ティクトゥム、燃料規定違反でレース2優勝が幻に。チームはF2マシンの信頼性を痛烈批判
FIA F2第8戦のレース2でトップチェッカーを受けたダニエル・ティクトゥムだが、レース後に必要な燃料サンプルを提出できなかったとして、レース結果から除外された。チーム代表のフランソワ・シカールは、F2マシンの信頼性の低さを痛烈に批判した。

イタリアのモンツァ・サーキットで行なわれたFIA F2第8戦レース2では、DAMSのダニエル・ティクトゥムがトップチェッカーを受けた。彼はこれで今季2勝目を達成したかに思われたが、技術規定違反で失格となってしまった。
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2番グリッドからスタートしたティクトゥムはスタートでトップに立つと、そのまま独走状態に入り、首位をキープしたままフィニッシュした。しかしフィニッシュ直後のターン3(クルバ・グランデ)で失速し、マシンはストップ。ティクトゥムはメディカルカーに乗ってパルクフェルメへと戻った。
その後のスチュワードの調査によると、ティクトゥムのマシンからは、必要な燃料サンプルを抽出できなかったため、それが技術規則に抵触したようだ。その結果、ティクトゥムは失格処分を受けた。
スチュワードの報告書には次のように記されている。
「様々な事象を広範囲に検討した結果、スチュワードはレース後に2号車(ティクトゥム)から0.8kgの燃料サンプルを採取することができないと判断した」
「テクニカルデリゲートの報告によれば、抽出されたサンプルは0.05kgと記載されていた。これは技術規則に違反しているため、2号車は失格となる」
これによりレース2を2番手でフィニッシュしていたカラム・アイロット(ユニ-ヴィルトゥオーシ)が繰り上げで優勝となった。現在ポイントランキング4番手につけている角田裕毅(カーリン)はリタイアに終わったが、ランキングで彼の上を行くアイロット、ミック・シューマッハー(プレマ)、ロバート・シュバルツマン(プレマ)、そして同5番手のクリスチャン・ルンガー(ARTグランプリ)がいずれも繰り上がりでポイントを加算するという格好となった。
■F2マシンの信頼性の低さは「受け入れられない」

Giuliano Alesi, HWA Racelab, retires in a cloud of smoke after technical issues
Photo by: Mark Sutton / Motorsport Images
このティクトゥムの失格裁定を批判しているのは、DAMSのチーム代表であるフランソワ・シカールだ。彼曰く、燃料タンクから燃料が漏れる問題が数戦前から発生していたといい、F2側はこの問題を事前に把握していたというのだ。
「この選手権の主催者たちは燃料タンクに問題があることを数戦前から知っていた」とシカールは言う。
「ダン(ティクトゥム)のマシンに搭載されているタンクは3レース前に修理されたが、それでも問題はあった」
「ダンがマシンを止めた時、今回のレースではエンジンのトラブルが多かったので、エンジンが問題かと思っていたが、後になって燃料が関係しているのではないかと思い始めた」
「燃料にはある程度の余裕を持っていたので、燃料切れではないだろうと思っていたが、技術的な調査を受けてみると、タンクに燃料が残っていないことが分かった。これは我々にとってはかなり驚きだった。FIAはさらなる調査をさせてくれたが、そうすると燃料が漏れ出ていて、ほとんどの燃料がタンクではなくシャシーやモノコックの中に入っていたことが明らかになった」
またシカールによると、こういったF2マシンの整備は通常、シーズン前に1度だけ行なわれるものだという。しかしながらF2マシンの信頼性の低さのせいで、シーズン中に費用を支払って修理をしなければいけない現状だと語った。
「我々は(燃料タンクを)3レース前に修理したが、それでも問題が多すぎる」
「燃料タンクだけでなく、エンジンに関しても同じだ。チームのためにもなんとかしなければならない。マシンの信頼性を確保するために大量の資金を投じているのだから、それは大問題だ」
「ダンは優勝にふさわしい走りだっただけに、とても迷惑な話だ。今日は優勝を奪われたような気分だが、F2側が解決してくれることを願っている」
シカールはまた、頻発するエンジントラブルに多くのドライバーが犠牲になっていると主張した。2018年の開幕戦から導入されたメカクローム製のパワートレインは、初年度に数多くのトラブルを起こした。2019年は信頼性が向上したかに見えたが、今季はまた各所でトラブルが見られている。
「参戦し、競争力を維持するのにたくさんの資金が必要なこのような選手権で、こういった問題が続くようではいけない」とシカール。
「単純に受け入れられない。どのチームもシーズン当初は手に負えないほどの問題を抱えていた」
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