コラム:今季F2に参戦。F1を目指すふたりの日本人ドライバーの葛藤

シェア
コメント
コラム:今季F2に参戦。F1を目指すふたりの日本人ドライバーの葛藤
執筆: 赤井邦彦
2018/05/14 9:57

F1参戦を目指し、今季からFIA F2選手権に挑戦する牧野と福住。しかしふたりとも葛藤を抱えている。

 今年FIA F2選手権を戦う日本人ドライバーはふたり。牧野任祐と福住仁嶺である。共にホンダの育成ドライバーだ。ふたりとも20代前半ながら、レーシングドライバーとしては長い経験を有し、今年は揃ってFIA F2選手権へ参戦する。チームは福住がアーデン・モータースポーツ、牧野がロシアン・タイムだ。

 先週末、F1スペインGPの前座レースとして行われたF2レース。土曜日に第1レース、日曜日に第2レースが開催され、第1レースは牧野が9位、福住が11位だった。F2レースはF1へのステップアップを狙う若者が集うレース。ヨーロッパの経験豊かなチームが、ドライバーが持ち込んだ資金で活動しF1への道を開く手伝いをする。ドライバーはここで好成績を残さなければF1への道はない。とにかくポイント稼ぎ、F1参戦に必須のスーパーライセンスを取得しなければ、夢は叶わない。

 牧野と福住はどうかと言えば、やや出遅れの感がある。2018年シーズンが始まって間もないとはいえ、確実にポイント稼いでいるドライバーは存在する。そうしたライバルに対し、ふたりはここまで十分な結果が残せていない。理由はいくつもあるだろうが、やはり自分たちの心の持ちようによる。なんとしてもモノにしてやる、という強い意志を持たなければ、道は切り開けない。

 勿論、こうした表象的な形態や数字も重要だが、それを支える現実が整っていなくては数字は取れない。現実とはドライバー自らの才能はもとより、チームの力、エンジニアの力量、資金の多寡……等々。日本人ドライバー2人に関しては大方揃っているように思われるが、いずれも万全かと言われるとそうとは言い切れない。特に福住に関しては、チームとの間の意思疎通が決して良好とはいえず、それが戦績に表れていることは確かだ。

 その福住は日曜日に行われたF2第2レースの5周目、こともあろうか牧野に接触して共にリタイアとなる原因を作った。第4コーナーで牧野のインを刺した福住だが、路面が濡れていたこともあってクルマの後部が滑り、左後輪が牧野の右後輪に乗り上げ、そして牧野の頭上を飛び越えた。その時に福住のクルマのタイヤ痕が牧野のクルマにしっかりと残っている。

「ハロにタイヤ痕が残っています。ハロに効果あると初めて経験したのは僕でしょう」と、牧野。「でも、路面が濡れていたし、あそこでインに飛び込んでくるのはちょっと……」と、福住に苦言を呈していた。

 福住にとってもひとつひとつのレースが大切であることは違いないが、チームとの間にある不信感を取り除くのが先決だと言えよう。今回のアクシデントでも、福住にも言い分はあるだろうが、それをチームが共有してくれなくては解決はしない。福住ひとりでそれが難しいなら、誰かが両者の間に入って話し合いをすべきだろう。

 いずれにせよ、牧野も福住もここ1〜2年が最も重要な時。この時期に無駄な時間は過ごせない。ふたりがどれだけ現状を理解し、立場を自覚し、今後のレースに生かせるかにかかっている。変化を期待したい。

次の記事
【動画】牧野&福住まさかの相討ち。F2バルセロナ レース2ハイライト

前の記事

【動画】牧野&福住まさかの相討ち。F2バルセロナ レース2ハイライト

次の記事

ハロがその役割を果たした、スペインでの牧野×福住の接触

ハロがその役割を果たした、スペインでの牧野×福住の接触
Load comments

この記事について

シリーズ FIA F2
イベント バルセロナ
ロケーション サーキット・デ・カタルニア
ドライバー 福住 仁嶺 , 牧野 任祐
チーム アーデン , ロシアン・タイム
執筆者 赤井邦彦