【FE】メキシコ決勝:ディ・グラッシ、大ギャンブル成功で今季初優勝
フォーミュラEシーズン3第4戦メキシコシティePrixの決勝で優勝したのは、ABTアウディのルーカス・ディ・グラッシだ。
写真:: Zak Mauger / Motorsport Images
フォーミュラEシーズン3第4戦メキシコシティePrixの決勝が、現地時間4月1日16時(日本時間4月2日7時)に開催された。優勝したのは、ルーカス・ディ・グラッシ(アプト・シェフラー・アウディ・スポート)だった。
予選でポールポジションを獲得していたダニエル・アプト(アプト・シェフラー・アウディ・スポート)とジェローム・ダンブロシオ(ドラゴンレーシング)が、予選後の車検でタイヤの内圧が規定を満たしていなかったため、タイムが無効となってしまった。よってアプトは、18番グリッド、ダンブロシオは19番グリッドに降格した。また予選3位のマーロ・エンゲル(ヴェンチュリ)も、ギヤボックス交換のために10グリッド降格したため、12番グリッドからのスタートとなった。
アプトの降格により、オリバー・ターベイ(ネクストEV NIO)が繰り上がりで初のポールポジションスタートとなった。
気温27度のドライコンディションの中、決勝レースがスタート。
ターベイは好スタートを切り、ホールショットを決める。4番手のニック・ハイドフェルド(マヒンドラ)がテチータのジャン-エリック・ベルニュを交わし、3番手にポジションをあげた。また、アンドレッティのアントニオ・フェリック・ダ・コスタは、6番グリッドだったが、第1コーナーを曲がりきれずにコースオフしたため、順位を落とした。
1周目のターン3-4で、多重クラッシュが起きる。これでディ・グラッシはリヤウイングを大破したためピットイン。ヴェンチュリのステファン・サラザンもピットに戻った。またルノー・e.ダムスのニコラス・プロストもノーズを交換することとなった。なおこのクラッシュで飛散したパーツを回収するため、セーフティカーが出動する。
レースリスタート後の6周目、ルノー・e.ダムスのセバスチャン・ブエミがマヒンドラのフェリックス・ローゼンクビストを抜いて、6番手に浮上した。その翌周、今回がフォーミュラEデビューとなるエステバン・グティエレス(テチータ)は、ダ・コスタとロビン・フラインス(アンドレッティ)に先を行かれて12番手となった。
13周目、首位を走行していたターベイが突然トラブルに見舞われ、ターン1でマシンを停車させた。ターベイはそのままリタイア。マシンの回収のために16周目にこのレース2回目となるセーフティカーが出動した。ターベイの脱落によって、ホセ・マリア・ロペス(ヴァージン)がトップとなった。
セーフティカー先導でレースが進んでいく中、18周目にディ・グラッシとダンブロシオがマシンを乗り換えるためにピットイン。これがレースの命運を大きく分けることになった。
ダンブロジオが18番手、ディ・グラッシ19番手に落ちたものの、セーフティカー先導中だったために周回遅れになることなく隊列に復帰。19周目からレースが再スタートした。
25周目、3番手のベルニュが他車より先にピットイン。翌周、他のマシンもピットインし、マシンを乗り換える。そして全車がピットインを終えた段階でトップに立ったのはディ・グラッシで、後続に30秒以上のリードを築いている。ただ、当然のごとくバッテリー残量は厳しい。
27周目、ドラゴンレーシングのロイック・デュバルがコース上にストップしてしまう。このマシンを回収するために3度目のセーフティカーが出動。ディ・グラッシは後続に対するリードを失うものの、バッテリー残量を温存することができた。
レース再開後の33周目、ダ・コスタが突如スローダウンし、マシンをストップさせた。また35周目のターン1で2番手のダンブロシオを抜こうとしたロペスと、ストレートでファンブーストを使ったもののコントロールを失ったブエミがスピンを喫したため、順位を大きく落とした。
そのためベルニュが3番手、バードが4番手、5番手にハイドフェルドに浮上。その3人がダンブロシオに約0.1秒で迫った。ディ・グラッシとダンブロジオのタイム差は徐々に開き、残り6周の段階で4.3秒差がついた。
ダンブロジオは、ベルニュに何度も仕掛けられるものの、懸命にブロック。その間に先頭のディ・グラッシは、バッテリー残量を温存しながら、後続とのギャップを開いていく。
