愕のタイムでポールポジションを獲得、決勝も順調にレースを進めていった。
しかしポルシェの2号車にトラブルが出たのを皮切りに、LMP1クラスのマシンに続々とトラブルが襲った。トヨタは夜の間に7号車と9号車がリタイア。8号車はトラブルで2時間以上の修復作業を余儀なくされた。残り4時間を切った時点でトップに立っていたポルシェ1号車もスローダウンしリタイアとなった。
LMP1クラス全車がトラブルを抱えたことで、総合トップはLMP2クラスの38号車ジャッキー・チェンDCレーシングとなる。しかし、レース序盤で発生したトラブルをわずか1時間ほどの修復で解決したポルシェ2号車が猛追。残り時間1時間のところで38号車を捉え、なんとか意地の優勝を果たした。トヨタ唯一の生き残りとなった8号車は総合8位でレースを終えた。
再びル・マン優勝を逃したトヨタ。来年からは、しのぎを削ってきたポルシェやアウディといったライバルたちはいないが、決して楽に勝つことはできないだろう。
1位:固唾を飲んだラスト11周のバトル。佐藤琢磨、インディ500制覇
インディカー 第101回インディ500
佐藤琢磨がエリオ・カストロネベスとの壮絶な一騎打ちを制し、優勝した今年のインディ500は、日本のモータースポーツファンにとって決して忘れられないレースになったであろう。
全200周のレースが残り11周となったタイミングで2番手を走っていた佐藤は、カストロネベスに先行されてしまう。しかしこれは佐藤にとって狙い通り。佐藤にとって攻撃しづらい相手だったトップのマックス・チルトンをカストロネベスが攻略すると、それに乗じて自らも2番手に浮上した。
佐藤は残り5周、カストロネベスを交わしトップに立った。計算づくのタイミングで勝負に出た佐藤は、そのままカストロネベスを抑えきり見事にトップでチェッカーを受けた。
悲願を達成した佐藤は、来季レイホール・レターマン・ラニガン・レーシングに移籍。インディ500連覇、そしてシリーズチャンピオンという新たな目標に向けて戦っていくことになる。
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