ディ・グラッシ、最終戦直前インタビューで「ブエミと戦うのは誇り」

フォーミュラE最終戦のスタート直後、ライバルのブエミに追突したディ・グラッシ。そのレース直前にブエミとの戦いについて語っていた。

 ロンドンePrix第10戦の予選後、アプト・シェフラー・アウディ・スポートのルーカス・ディ・グラッシがインタビューに答えてくれた。ルノー・e.ダムスのセバスチャン・ブエミとタイトル争いを繰り広げている真最中だ。そこではディ・グラッシはブエミを讃え、彼とタイトル争いができることを”誇り”とまで言ったのだが……。

——フォーミュラEの現状に関して。

「非常にバランスの取れたシリーズだと思う。エンターテインメント、技術、コストコントロールの3つの要素が上手く働いている。特にコストコントロールに関してはF1とは対極にある。モータースポーツ自体が縮小気味の今、フォーミュラEは踏ん張っているという印象だ」

——今週末のフォーミュラE最終戦はタイトルがかかっており、ドライバーとしてもプレッシャーが大きいと思う。克服するのに必要な要素は?

「安定した走り、クルマの技術を十分に理解する能力、レース戦略を細部まで理解してそれを行使する力、精神的に強い、いわゆる冷血であること、自分を信じること、そういったことが必要だと思う」

——あなたがル・マンやフォーミュラEに出ているように、レースドライバーは様々なカテゴリーに対応しなければいけない。

「先週のル・マンでは1200馬力のアウディを運転し、今週は300馬力に満たないフォーミュラEを運転している。時にはもっと馬力の少ないGTカーも走らせるし、何でも運転しなければいけない。そういう意味では僕は結構能力あると思うよ。多才な能力って貴重でしょ。これまで経験を積んできたおかげだと思うけどね。今31歳になって、そのことを感じるね」

——フォーミュラEでタイトルを争っているセバスチャン・ブエミとはずっと一緒にレースを戦って来た。F1で一緒の時もあったし、WECでも戦っている。彼こそあなたの真のライバルと言えませんか?

「いやいや、全然そんなことはない。同じカテゴリーで戦ってきたのは、我々ふたりが参加するあらゆるレースで好成績を収めてきたからで、その結果同じようなカテゴリーでライバルとして戦う状況が生まれたということだ。GP2では短い間だったけど同じチームにいたこともある。テニスプレーヤーみたいなもので、いろんな大会に行ってもトップクラスのテニスプレーヤーは同じ相手と戦うことになる。モータースポーツでも同じだ。F1は世界の仕組みが違うから別だけど、その他のモータースポーツでは常に速いプロのドライバーはどこに行っても当たることになる。ロイック・デュバル、サム・バード、セバスチャン・ブエミといったところとはね。ブエミとはチャンピオン争いをしているが、彼は素晴らしいドライバーで、もし彼がタイトルを獲ったらそれは彼が速く、安定していて、獲る価値があるからだと思う。彼は現在、世界のトップ20ドライバーのひとりであることは確かだ。だから僕は彼と争うことを誇りに思っている。もちろん、彼をやっつけるためにベストを尽くすが、我々はふたりとも勝てる可能性があると思う」

——ところで、あなたにとってモータースポーツとは何ですか?

「モータースポーツは僕の人生の通過点だと思っている。モータースポーツから引退したら、次は違う世界に進んで新しいことに挑戦したいと思っている」

——モータースポーツの世界で何か始めるとか?

「いつだったかある雑誌でインタビューに答えたことがあるが、随分と昔のことだけど、モータースポーツが大好きだったから、その世界を使って社会が良くなるようなことをしたいと考えたことがある。数年前、このフォーミュラEを考え、企業を呼び込んで今のように成立させた主宰者の力には脱帽するが、僕も同じようなことを考えていた。もちろんチャリティなどではなく、それが目的でもなく、正しいメッセージを正しいコンセプトに沿って広げていく。モータースポーツによって社会を良くすることが出来ると思う」

——ブラジル人は慈悲深い国民ですか? アイルトン・セナも同じようなことを言い、実行していたように思えます。

「それは違う。アイルトンは神だ。彼は人間のレベルが違う。しかし、彼は彼の現役時代に非常に強いメッセージを発している。安全であること、情熱的であること。これはモータースポーツが社会に対して訴えることのできる好例だ」

取材・文:赤井邦彦

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この記事について
シリーズ フォーミュラE
ドライバー ルーカス ディ・グラッシ
記事タイプ 速報ニュース