FIA F2

【特集】F2/GP2に参戦したアメリカ人ドライバーたち。F1にたどり着いたのは3人……ハータも続けるか?

コルトン・ハータの来季FIA F2挑戦が決まった今、これまでF2/GP2に参戦したアメリカ人ドライバーたちの戦績を振り返る。

Benjamin Vinel

Benjamin Vinel

公開日時: 2025/09/17 11:10

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Race winner Logan Sargeant, Carlin

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 先日、インディカーシリーズのトップドライバーであるコルトン・ハータが2026年のFIA F2に参戦することが明らかとなった。F1参戦という夢の実現を目指しての挑戦となるが、これまでF2、そしてその前身であるGP2といったF1直下のシリーズに参戦してきたアメリカ人ドライバーの戦績はどうだったか? 本稿では10人のドライバーをランキング形式で紹介する。

10. ブラッド・ベナビデス

参戦年:2023年
年間最高順位:22位(2023年)
レース数:18
ポールポジション:0
優勝:0
表彰台:0
ポイント:0
ベストリザルト:10位

Polesitter Brad Benavides, AIX Racing

Polesitter Brad Benavides, AIX Racing

Photo by: Formula Motorsport Ltd

 ベナビデスは、下位カテゴリーで十分な実績がないままF2にステップアップした結果、苦戦したドライバーのひとりだ。フォーミュラ・リージョナルやFIA F3ではほとんどポイントを獲得できないまま、2023年に有力チームではないPHMからF2に参戦。入賞できなかったことは驚きではなく、トップ10を走ったのもわずか4周であった。

 シーズン途中にPHMを離脱したベナビデスは、2024年にユーロ・フォーミュラ・オープンにステップダウンし、チャンピオンを獲得。ただフル参戦したドライバーはわずか3人しかいなかった。今季は再びF3を戦っており、2度のポールを獲得して最終戦のフィーチャーレースでは4位に入る健闘を見せたが、全体的には大きな成功を収めたとは言い難いシーズンだった。

9. ジェイク・ローゼンツヴァイク

参戦年:2012年、2013年
年間最高順位:28位(2013年)
レース数:26
ポールポジション:0
優勝:0
表彰台:0
ポイント:0
ベストリザルト:10位

Jake Rosenzweig

Jake Rosenzweig

Photo by: GP2 Media Service

 ローゼンツヴァイクはバルワ・アダックスから1シーズン強GP2に参戦。それまではフォーミュラ・ルノー3.5で走っていたが、3年間で一度も表彰台に登壇できず。そしてそれよりもさらに競争が激しいGP2では、1ポイントも獲得できなかった。

 基本的には予選で15番手以内にすら入れなかったローゼンツヴァイクだったが、2013年のモンツァ戦では殊勲の8番グリッドをゲットした。しかしレース1のフィーチャーレースでは6番手走行中にリタイア。しかも当時はレース1の結果を基にレース2のスプリントレースが決まっていたため(上位8台がリバース)、週末もろともチャンスをふいにしてしまった。彼はこの年限りでレース活動を終え、以後はSNSなどでの発信もせず静かに暮らしている。

8. マックス・エスターソン

参戦年:2024年、2025年
年間最高順位:21番手(※2025年シーズン途中)
レース数:25
ポールポジション:0
優勝:0
表彰台:0
ポイント:0
ベストリザルト:10位

Max Esterson, Jenzer Motorsport

Max Esterson, Jenzer Motorsport

Photo by: Simon Galloway / Motorsport Images

 レースシミュレーターのiRacingで頭角を現し、15歳でカートを始めたエスターソンは、ヨーロッパに渡った後イギリスのGB3でまずまずの成績を収めるも、2024年にイェンツァーから参戦したF3では苦戦。そんな中で今季トライデントからF2にステップアップしたが、苦しい戦いを強いられている。

 エスターソンは今季のジェッダで一時2番手、レッドブルリンクで一時3番手を走ったことがあったが、それはいずれもフィーチャーレースにおいてピットストップを最後まで引き延ばした戦略の結果であり、純粋な速さでポイント圏を脅かしたことは一度もなかった。そしてモンツァでのレースの後、チームと双方合意の下契約を解除した。

