ギオット、大惨事を免れる……クラッシュしたマシンの消火開始が遅れた理由は?
F1レースディレクターのマイケル・マシは、ソチ・オートドロームで行なわれたFIA F2のスプリントレースで、コースマーシャルがクラッシュし出火したルカ・ギオットのマシンの消火に向かうのが遅れた理由について説明した。
F1ロシアGPのサポートレースとして行なわれた、FIA F2のソチラウンド。そのスプリントレースの7周目、4番手争いを繰り広げていたジャック・エイトケン(カンポス)とルカ・ギオット(ハイテック)がターン3で接触。ふたりはコーナーアウト側のテックプロバリアに激しくクラッシュした。
この事故の直接の原因は、エイトケンのマシンのタイヤがパンクしたことだったようだ。そして2台は超高速でバリアに突っ込み、浮き上がったバリアの下に潜り込むような形で停止した。
このクラッシュした2台のうち、ギオットのマシンからは炎が上がった。幸いにもギオットは自力で脱出できたものの、一歩間違えば重大な結果につながっていた可能性もあった。ギオットがマシンを降りた時、まだマーシャルや消火担当者は現場に到着していなかったのだ。
その後ギオットのマシンは、マーシャルらによって消火されたが、これには時間がかかり、マシンはおそらく再生が不可能なほどのダメージを受けた。
F1のレースディレクターであるマイケル・マシは、事故直後に現場を訪れ、バリアの損傷具合を確認した。そしてレース後、事故への対応が遅いように見えた状況を説明した。
「彼らは実際には、比較的早く現場に到着した。課題は、事故が起きた場所が、ふたつのマーシャルポスト間の距離がかなり離れている所だったということだ」
そうマシは語った。
「消火担当者は、事故が起きた現場の両隣のポストにいた。150メートル以上、消火器を抱えて走らせるのは難しい」
「レースが中断され、そして全ての競技者が当該の箇所を通り過ぎるとすぐ、コースの反対側から渡ってきたマーシャルを何人か見た」
「ああいった状況で火を見るのは、決して良いことではない。とにかく良かったのは、ふたりのドライバーが共に、無傷でマシンから脱出できたということだ。これが、全てのことの中で最も重要な部分だ」
エイトケンのマシンの右側のタイヤは、前後ともギオットとの接触によりホイールリムから外れていた。そして195km/hのスピードで、バリアに激突することになった。
これには、今季からF2に導入された18インチホイール用タイヤが、昨年までのモノよりも脆弱なのではないか? そんな懸念の声も上がっている。
マシは新たなタイヤの安全性について結論を出す前に、ピレリと話し合うと語った。
「正直に申し上げて、事故の詳細はまだ調べられていない。最も重要なことは、ドライバーの安全であり、それは素晴らしかったからだ」
そうマシは語った。
「そしてその後、損傷が生じた箇所の修復が行なわれた。しかしFIAの観点から言えば、そういう大きな事故は、常に調べることになっている。だからこれまでの大きな事故と同じように、この週末の後に、ピレリと共に調べることになるだろう」
このクラッシュの後、レースコントロールはレースを再開しないことを決定。5周目のコントロールライン通過順が、最終順位となることが決まった。マシは、バリアの修復には90分かかったため、レースを再開しない決断を下したのは、正しい判断だったと考えている。
「レースが再開できなかったのは、残念なことだったと思う。でも結局のところ、守らなければならないスケジュールがあるんだ」
「そして第二に、その事故の大きさ、そして必要な修理を考えると、修復には90分近くかかったと思う」
「FIA F2選手権のレースを完了できなかったのは、残念なことだったと思う。ただ、こういうことは時折起きてしまうものだ」
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