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FIA、ユベール死亡事故の調査結果を発表。複数要因により重大性が上がったと結論

FIAは、昨年スパ・フランコルシャンでアントワーヌ・ユベールが死亡したFIA F2レースでの事故についての調査結果を発表した。

 Anthoine Hubert, Arden

写真:: Gareth Harford / Motorsport Images

 昨年、F1ベルギーGPの併催レースとして行われたFIA F2。そのフィーチャーレースの2周目に、アントワーヌ・ユベールが死亡し、ファン-マヌエル・コレアが重傷を負うという事故が起きた。FIAはこの事故について発生直後から調査を進めてきたが、その結果を2月7日(金)に公開した。

 これによれば、ウォールにクラッシュし、コースの中央にほぼ静止していたユベールのマシンに、コレアのマシンは218km/hもの速度で激突したという。これによってユベールのマシンには、81.8Gもの衝撃が及んだようだ。

 FIAは「単一の特定の原因はないが、複数の要因が事故の重大性を引き上げた」とし、「イエローフラッグシグナルやコース上の状況に応じて適切に対処しなかったドライバーがいたという証拠はない」と結論付けた。またコースマーシャルやレースコントロール、レスキュー作業についても「タイムリーで、素晴らしかった」とみなされた。

 以下FIAが発表した調査結果のレポート、日本語訳である。

 FIAの安全部門は、2019年の8月31日に行なわれたスパ・フランコルシャンでのFIA F2選手権のレースで起きた、事故の調査を完了した。この事故でフランス人ドライバーのアントワーヌ・ユベールが致命傷を負い、アメリカ人ドライバーのファン-マヌエル・コレアが重傷を負った。

 調査には、関係者へのインタビュー、物的証拠の検査、映像資料の分析、チームのデータロガーやデータレコーダーなどの分析なども含まれている。この調査は、ジェラルド・サイヤン教授がトップを務める、FIAのワーキンググループによって行なわれた。そしてこの調査結果が、FIAの安全委員会によって承認され、委員長のパトリック・ヘッドによって世界モータースポーツ評議会に提出された。

 調査は、事故に巻き込まれた4台のマシンに焦点が当てられた。アントワーヌ・ユベールがドライブしていた19号車、ファン-マヌエル・コレアがドライブする12号車、フランス人のジュリアーノ・アレジがドライブする20号車、そしてスイス人のラルフ・ボシュンがドライブする21号車である。

 オープニングラップで、スロー走行のマシンがいたことにより、ターン12とターン14でイエローフラッグが振られた。その時、レースリーダーは2周目をスタート、この時点でセクター1にはグリーンフラッグが振られていた。

 そして2周目、ジュリアーノ・アレジがターン3(オー・ルージュ)の出口でマシンのコントロールを失ったことから、14.6秒に渡って一連の事故が起きた。彼は最初はスピンしてコースを左側に離れ、コントロールを失って1.9秒後にウォールに接触、ターン4(ラディオン)のコースに向けて跳ね返ってしまった。調査の結果、ジュリアーノ・アレジは、右リヤタイヤの内圧が低下したことで、コントロールを失うことに繋がったという合理的な可能性が示された。

 ジュリアーノ・アレジのマシンがバリアに衝突した後、壊れたパーツの破片がコース上に広がった。ジュリアーノ・アレジのマシン、そしてその残骸を避けるために、ラルフ・ボシュンとアントワーヌ・ユベールは右に移動し、コースを離れてターン4のランオフエリアを走った。20号車(アレジ)の事故に対するラルフ・ボシュンとアントワーヌ・ユベールの反応は、事故が発生した当時事故車に非常に接近していたため、イエローフラッグが振られる前に始まった。イエローフラッグは、ジュリアーノ・アレジのマシンがウォールに激突してから1.8秒後、5番ポスト(ターン4)のマーシャルによって振られた。

 この動きの中で、ラルフ・ボシュンはアントワーヌ・ユベールよりも急速に減速した。アントワーヌ・ユベールはさらに右に動いて、追突を回避する行動を取ったが、それにも関わらずアントワーヌ・ユベールのマシンはラルフ・ボシュンのマシンのリヤに接触し、フロントウイングを失った。またこの接触でラルフ・ボシュンの右リヤタイヤにもパンクが引き起こされた。