7. コナー・デイリー

参戦年:2013年、2014年
年間最高順位:26位(2013年、2014年)
レース数:20
ポールポジション:0
優勝:0
表彰台:0
ポイント:4
ベストリザルト:7位

Conor Daly, Venezuela GP Lazarus

Conor Daly, Venezuela GP Lazarus

Photo by: GP2 Media Service

 かつてF1にも参戦したデレックを父に持つデイリーは、GP3では2013年にランキング3位を獲得するなど活躍(同年GP2にもスポット参戦)。翌年はGP2にフル参戦した。ただ強豪とは言えないラザルスではスプリントレースで7位に入るのがやっとで、しかもチームメイトに後れを取ることも少なくなかった。

 結局GP2参戦はその年限りとなり、翌年から今現在に至るまでインディカー・シリーズを主戦場としているデイリーだが、何度か上位入賞を果たしているものの優勝には手が届いていない。

6. サンティーノ・フェルッチ

参戦年:2017年、2018年
年間最高順位:19位(2018年)
レース数:23
ポールポジション:0
優勝:0
表彰台:0
ポイント:11
ベストリザルト:6位

Santino Ferrucci, Trident

Santino Ferrucci, Trident

Photo by: FIA Formula 2

 フェルッチはF2だけでなく、GP3、インディカーも含めて全て中団あたりを走るドライバーであり、その成績に限って言えば地味。しかしF2時代はよろしくない方向で大きなインパクトを残してしまった。

 フェルッチのF2キャリアは2018年のシルバーストンで終わってしまう。そのレースウィークでは政治的主張が禁じられているにもかかわらず、ドナルド・トランプ支持の特別カラーリングをリクエストして却下。レースではチームメイトのアルジュン・マイニとやり合った結果、クールダウンラップで故意に衝突した。さらには携帯電話を手に持った状態でマシンを走らせるなどの危険行為もあり、出場停止や罰金を食らった末にチームを解雇された。

5. ファン・マヌエル・コレア

参戦年:2019年、2022年〜2024年
年間最高順位:13位(2019年)
レース数:23
ポールポジション:0
優勝:0
表彰台:3
ポイント:80
ベストリザルト:2位

Juan Manuel Correa, Dams

Juan Manuel Correa, Dams

Photo by: Dutch Photo Agency

 コレアのF2キャリアは、アントワーヌ・ユベールが命を落とした悲劇的なアクシデント抜きには語れない。

 2018年のGP3でイェンツァーながら健闘していたコレアは、2019年にF2に昇格するとスプリントレースで2度の2位表彰台を獲得した。しかしスパ・フランコルシャンのレースで多重クラッシュに巻き込まれ、ユベールのマシンに突っ込む形となったコレアは自らも両足に重傷を負い、切断の危機にも晒された。

 しかしそれでもレース復帰を果たすと、コレアはF3を経てF2にカムバック。昨年バルセロナで復活の表彰台を獲得し多くの人の感動を誘った。現在はインディNXTやIMSAで戦っている。

4. ジャック・クロフォード

参戦年:2023年〜2025年
年間最高順位:4番手(※2025年シーズン途中)
レース数:74
ポールポジション:2
優勝:5
表彰台:18
ポイント:319

Jak Crawford, DAMS Lucas Oil

Jak Crawford, DAMS Lucas Oil

Photo by: Formula Motorsport Ltd

 2020年初頭にレッドブルジュニアに加入したクロフォードは、F4で好成績をあげてF3でも2022年にランキング7位に入るなど、まずまずの成績を残していた。2023年からはF2に昇格すると初年度はランキング13位だったが、優勝やポールポジションを記録するなど既に才能の片鱗を見せた。

 その後レッドブルを離れアストンマーティンの育成に入ると、クロフォードは2024年にランキング5位。やや安定感に欠ける部分もあったが、今季はその点にもやや改善が見られ、ここまでの11ラウンドでフィーチャーレースで2回、スプリントレースで1回の優勝を記録している。ただ、来季のF1シートを掴むには至っていない。

