フォーミュラE初参戦の小林可夢偉「日本からのファンブーストを!」

フォーミュラEシーズン4開幕戦香港ePrixに参戦する小林が記者会見に臨み、フォーミュラE参戦に至った経緯や意気込みなどを語った。

 11月15日、小林可夢偉がフォーミュラEシーズン4(2017/18年)開幕戦香港ePrixにアンドレッティからスポット参戦することが明らかになった。小林は記者会見を行い、フォーミュラE参戦に至った経緯や意気込みなどを語った。

 年々多くのマニュファクチャラーが集まっているフォーミュラE参戦に興味があったと語る小林。実はシーズン3(2016/17年)序盤から参戦のチャンスを伺っていたという。これまでも他チームでのテストの機会を掴めそうだったが、日程が合わずに断念したと小林は明かした。

「最後の最後、ポロっとチャンスが巡ってきました。残念ながらテストをせずに香港へ訪れることとなりますが、このチャンスをくれたアンドレッティや協力してくださった多くの人々に感謝しています」

「テストできないことが本当に残念ですが、チャンスはチャンスです。これまでのことを考えるとなんとかなるんじゃないかと考えています。そして自分自身でフォーミュラEの楽しさを実感し、ファンにもその楽しさを伝えたいですね」

 これまで様々な世界選手権でレースをしてきた小林だが、ここでまた新しいレースカテゴリーに飛び込むことになる。しかし小林のチームにはこれまでのキャリア上で知り合った人々がおり、すでにフォーミュラEに溶け込めているようだ。

「フォーミュラEって僕のF3時代のチームのエンジニアがマシンを開発していたり、当時のチームメイトやライバルたちがトップ争いしているレースなんですよね。実質、僕のメカニックは元々(塚越)広大(2008年F3・ユーロシリーズをマノーから参戦)のメカニックなんです。さらにチームマネージャーになるのは元々ダンディライアンに所属していてリチャード・ライアンがチャンピオンになった時のエンジニアなんですね。なのでやりやすいイメージを持っていますね」

「WECではトヨタ・ワークスとしての戦いになるのですが、フォーミュラEはドライバー個人としての楽しみがあるのではないかと期待しています。また今までの仲間たちと会ったり、ライバルたちと戦うのも楽しみです」

ドライバーとしての"引き出し"

 小林は初めてのフォーミュラE参戦の中で、ドライバーとしての"引き出し"を増やすチャンスに恵まれることを期待していると語った。

「ドライバーとしてやることでひとつ言えるのは、バッテリーについてのノウハウを得られたり、ドライビング面での引き出しとかは増えそうだなということです」

「例えばフォーミュラEは予選で出力が上がるので、できるだけ速く走るためにブレーキを遅らせるようにすると思うんです。しかし予選でニュータイヤを履いても、"普段よりも10m手前でブレーキをかけないと止まらないよ"とみんなに忠告されています。そういったことも経験すれば今後の引き出しになりますよね」

「ドライバーとしてどれだけ速く走れるのかという挑戦にもなると思います。どんなドライバーにとっても難しいと言われてますし、誰もが思ったよりも難しいと感じたと話しています。そういったカテゴリーにチャレンジするのはドライバーとして楽しみですね」

 小林がWECでドライブするLMP1車両にもエネルギー回生システムが搭載されており、そのステアリングシステムは非常に複雑である。そのようなステアリングを普段使いこなす小林でも、フォーミュラEのマシンを操ることは非常に挑戦的であるという。

「システムに関してもドライバーにとって難しい部分があります。あるチームはエネルギー回生をマニュアルで行なっていたり、チームによっては全てオート化されているところもあります。WECをやっていると"そんなものもないんだ"という機能があったりします。そこがフォーミュラEで制限されている領域なんですが」

「さらにドライバー任せなところも多く、ドライブが忙しくなると聞いています。無線でのやり取りが重要で、ハンドルにあるスイッチの変更も大事。ちょっとしたことで完走できるかわからなくなります」

「さらにF1の市街地レースよりもフォーミュラEは路面がボコボコの道で開催されています。レーシングサーキットというよりも本当に市街地なんですよね。そういった難しさもあります」

ファンブーストの効果

 シーズン5(2018/19年)から日産がフォーミュラEに参戦することがすでに報じられているが、小林がフォーミュラEに参戦する3人目の日本人ドライバーとなることで、日本でもフォーミュラEに対する関心が徐々に高まりつつある。今回小林はスポット参戦することになるが、今後も継続して参戦することを望むモータースポーツファンもいることだろう。

 小林は将来的な参戦について次のように語った。

「僕自身フォーミュラEのCEOである(アレハンドロ・)アガクとよく話をしています。彼は誘ってくれていたのですが、3カテゴリーの両立は現実的なのかという問題がありました」

「一回やってみて、ダメだな……と思えばそれまでだと思います。本当であれば、オファーもらえるくらいやらないといけないと思うんですが。他のレースとの折り合いをみてという感じですね。今回は他のレースに影響しないのでトヨタから了承を得ることができました」

 フォーミュラEは、SNS上の人気投票を元にした"ファンブースト"と呼ばれるシステムを導入している。これは毎戦行われており、人気投票で多くの票を獲得した上位3名のマシンが、レース中にエキストラパワーを数秒間だけ得られるというものである。

 日本でのフォーミュラE開催を望む小林は、その後押しのためにも香港ePrixを"ファンブースト"で応援してほしいと呼びかけた。

「本音を言うと、ファンブーストっていらないんです(笑)。ドライバーたちも後半はほとんど使っていないんですよ。ファンブーストを使ってしまうとバッテリーが高温になってしまって、後々が大変になるみたいです」

「でも日本人が1度だけフォーミュラEに参戦するチャンスがあります。そのチャンスの中でファンブーストをいただけたら非常に嬉しいなと思います。気持ちだけでも大丈夫ですが、できればファンブーストで僕に投票してください。そうすれば日本人もフォーミュラEに興味があるんだぞということを示せると思います。いつか日本のフォーミュラE公道レース実現の手助けになるんじゃないかなと思うのが本音のところです」

「でももしそのファンブーストをレース中に使わなくても、バッテリーの温度の問題だから怒らないでください(笑)。ただ日本での公道レースの第一歩となると思うので是非ご協力ください」

 フォーミュラEシーズン4開幕戦香港ePrixは12月2日・土曜日にレース1、その翌日の12月3日・日曜日にレース2が開催される。

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この記事について
シリーズ フォーミュラE
記事タイプ 速報ニュース