アプトまさかの優勝剥奪。レース後車検で車両違反が見つかる
開幕戦香港ePrixのレース2でシリーズ初優勝を飾ったアプトだが、レース後の車検で違反が発覚し、優勝が剥奪された。

アプト・シェフラー・アウディ・スポートのダニエル・アプトは、日曜日に行われた香港ePrixのレース2でフォーミュラEで初めてトップチェッカーを受けた。またこれは、ワークスチームとなったアウディにとっても初めての勝利……となったはずだった。
しかしレース後の車検で、インバーターとモーターに貼られているFIAのセキュリティステッカーがアプトのマシンのテクニカルパスポートと一致しないことが明らかになった。
これはテクニカルレギュレーションとスポーティングレギュレーションに違反しており、アプトのレース結果は剥奪されることとなった。
アウディはこの決定から1時間以内(現地時間の午後6時55分まで)は正式に抗議を申し出ることができるようになっている。
アプトのレース結果が剥奪されたことにより、フェリックス・ローゼンクヴィスト(マヒンドラ)が繰り上がりで優勝。シリーズ2勝目を記録した。レース2のポールポジションを獲得していたローゼンクヴィストは、セーフティカー明けの2周目にターン1でスピンを喫したものの、最終的には2番手でレースを終えていた。
以下3位に入賞していたエドアルド・モルタラ(ヴェンチュリ)が2位に、4位のミッチ・エバンス(ジャガー)が3位となり、エバンスはジャガーに初表彰台をもたらした。
もしアプトの優勝が取り消されなければ、アプトは開幕戦を終えて早くもランキング首位に立っていたはずだった。しかし現在はレース1勝者であるサム・バード(DSヴァージン)が35ポイントで首位、2ポイント差でジャン-エリック・ベルニュ(テチータ)が2位につけている。
またこれにより11位でレースを終えていたセバスチャン・ブエミ(ルノー・e.ダムス)が10位に繰り上がり、開幕戦でなんとか1ポイントを獲得した。
なおアウディは、別のレギュレーション違反を犯したとして5000ユーロ(約66万5000円)の罰金も科されている。アウディの5人のスタッフは、最後のマシンがパルクフェルメに入る前に表彰台へ向かおうとしてトラック上に出たが、スチュワードはこの行為を”安全に関するレギュレーションの深刻な違反”だと判断したのだ。
アプトに科されたペナルティはフォーミュラEの中でも注目を集めている。またアウディがレース後の審議によって優勝を逃したのはこれが3度目である。シーズン1(2014/15年)ではルーカス・ディ・グラッシがベルリンで優勝を剥奪され、翌シーズン2(2015/16年)でもメキシコシティで優勝を失っている。なおシーズン2ではこれがタイトル争いに影響を及ぼしてしまっていた。
ちなみにディ・グラッシは、シーズン3(2016/17年)でタイトル争いのライバルであったブエミがベルリンで6位を、モントリオールで4位をそれぞれ失ったことで利益を得て、タイトル獲得に繋がった。
なおアウディ・スポート・アプト・シェフラーはこの裁定に異議を唱えることを決定。最終的な判断は、FIA国際裁判所に委ねられることになった。
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この記事について
シリーズ | フォーミュラE |
イベント | 香港ePrix |
ロケーション | 香港ストリート・サーキット |
ドライバー | ダニエル アプト |
チーム | アウディ・スポーツABT |
執筆者 | Scott Mitchell |