ヴィップス、人種差別発言でレッドブルを”クビ”もハイテックからF2参戦継続。一方主催側は決定に反発

ユーリ・ヴィップスは、人種差別発言的発言によりレッドブルのドライバー育成プログラムから外されたものの、継続してハイテックからFIA F2へ参戦することとなった。

Juri Vips, Hitech GP

 レッドブルのドライバー育成プログラムに所属するユーリ・ヴィップスは、人種差別的な発言によりレッドブルからの契約が解除された。しかし今季ヴィップスがFIA F2を戦うハイテックは、彼をチームに留めることを選択した。

 事の発端となったのは先週。ヴィップスがTwitchでゲーム配信中に人種差別的な言葉を使用し、これがソーシャルメディア上で広く拡散。多くの非難が浴びせられた。

 これを受けてレッドブルは当初、ヴィップスの全活動を停止し徹底的な調査を行なうとしてきたが、チームは「いかなる形態の人種差別も容認しない」として6月28日(火)に彼との契約を解除した。

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 現在ヴィップスはFIA F2にハイテックから参戦中。開幕から6戦で2度のポールポジションと3度の表彰台を獲得し、ドライバーズランキングで7番手につけていた。

 ここまでハイテックは、彼を継続して起用するかどうかについて明かしてこなかったが、チーム代表のオリバー・オークスは、議論の上で21歳のヴィップスに名誉挽回の機会を与えるべきだと判断し、F2で継続して起用することを決定した。

「我々は真剣に議論を行なった結果、ユーリが今季の残りもハイテックのF2シートを維持することを決定した」

 オークスはチームの声明の中でそう語った。

「ハイテックでシーズンを走り切ることで、彼にとっては、行動を通じてが自身がどのような人間かを示す機会となる」

Juri Vips, Hitech GP

Juri Vips, Hitech GP

Photo by: Red Bull Content Pool

「私は、あの発言が決して受け入れられるモノではないということを強調したい。しかし私は、彼に名誉挽回の機会を与えることにした」

 またオークスは声明の中で、ハイテックがヴィップスの言動を容認している訳ではないとした上で、レッドブルからの契約解除は厳しすぎるのではないかと示唆した。

「ハイテックは、包括的な人材を雇用しており、いかなる形であれ、人種差別や攻撃的な行為を容認したことはない。とはいえ、もし誰も間違いを犯さず、真摯に謝罪し償っても、そこから学ぶ機会を与えてもらえない社会ならば、その社会はどうなのだろうか?」

「私はなぜ、彼があんなことを言ったのかが理解できない。なぜあの時間帯にCOD(コール・オブ・デューティー)をプレイし、配信していたのかもわからない。明らかに、彼のキャリアのためにもっと有益なことができたはずだ!」

「私が知っているのは、彼がその言動の結果、レッドブルから契約を打ち切られたこと。彼にとっては大きな痛手であり、当然の厳しい罰であるということだ」

「実際は、その罰が適切であるかどうかについて満場一致の同意はないだろうし、それは理解できることだ」

 これに対しF2側は、ヴィップスをチームに留めるというハイテックの判断は「驚きだった」として、声明を発表した。

「ユーリ・ヴィップスが関与した直近の出来事を受けて、改めてF2は人種差別や差別的な発言の使用はいかなる場合においても容認できないということを強調したい」

「ハイテックの今回の決定は驚くべきモノであり、我々が採るべきモノではなない」

「我々はこうした行動に対して適切な対処ができるよう、彼らと共に状況を注意深く見ていく」

 
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