メカニックを”撥ねた”ロッテラー「レースでは起こり得ることだ……」
アンドレ・ロッテラーは、フォーミュラEのピットストップでスタッフが負傷するリスクは、他のレースでも起きうる可能性があるものだと語る。










フォーミュラEのメキシコシティePrixの決勝レース中、テチータのアンドレ・ロッテラーは、マシンを乗り換える際に左サイドにいたチームスタッフを引きずる形で発進してしまった。この事故でスタッフは負傷し、ロッテラーには”危険な発進”だったとしてドライブスルー・ペナルティが科せられた。
フォーミュラEではシリーズ開始から長きにわたって、マシン乗り換え時の安全を確保するために、ピットストップの最低時間が設定されていた。しかし、前戦サンティアゴePrixからこれが廃止され、その翌戦にいきなりこのような事故が起きてしまった。
ロッテラーは今回の事故について、次のように語った。
「これは起こりうる可能性のあることだと思う。おそらく全てのレースで。しかし、ウチのガレージ以外でね」
そうロッテラーは語った。
「誰もがマシンを限界まで攻めている。全員が非常に接近戦を繰り広げているんだ。ベルトが締まってしまえば、メカニックが飛び降りるようなスペースはなくなってしまう」
「でもそれは、他のカテゴリーのピットストップでも同じだ。メカニックはタイヤを交換する。そして、こういう事故が起きる時もある」
「これもレースの一部なんだ」
ロッテラーのマシンと接触したメカニックは、靭帯に損傷を負った。
「僕はいつもと同じように発進した。でも、おそらくはほんの少しだが、早かったのかもしれない」
ロッテラーは事故についてそう説明する。
「何が起きたのか、僕には分からないよ」
「でも彼は大丈夫だった。それは重要なことだ」
「レース結果については残念だった。それまでは7番手を走っていたのに、(ペナルティの結果)13番手に落ちてしまったからだ」
今回のメキシコシティePrixで優勝したのは、アウディ・スポート・アプト・シェフラーのダニエル・アプトだった。アプトはオリバー・ターベイ(NIO)よりも格段に早いピットストップを行い先頭に躍り出ると、そのままレースを逃げ切ってトップチェッカーを受けた。
アプトはメカニックの仕事ぶりに敬意を表しながらも、乗り換え作業については「信じられないほどストレスが多い」と語った。
「いつも言ってきたように、僕はそれ(レース中にマシンを乗り換えること)を好きになれない。今日の作業は気に入っているけどね。でも、とても厳しいことなんだ」
そうアプトは語った。
「僕らにとってというより、その作業はメカニックにとって厳しい。何かひとつの手順を間違えることは簡単に起こり得るし、それがレースやその他の何かに影響を及ぼしてしまうこともあるんだ」
この記事について
シリーズ | フォーミュラE |
イベント | メキシコシティePrix |
ロケーション | アウトドローモ・エルマノス・ロドリゲス |
ドライバー | アンドレ ロッテラー |
チーム | テチータ |
執筆者 | Alex Kalinauckas |