F4 France Rd4: Nürburgring

「この世界に入りたいという意志がより一層固まった」フランスF4加藤大翔、F1イギリスGP視察で未来見据える

今季フランスF4に参戦する加藤大翔は、シルバーストンでF1イギリスGPを観戦。「この世界に入りたいという意志がより一層固まった」という。

Taito Kato, FFSA

Taito Kato, FFSA

写真:: Honda Racing

 今季フランスF4に参戦する加藤大翔は、7月にシルバーストン・サーキットを訪問。イギリスGPでF1のみならず直下のFIA F2やFIA F3を観戦したことで、今後のステップがより明確に定まったと語った。

 昨年、ホンダ・レーシングスクール・鈴鹿(HRS)フォーミュラでスカラシップを獲得した16歳の加藤。今年からフランスF4に挑戦しており、全7ラウンドのうち4ラウンドを終えた段階で2勝をマークし、ランキングではトップから10ポイント差の3番手と今季のチャンピオンを十分に狙える位置につけている。

 加藤はシーズン開幕前の段階で、「17歳はFIA F3チャンピオン、そのままFIA F2に進み、ちょうど20歳でF1に乗る人生設計図」を描いていると明かしてくれた。HRS(旧SRS含む)から羽ばたいていった先輩たちに続き、今季フランスF4を制して、来季はFIA F3にステップアップすることが目下の課題となる。

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 現在フランスのル・マンに拠点を置く加藤は、ベルギーはスパ・フランコルシャンで開催されたラウンド3と、ドイツのニュルブルクリンクで開催されたラウンド4の間を縫って渡英。目標であるF1、F2、F3をシルバーストンで観戦した。

 そして加藤は、フランスF4とは異なる緊張感のある雰囲気を肌で感じ、より一層意志が固まったと明かした。

「フランスF4はFFSAアカデミーのもので、マシンも全て一緒に並べられています。しかしFIA F3やFIA F2になった場合、個別のチームなので彼らはマシンを見られたくないので、囲っていて何も見えないです」

 シルバーストンでの思い出を振り返り、加藤はそう語った。

「ピットの中を覗いても見えないくらいだったので詳しくは分かりませんが、外からでも分かるくらいの緊張感がありました。フランスF4よりピリピリしています」

Ritomo Miyata, Rodin Motorsport

Ritomo Miyata, Rodin Motorsport

写真: Rodin Motorsport

「でも僕としては、そういう雰囲気も好きだと思います。それだけレースに集中していて、メカニックも自分のチームを勝たせたいという感じでした」

「この世界に入りたいという意志がより一層固まったと思います」

 また加藤は、F2のパルクフェルメやグリッドにも足を運び、今季同シリーズにローディンから参戦している宮田莉朋とも言葉を交わしたという。

「F2で今は何が1番大変なのかを聞きました。その時におっしゃっていたのは、F2は40分のプラクティス1回でそのまま予選に行くことになる上、コースは走ったことがなく、その中でセットアップを決めなければならないというのが1番難しいとのことでした」と加藤は言う。

「また、レインタイヤのセット数が決まっていることも大変だそうです。もしプラクティスで使うと1セット無駄になってしまい、レース1とレース2が雨だった場合、フィーチャーレースではタイヤを変えなければならないのに、使い切ったレインタイヤを履かざるを得なくなります。プラクティスが雨だったら走れない状態になると言っていました」

「そして、もし雨によってプラクティスで走れなかったら予選はぶっつけ本番になってしまいますし、レインタイヤを使ってしまったら、レースでもその使ったタイヤを履くことになります。それが難しいそうです」

 イギリスGPで見聞を広めた加藤だが、2023年にはデモランながらも、鈴鹿でグランプリウィークエンド中にサーキットを走行した経験がある。

 当時HRSのフォーミュラクラスを受講していた加藤は、2024年度から導入される最新型のスクールカー“HRS-F24”を、HRSのプリンシパル(校長)である佐藤琢磨や卒業生の岩佐歩夢らと走らせた。

「日本GPは特別です。去年F1でデモランを行なった時の、あの光景は忘れられません」

 加藤はそう振り返り、次はF1で鈴鹿に戻ってくると宣言した。

「次は絶対に、F1であの光景を見てやろうと決めています。あれは感動しますね。観客も多いですし、みんなが手を振ってくれていて、すごかったです」

Takuma Sato, HRS-F24

Takuma Sato, HRS-F24

写真: Motorsport.com Japan

 ちなみに、このデモランではスクール生たちを先導する形で佐藤校長と岩佐が走行。当初はゆっくりと鈴鹿を周回する予定だったものの、佐藤校長が飛ばし、それに続く形で岩佐もスピードアップ……スクール生たちは置いてけぼりになった。

 これについて加藤に尋ねてみると、興味深いエピソードが飛び出してきた。

「(佐藤校長は)『全然飛ばさないから!』って言っていたんですけど、僕としては『意外と速いんだけど』って感じでした」と加藤は言う。

「ヘルメット被ったら(佐藤校長は)もうダメですね(笑)。僕らはあの時シートが合ってなくて、ハンドルが遠かったんです」

「『琢磨さん、速く走れないので2分16秒くらいでお願いします』って言ったら『分かった』と答えてくれていたんですけど……めちゃめちゃ速いじゃん! 頑張らないと追いつかないってなりました」

「デモランですが、岩佐選手もその後テストで乗るために自分のシート作っていました。ただ、僕ら生徒は余ったシートだったので……」

 教え子から「ヘルメット被ったらもうダメですね(笑)」とも言われる佐藤校長だが、フランスではコースサイドでもモータースポーツ熱を炸裂させていたという。

Taito Kato, FFSA, Takuma Sato, Honda Racing adviser

Taito Kato, FFSA, Takuma Sato, Honda Racing adviser

写真: Honda Racing

 レデノンで開催されたフランスF4のラウンド2を訪れたHRSエグゼクティブ・ダイレクターの中野信治に続いて、スパ・フランコルシャン戦では佐藤校長が加藤の戦いぶりを見守った。

「琢磨さんは熱い人なので、スパ戦でリバースグリッドから僕が優勝した時も、オーバーテイクする度に『よっしゃぁ!』みたいな感じで声を出していたみたいです。琢磨さんの隣で見ていた僕の知り合いから聞きました」と加藤は言う。

「でも、それくらいモータースポーツに熱い人だからこそ、ついていきたいと思います」

「(レース後には)めちゃめちゃ笑顔でハグしていただけました。人を喜ばせることは大好きですし、嬉しかったです」

 

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