3. ローガン・サージェント

参戦年:2021年、2022年
年間最高順位:4位(2022年)
レース数:31
ポールポジション:2
優勝:2
表彰台:4
ポイント:148

Logan Sargeant, Carlin

Logan Sargeant, Carlin

Photo by: FIA Formula 2

 キャリア初期からヨーロッパで戦っていたサージェントは、現在F1でポイントリーダーにつけるオスカー・ピアストリとも激しく競い合ってきた。2017年のイギリスF4ではピアストリに次ぐランキング3位。翌年のフォーミュラ・ルノー・ユーロカップではピアストリの倍のポイントを稼ぐと、2020年のFIA F3でも僅差のタイトル争いを繰り広げた。

 順風満帆に見えたサージェントのキャリアだったが、資金難によりF2昇格の道は閉ざされ、一度はキャリアが危ぶまれた。しかし2021年に下位チームのチャロウズからF3を戦い健闘したことでウイリアムズに拾われ、2022年にはF2昇格を果たした。

 するとサージェントは特に予選で安定した速さを見せたことでランキング上位に食い込み、岩佐歩夢を抑えてルーキー最上位の4位を獲得。晴れて2023年からウイリアムズF1チームに昇格したが、成績不振により1年半で契約解除となった。

2. アレクサンダー・ロッシ

参戦年:2013年〜2015年
年間最高順位:2位(2015年)
レース数:53
ポールポジション:2
優勝:4
表彰台:11
ポイント:285.5

Race winner Alexander Rossi

Race winner Alexander Rossi

Photo by: GP2 Media Service

 ロッシは2010年代にF1を目指すアメリカ人の中で最も有望な存在だった。2010年のGP3では平均予選順位16番手ながらランキング4位を獲得するという驚くべき成績を残すと、2011年にはフォーミュラ・ルノー3.5でランキング3位を獲得。2012年はアーデン・ケータハムの戦闘力不足もありランキング11位と低迷したが、翌2013年からケータハムF1チームのテストドライバーとなった。

 ロッシは同年からGP2にも参戦し、初年度はランキング9位。翌2014年はケータハムのチーム売却等の混乱に巻き込まれシーズン前半のみの参戦に終わったが、マルシャ陣営に移籍したことで再びF1への道がひらけた。ベルギーGPでは「マックス・チルトンの契約トラブルによりF1デビュー」と発表されたが、幻に終わった。

 2015年にはインディカー参戦が目前まで迫っていたロッシだったが、レーシング・エンジニアリングからGP2参戦のチャンスを得る。この年はストフェル・バンドーンが手がつけられない強さを誇ったが、ロッシはランキング2位を獲得。予選の速さは依然として彼の課題だったが、レース巧者ぶりを見せた。

 ロッシはその後、マノー・マルシャからF1に5レース出走したが、F1キャリアはそこで終了。ただインディカー転向後はインディ500を制して年間ランキングでも最高で2位を記録するなど成功を収めた。

1. スコット・スピード

参戦年:2005年
年間最高順位:3位(2005年)
レース数:23
ポールポジション:1
優勝:0
表彰台:5
ポイント:67.5(本稿のドライバーでは唯一旧ポイントシステム)
ベストリザルト:2位

Scott Speed

Scott Speed

Photo by: GP2 Series Media Service

 GP2発足初年度となった2005年、レッドブル育成のスコット・スピードは特に注目されていたドライバーのひとりだった。その前年にはフォーミュラ・ルノー2000のドイツ選手権とヨーロッパ選手権で共にチャンピオンを獲得しており、飛び級的にステップアップしてきたからだ。

 このGP2シーズンは結果的にニコ・ロズベルグとヘイキ・コバライネンによるタイトル争いとなったが、スピードはその他にも経験豊富な猛者が揃うシーズンにおいてランキング3位を獲得。優勝を挙げることはできなかったが、フィーチャーレースではコンスタントに2位〜5位に入った。

 翌2006年はレッドブルの姉妹チームであるトロロッソの発足に伴い、スピードはF1デビューを果たした。しかし28戦で一度もポイントを獲得できず、2007年シーズン途中に解雇。チーム代表のフランツ・トストと確執を起こしたとも報じられた。ちなみにその後任は後の4度のワールドチャンピオン、セバスチャン・ベッテルだった。

 

 

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