残り3周というところで、さすがにバッテリー残量が厳しくなったダンブロジオはとうとうベルニュに抜かれてしまう。さらにミッチ・エバンス(ジャガーレーシング)を抜いたプロストが6番手に浮上。さらに後方では、ローゼンクビストがスピンを喫し、チームメイトのハイドフェルドがそれに突っ込んでしまい大クラッシュとなった。
ダンブロジオを攻略したベルニュだが、時すでに遅し。結局早めにマシンを乗り換える作戦に出たディ・グラッシが、トップでフィニッシュラインを横切り、優勝を果たした。大逆転、大ギャンブルの成功である。
2位にはベルニュ、3位はサム・バード(DSヴァージン)となった。4位にはエバンスが入り、8位のアダム・キャロルとともに、ジャガーに初ポイントをもたらした。5位はプロスト、6位にロペス、7位にアプトがつけた。ネルソン・ピケJr.(ネクストEV)は9位。グティエレスは初フォーミュラEレースだったものの10位入賞で初ポイントを獲得した。
ブエミはピット作業での遅れ、そして痛恨のスピンがあったため14位でフィニッシュ。ただなんとかファステストラップを記録したため、1ポイントを獲得した。
この結果、ブエミとディ・グラッシの年間ポイントは、5ポイント差に詰まっている。
次戦第5戦は、2年ぶりとなるモナコePrix。5月13日に開催される予定だ。
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フォーミュラE 2016-17 メキシコシティePrix 決勝結果:
Cla | # | ドライバー | チーム | Laps | ギャップ | リタイア | ポイント | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 11 | ルーカス ディ・グラッシ | アウディ・スポーツABT | 45 | 25 | |||
2 | 25 | ジャン-エリック ベルニュ | テチータ | 45 | 1.966 | 18 | ||
3 | 2 | サム バード | ヴァージン・レーシング | 45 | 5.480 | 15 | ||
4 | 20 | ミッチ エバンス | ジャガー・レーシング | 45 | 9.770 | 12 | ||
5 | 8 | ニコラス プロスト | ダムス | 45 | 9.956 | 10 | ||
6 | 37 | ホセ・マリア ロペス | ヴァージン・レーシング | 45 | 10.631 | 8 | ||
7 | 66 | ダニエル アプト | アウディ・スポーツABT | 45 | 11.694 | 6 | ||
8 | 47 | アダム キャロル | ジャガー・レーシング | 45 | 13.722 | 4 | ||
9 | 3 | ネルソン ピケJr. | ネクストEV | 45 | 14.156 | 2 | ||
10 | 33 | エスティバン グテエレス | テチータ | 45 | 15.717 | 1 | ||
11 | 27 | ロビン フラインス | アンドレッティ | 45 | 21.459 | |||
12 | 23 | ニック ハイドフェルド | マヒンドラ | 45 | 27.232 | |||
13 | 7 | ジェローム ダンブロジオ | ドラゴン・レーシング | 45 | 32.646 | |||
14 | 9 | セバスチャン ブエミ | ダムス | 45 | 1'01.365 | 1 | ||
15 | 4 | ステファン サラザン | ヴェンチュリ | 44 | 1 lap | |||
16 | dnf | 19 | フェリックス ローゼンクビスト | マヒンドラ | 43 | 2 laps | リタイア | |
17 | dnf | 5 | マーロ エンゲル | ヴェンチュリ | 38 | 7 laps | リタイア | |
18 | dnf | 28 | アントニオ フェリックス・ダ・コスタ | アンドレッティ | 32 | 13 laps | リタイア | |
19 | dnf | 6 | ロイック デュバル | ドラゴン・レーシング | 25 | 20 laps | リタイア | |
20 | dnf | 88 | オリバー ターベイ | ネクストEV | 12 | 33 laps | リタイア | 3 |
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