決定から一転……ピットストップ最小タイム廃止延期が決定。安全に懸念

参戦チームの訴えにより、マラケシュでのレースではピットストップ最小タイムの廃止が延期されることになった。

 これまでのフォーミュラEのレースでは、ピットレーンに入ってから出て行くまでの最短時間をFIAが設定していた。今週末のマラケシュePrixからこのルールが廃止されることが決定していたが、チームの訴えにより廃止が延期された。

 バッテリー容量の関係上、レース中盤でマシンの乗り換えが発生しているフォーミュラE。レギュレーションで定められているわけではないものの、シートベルトを外しマシンを乗り換えベルトを締め直し、マシンを始動するという一連の流れを安全に行うため、ピットインに最小限タイムが設定されている。

 しかし、チーム側がマシン乗り換えのプロセスを改善してきており、設定タイムも徐々に短くなっていった。

 FIAはこの設定タイムが、実質的に可能な限り最速のピット作業時間に達したと判断。そのため、このルールを廃止してもリスクはないと考えていた。

 この決定は今週チームに通達されたが、いくつかのチームやドライバーは決定に不満を抱いたようだ。

 マシンを乗り換える際に他チームとタイムを争うことになるため、ドライバーやメカニックがミスをする可能性を生み出し、深刻な結果を招くことにもなりかねない。また決定の通知から、安全な作業手順を確立するまでに十分な時間がないと彼らは主張している。

 そのため、チームが共同でマラケシュのスチュワードに書面を提出。2月に行われるサンティアゴでの第4戦まで最小限タイム廃止を延期し、チームが準備をする時間を設けるよう要請した。

 スチュワードはイベントの安全性に関する最終的な管轄権を持っているため、今週末のレースではピットストップ最小限タイムを”45秒”とすることを決定した。

 motorsport.comの取材では複数のドライバーが、レースでピットインした際、マシンの乗り換えに余裕はすでにないと認めている。しかし、故意か過失かにかかわらず、乗り換えを急いだためにシートベルトがきちんと装着されていないドライバーが出るかもしれないという点については懸念していた。

 一方で、パワートレインメーカーはそれぞれ異なるソフトウェアを使用しているため、マシンを始動する時間にも若干のバラつきがある。つまり、ピットインの設定タイムがなくなることで特定のチームに不公平な形で有利不利が生じる可能性もある。

 オリバー・ターベイ(NIO)は、motorsport.comに次のように語った。

「安全でなければならない。ピットストップの最低タイムがなくなれば、競争になる。みんな、可能な限り速く作業を終えたいと思うはずだ」

「誰にとっても安全で、公平であるならば、レースに新たな要素が加わることになる」

「設定タイムは常にかなり厳しかったので、そのタイムを下回るのは簡単なことじゃない。でも少なくとも、あらゆることを急ぐ必要はなかった」

「(最低タイムが設定されていることで)安全性が少し高まっていた。それは、僕達よりもメカニックやピットレーンにいる人々にとって大切なことだ」

 ジェローム・ダンブロジオ(ドラゴン)は、この決定を”クール”だと表現したものの、「適切に監視を行わなければならない」と述べた。

「それはエキサイティングだ。他と比べて差をつけられるところが増えた」

「非常に危険なことが起こる可能性もあるが、コンセプトは非常にクールだ」

 なお、シーズン5からはバッテリー容量が増加し、レースは1台のマシンで争われる予定となっている。

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この記事について
シリーズ フォーミュラE
イベント名 マラケシュePrix
サーキット Circuit International Automobile Moulay El Hassan
記事タイプ 速報ニュース