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インタビュー

eスポーツ王者から“リアル”の頂点へ。“日の丸戦士”フラガ「F1日本GPに出たい」

eスポーツレース界のスターであるイゴール・フラガは、カストロール・トヨタ・レーシングシリーズを制し、リアルレースの世界でもチャンピオンに輝いた。日本で生まれ育った彼は、F1ドライバーとなって“故郷”に凱旋することを夢見て、ジュニアフォーミュラの階段を駆け上がっている。

Igor Fraga em Menfeild

Igor Fraga em Menfeild

Divulgacao

 ”もうひとつのF1登竜門”として注目を浴びつつあるカテゴリーが、1月から2月にかけてニュージーランドで開催される”カストロール・トヨタ・レーシングシリーズ”である。シリーズの歴史は長くこれまでも多くの有力選手が参戦してきたが、新しく世界統一規格となったフォーミュラ・リージョナル同等のフォーミュラ・トヨタFT-60が使われるようになった昨年来、北半球がシーズンオフの間にスーパーライセンスポイントを稼げるレースとしてより注目を集めるようになり、ヨーロッパからF1候補生を含む有力若手選手が参戦して闘いは激化した。

 実際、今年も1月第3週から始まり1週間ごとにニュージーランド国内を転戦する全5大会15レースからなるシリーズは大激戦となった。そしてシリーズを制したのは、日本とも縁の深いブラジル人選手、イゴール・フラガであった。

 日本で生まれ育ち、日本語はもちろんポルトガル語、英語を自在に操るフラガは今21歳。実はすでに彼はFIAが認定する世界チャンピオンとして頂点を極めた王者である。というのも彼は、2018年度FIAグランツーリスモ選手権、つまり家庭用ゲーム機用ドライビングシミュレータによるレースの世界チャンピオンなのだ。バーチャルの世界で世界チャンピオンとなった彼は今、リアルの世界でも頂点を目指しF1に向けて突進している。カストロール・トヨタ・レーシングシリーズで王者となった直後のフラガに話を聞いた。

■ニュージーランドでの結果についてはどう思っていますか?

Igor Fraga em Hampton Downs

Igor Fraga em Hampton Downs

Photo by: Divulgacao

「ニュージーランドでは強烈な5週間を過ごしました。予選はいつもタイトだったし、コース上でのバトルも激しかったです。最後のレースで優勝のチェッカーフラッグを受け、ランキングを逆転してシリーズチャンピオンになれた時には、自分で自分の成し遂げたことが信じられませんでした」

 シリーズ第3大会でランキングトップに躍り出たフラガは、第4大会で不運なアクシデントに見舞われたこともありリアム・ローソンにランキングを逆転され苦しい状態で最終第5大会を迎えた。ところが第5大会の週末、土俵際の粘り腰を見せた彼は3レース中2勝を挙げてランキングを再び逆転し、シリーズチャンピオンに輝いたのである。

■eスポーツとリアルモータースポーツの“2刀流”にはどんなメリット、相乗効果がありますか?

「2つの世界では難しさが違い、どちらの難しさもドライバーの能力を上げると思います。例えばeスポーツではクルマからのインフォメーションがリアルと比べるとはるかに少ないので、クルマに合わせて限界に持っていくのが難しいです。でもリアルではクルマからのインフォメーションが多くなるので、乗りやすく感じます。また、セットアップ等の変更についても感じやすくなりました」

 加速G、コーナリングGのかからないバーチャルレーシングは、インフォメーションが少ないためむしろ難しく、その分リアルレーシングの練習になるとフラガは言っている。

■FIAグランツーリスモ選手権などeスポーツでの実績は、リアルの世界でジュニアフォーミュラを闘おうとしたとき、シートを勝ち取るにあたっての武器になりましたか?

「正直に言うと、なりませんでした。(eスポーツは)今はまだ新しい競技なのでチーム側からそのまま評価されたとは思いません。ただeスポーツは今後凄い勢いで大きくなっていくでしょうから、ここから先の状況はどんどん変わっていくと期待しています」

 すでにフラガはeスポーツの世界では世界的スター選手である。しかしそれがリアルレーシングの世界で評価されているかというと、少なくとも現時点では決してそうではないようだ。

■自身が最近のジュニアフォーミュラで残した活躍、成長ぶりにはeスポーツが良い影響を与えていると言えますか?

「はい、そう思います。バーチャルからもこんなに速く走れるようになると確実に証明できているように感じます。僕の人生はグランツーリスモのおかげで変わったので、それに対してやはり良い影響を与えられるように頑張っています」

 eスポーツの成績は直接評価されるには至っていないが、リアルレーシングの世界で活躍するためのきっかけにはなっているのだとフラガは胸を張る。昨年はフォーミュラ・リージョナル欧州選手権で4勝しランキング3位につけた後、ニュージーランドでシリーズチャンピオンとなり、今年のFIA-F3選手権参戦へ向けた勢いは十分だ。

■将来的なeスポーツの“可能性”をどう考えていますか?

Formula 1 Driver, Lewis Hamilton gets advice from Igor Fraga (IOF_RACING17) of Brazil during the Pro-Am race

Formula 1 Driver, Lewis Hamilton gets advice from Igor Fraga (IOF_RACING17) of Brazil during the Pro-Am race

Photo by: Gran Turismo via Getty Images

「毎年大きくなっているのは確実です。今は”モータースポーツ”の形が変わりつつある時代であり、eスポーツはもしかたらその変化に良い意味で鍵として働くのではないかと思っています」

 リアルレーシングの世界でもeスポーツに着目する人々は確実に増えている。実際、フェラーリやマクラーレンなどF1チームはeレーシング部門を作り人材を育てる体制を整えつつある。フラガはマクラーレンのeレーシングチームに所属し、ファクトリーで実際のシミュレータトレーニングを受けてもいる。時代は着実に動きつつあり、フラガはその先頭を走っているのである。

■今年参戦するFIA F3での1年目は学習の年にしたいと語っていましたが、具体的な目標はありますか?

「やはり今年は”学習”がとても重要になる1年だと思います。ただレースにはやっぱり勝ちたいし、スーパーライセンスまで後5ポイントなので、ランキング6位以内で今シーズンを終えるのが目標です」

 フラガは今年、FIA-F3選手権シリーズに参戦するが、他のF1候補生と異なりメーカーなどが展開するスカラシップのような大きな後ろ盾のないままここまで自力でF1への道を切り開いてきた。しかし昨年のフォーミュラ・リージョナル欧州選手権、そして今回のカストロール・トヨタ・レーシングシリーズと着々とスーパーライセンスポイントを重ね、F1進出資格に王手をかけた。そしてなんとその戦果を認められた形でこのほどレッドブル・ジュニア・チームへの起用が決まり、これまでにない強力な体制で今シーズンに臨むこととなった。

■フラガ選手にとっての“日本”とは? F1を目指しているが、将来的に日本でレースをすることに関心はありますか?

「日本は僕が生まれ育った国であり、故郷です。そして僕が大好きな国でもあります。いつかF1で日本グランプリに出られたら最高です!」

 ニュージーランドを駆け抜けたフラガのチャンピオンカーのリヤカウルには、ブラジルの国旗と日本の国旗が並べて描き込まれていた。また彼のヘルメットのカラーリングにも、ブラジルと日本のナショナルカラーが織り込まれている。彼はブラジル選手であると同時に日本選手でもある。新型コロナ肺炎騒動で開幕が延期されているFIA-F3選手権ではあるが、フラガの動向にはぜひ注目し応援していきたいものである。

 

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