ニック・デ・フリーズ、フォーミュラE初代”ワールドチャンピオン”獲得を喜ぶ「運が僕らに味方したことに感謝」
フォーミュラEの”初代”ワールドチャンピオンに輝いたメルセデスのニック・デ・フリーズは、「運が僕らに味方したことに感謝している」と語る。
写真:: Andrew Ferraro / Motorsport Images
フォーミュラEの2020-2021シーズン最終戦ベルリンePrixがテンペルホーフ空港特設コースで行なわれ、8位でフィニッシュしたメルセデスのニック・デ・フリーズが、ドライバーズチャンピオンに輝いた。フォーミュラEは今シーズンからFIAの”世界選手権”シリーズに昇格しているため、デ・フリーズはフォーミュラEの初代”ワールドチャンピオン”に輝いたということになる。
そのデ・フリーズはチャンピオン獲得について、「運が僕らに味方した」と語っているが、確かにその言葉通り、最終戦は何もかもがデ・フリーズに味方したようなレースだったと言える。
デ・フリーズは、ランキング首位で最終戦を迎えた。しかしランキング2番手のエドアルド・モルタラ(ベンチュリ)とはわずか3ポイント差。しかもチャンピオン争いは大混戦であり、10人以上にチャンスがある状態だった。さらにデ・フリーズは予選でうまくいかず、13番グリッドからのスタート。チャンピオン争いの行方は分からないという状況でのスタートとなった。
しかしシグナルがブラックアウトし、レースがスタートすると、運はデ・フリーズに次から次へと味方していくことになる。
まずランキング4番手で、3番グリッドにつけていたミッチ・エバンス(ジャガー)が、”エンスト”のような状態となりグリッド上でストップ。そこにランキング2番手で11番グリッドのエドアルド・モルタラ(ベンチュリ)が追突してしまう。両者のマシンは大破し、ここでリタイアすることになった。
さらにこのクラッシュでの赤旗中断後、レース再開時にはランキング3番手のジェイク・デニス(BMW)が、ターン1で減速しきれずにウォールに激突してリタイア。つまりレーススタート直後に、ランキング2〜4番手が一気に姿を消したのだ。
その後も、チャンピオンの可能性を残していたアントニオ・フェリックス・ダ・コスタ(DSテチータ)がリタイアしたり、ルーカス・ディ・グラッシ(アウディ)がペナルティを受けたりするなど、ライバルが次々と脱落。デ・フリーズはポジションを上げただけでなく、走りきればチャンピオン獲得……という状況になっていったのだ。
結局デ・フリーズは8位でフィニッシュしたものの、チャンピオン獲得には十分。チームメイトのストフェル・バンドーンも3位に入ったため、メルセデスもチームタイトルを獲得することができた。
デ・フリーズは、ベルリンePrixでは運を味方につけたと認めつつも、自らのパフォーマンスはチャンピオン獲得に値するモノだったと語った。
「言葉がないよ」
そうデ・フリーズは語った。
「少し感情的になり始めている」
「もちろん、ミッチ(エバンス)とエド(モルタラ)に起きたことには残念に思っている。彼らは、最後まで戦うのに値したはずだ。ずっと接戦のチャンピオンシップだったからね」
「誰もが、浮き沈みが大きかった。そして、みんな同じような状況だったんだ。だから今日のような、誰もがチャンピオンシップに挑むことができる状態になったんだ」
「そして、運が僕らに味方したことを感謝している。でも僕らは信じられないほど力強いレースを走ったと思うし、それを誇りに思う」
「誰もが懸命にプッシュし、昼夜を問わず働いてくれた。チームにこのような結果をもたらしてくれたことに、とても感謝している」
「僕個人としては、まだ少し落ち着く必要がある。まだよく理解できていないんだ。2010年と2011年に、カートの世界選手権で勝ってから10年。そして2019年にはF2を制した。そして今回のチャンピオンを、誰も僕から奪い取ることができなかった。そのことが重要だし、とても満足している」
デ・フリーズは非常に力強い形でシーズンをスタートした。しかしシーズンが進むに連れてその相対的なパフォーマンスは下落していき、第11戦ニューヨークePrixを終えた時点では、ランキング首位のサム・バード(ジャガー)から22ポイント遅れの10番手まで落ちてしまっていたのだ。
彼とメルセデスは、シーズン中何度かミスを犯したこともあった。しかし彼らが安定した結果を残せなかった最大の要因は、フォーミュラEの予選システムにあるとも言える。フォーミュラEは、4グループに分けて予選を行なう形になっており、ランキング上位のドライバーは、第1グループに振り分けられる。サーキットの路面は走行を重ねるに連れてラバーが乗り、グリップが増していくため、最初に走行するのは後から走るドライバーたちと比較して圧倒的に不利なのだ。デ・フリーズはこのシステムに足を引っ張られた形になった。
チーム代表のイアン・ジェームスは、今シーズンのチームの浮き沈みについて、次のように語った。
「今日のレースはほとんど、ピークとも言える状態だった」
そうジェームス代表は語る。
「このシリーズは、何が起きるか分からないように設計されているため、落ち着くのにしばらく時間がかかる」
「シーズンを振り返れば、自分たちでミスをしたこともあったのは確かだ。他の人たちと同じように、運が悪いと思ったこともあった。でも、最終的にはうまくいった」
「メルセデス・ベンツという観点から言えば、127年ものモータースポーツでの歴史があり、そしてフォーミュラEで最初のワールドチャンピオンになることができた。しばらくの間、それを味わうつもりだ」
メルセデスは、先行してフォーミュラEに参戦したHWAのプロジェクトを引き継ぐ形で、2019-2020シーズンから参戦をスタート。ワークス体制として2シーズン目で、ダブルタイトルを獲得してみせた。しかし2021-2022シーズンを最後に、フォーミュラEから撤退するのではないかという噂も立ち始めている。
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