 アントワーヌ・ユベールは262km/hでフロントウイングを失い、コントロールを失った。そしてターン4出口のランオフエリア右側にあるバリヤに激突した。この時は216km/hのスピードで、約40度の角度がついており、33.7Gに相当する瞬間的な衝撃が生じた。

 激突による衝撃とバリヤのエネルギー吸収により、マシンは跳ね返され、回転しながらコース上に向けて移動し続けたため、シャシーの左側は、ターン4のランオフエリアで後方からやってくるマシンに正対する形になっていた。

 その間、ファン-マヌエル・コレアは、ジュリアーノ・アレジの事故現場に近づいていた。彼はほぼレーシングラインを走っていたが、ジュリアーノ・アレジのマシンが残したデブリに接触した後、ターン4の出口でコースの右側に向かった。

 デブリとの接触は、イエローフラッグが振られてから約1.5秒後であり、その結果右側のサスペンションが損傷し、フロントウイングが失われた。その結果、ファン-マヌエル・コレアはコントロールを失った。彼のマシンは右に向きを変え、コースを外れてターン4のランオフエリアに入った。そして1.6秒後にアントワーヌ・ユベールのマシンと接触する軌道に乗ってしまった。

 ファン・マヌエル・コレアは、ほぼ静止していたアントワーヌ・ユベールのマシンの左側に、約86度の角度で218km/hの速度で激突した。12号車(ファン-マヌエル・コレア)と19号車(アントワーヌ・ユベール)はそれぞれ、最大値65.1Gと81.89Gに相当する衝撃を受けることになった。

 マシン同士の衝突により、アントワーヌ・ユベールのマシンは105.4km/hに加速し、バリアに2度目の接触、その後コースに戻った。

 マシン同士の接触が起きてから2.5秒後にダブルイエローフラッグが振られ、その2.7秒後に19号車(アントワーヌ・ユベール)がコースの左側に止まり、12号車(ファン-マヌエル・コレア)が2.6秒後にひっくり返って止まった後、2.7秒後にレッドフラッグが振られた。

 20号車(ジュリアーノ・アレジ)が最初にコントロールを失ってから12秒後、ダブルイエローフラッグが振られた直後、12号車(ファン-マヌエル・コレア)が停止する前に、メディカルおよびレスキューの対応が開始された。アントワーヌ・ユベールの現場での最初の医学的評価は、赤旗が示されてから54秒後に行なわれた。

 赤旗が掲出されてから16秒後、燃料漏れにより12号車(ファン-マヌエル・コレア)で火災が発生した。この火災は2秒後にマーシャルによって消火され、そしてファン-マヌエル・コレアの現場での最初の医学的評価は、赤旗の69秒後に行なわれた。

 最初のレスキューチームは、事故が発生してから2分以内に現場に到着した。

 要約すると、調査の結果は次の通りだ。

・一連の出来事により、4人のドライバーが関与する、長時間に及ぶ複雑なクラッシュが起き、最終的にはファン-マヌエル・コレアのマシンとアントワーヌ・ユベールのマシンの間で、高速による「Tボーン」タイプのクラッシュが発生した。

・速度と起動の観点から見た、マシン同士の激突の影響は、非常に高いレベルのエネルギーが伝わり、放出された。そしてアントワーヌ・ユベールの生存が不可能なほどの外傷、そしてファン-マヌエル・コレアの非常に深刻な重傷へと転換された。

・単一の特定の原因は存在していなかった。しかし、事故の様々な段階を詳細に分析した結果、事故の重大性を引き上げる複数の要因が特定された。

・調査の結果、イエローフラッグシグナル、または進行中の状況に応じて、いずれのドライバーからも適切に反応しなかったという証拠は見つからなかった。

・事故に関連するシグナルおよび救助を展開する際のマーシャルとレースコントロールの反応は、タイムリーで素晴らしいものだったと考えられている。

 安全性の改善は、継続的なプロセスである。したがってこの事故から導かれた結論、そして世界中から寄せられたそれに類するものは、FIAの進行中の作業に統合され、モータースポーツの安全性をさらに発展させることになる。2019年、FIAの安全部門は、各国のASN(各国のモータースポーツ管轄団体)のサポートを受け、サーキットレースに関連する28の重大および致命的な事故の調査を実施した。

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