ポルシェ、フォーミュラE初勝利をワンツーで飾る。抜群のマネジメントでウェーレイン優勝
フォーミュラE第3戦メキシコシティePrixの決勝レースが行なわれ、ポルシェのパスカル・ウェーレインが優勝した。
写真:: Carl Bingham / Motorsport Images
フォーミュラE第3戦メキシコシティePrixの決勝は、ポルシェのパスカル・ウェーレインが優勝。ポルシェは、フォーミュラEでの初勝利を挙げた。
サウジアラビアのディルイーヤで2レース行なわれた開幕ラウンドでは、メルセデスとそのカスタマーチームであるベンチュリ勢が強さを見せたが、エルマノス・ロドリゲス・サーキットで開催される第3戦はポルシェやDSテチータが好パフォーマンスを見せた。
予選では、ポルシェとDSテチータ、メルセデスの3チーム6台の他、エドアルド・モルタラ(ベンチュリ)やロビン・フラインス(エンビジョン・レーシング)が勝ち抜きトーナメントに進出した。
ポールポジションを争ったのは、開幕から好調が続くモルタラと、ウェーレイン。先にアタックに入ったのはモルタラだったが、最終コーナーで攻めた結果スピン。コントロールを失いながらコントロールラインを通過したため、ウェーレインが0.273秒差でポールポジションを獲得した。
45分プラス1周のレースがスタートすると、タイトな1コーナーでも大きな混乱はなく、ウェーレインが首位をキープ。しかしアレクサンダー・シムス(マヒンドラ)がスタジアム・セクションのターン10のコース外でストップし、イエローフラッグが振られた。
今回、アタックモードの起動ゾーンが置かれているのはインフィールドセクションにあるターン11~12のイン側。通過するためにはターン11の手前からうまく減速する必要がある。
すぐにイエローは解除され、3番手を走るアンドレ・ロッテラー(ポルシェ)がいち早くアタックモードを起動。後続のDSテチータ勢に逆転を許すことなくアタックモードに入った。前を走るモルタラもすぐに反応。翌周にアタックモードを起動し、ポジションを守った。
首位のウェーレインもポジションを落とすことなくアタックモードに入ったが、メルセデス製のパワートレインが威力を発揮し、モルタラがメインストレートで首位を奪取した。
アタックモード起動のタイムロスが比較的少ないこともあり、各車積極的にアタックモードを活用した。特にDSテチータ勢はタイミングをずらしてアタックモードを使い、2台が相次いでロッテラーを攻略。ベルニュは無線に問題を抱えながらも、ウェーレインをも交わして2番手に浮上した。
ベルニュは2度目のアタックモードで首位モルタラとの差を詰めたものの、逆転はできず。モルタラも後続を引き離すほどの元気はなく、レース残り時間が15分になる頃にはトップ5台が数珠つなぎの様相となった。
こうなるとベルニュは苦しく、ウェーレインやロッテラー、フラインスに相次いでオーバーテイクを許してしまった。ウェーレインはそのままモルタラに接近し、あっけなく首位を奪還。ロッテラーも難なくモルタラをパスし、ポルシェがワンツー体制を構築した。
ポルシェの2台はそれまで力を溜めていたか、モルタラとフラインスが3番手争いを展開する間に隊列から一気に抜け出して8秒以上のギャップを築く。だが2台でクルーズとはならず、ロッテラーは優勝を狙って最後までウェーレインにプレッシャーをかけ続けた。
バッテリーにも余裕があり、ハイペースを続けたポルシェ勢が残り時間1秒でコントロールラインを横切ったことで、レース周回数が土壇場で1周増えることに。ファイナルラップは各車がエネルギー残り1%を切るという状況となった。
大混乱の後続を尻目に、ポルシェの2台は最後までテール・トゥ・ノーズの接戦を演じ、ウェーレインがトップチェッカー。ロッテラーは0.3秒差の2位となった。
エネルギー状況によって後続の順位は最後に変動。3位はベルニュ、4位にはダ・コスタのDSテチータ勢が続いた。モルタラが5位、ファイナルラップでスローダウンするクルマを交わし、6位にニック・デ・フリーズ(メルセデス)が入った。
日産・e.ダムス勢は、終盤の混乱を味方につけ、セバスチャン・ブエミ8位、マクシミリアン・ギュンター9位と2台が今季初ポイントを獲得した。なお、8番手でチェッカーを受けたルーカス・ディ・グラッシ(ベンチュリ)は接触を引き起こしたとして、5秒のタイム加算ペナルティを受けている。
ニック・キャシディ(エンビジョン・レーシング)はディ・グラッシとのバトルで失速し一時ポイント圏外まで後退したが、レース後半にアタックモードを使う戦略で追い上げ、6番手まで浮上。だがアタックモードが終了すると、ポジションを落としていき、最終的に13位に終わった。
アントニオ・ジョビナッツィ(ドラゴン・ペンスキー)はマシンにトラブルがあったのか、ピットインし周回遅れとなるなど今回も苦しい展開となった。
順位 | ドライバー | チーム | 周回数 | タイム | 差 | 前車との差 |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | パスカル ウェーレイン | ポルシェ・チーム | 40 | 47'20.404 | ||
2 | アンドレ ロッテラー | ポルシェ・チーム | 40 | 47'20.706 | 0.302 | 0.302 |
3 | ジャン-エリック ベルニュ | テチータ | 40 | 47'29.455 | 9.051 | 8.749 |
4 | アントニオ フェリックス・ダ・コスタ | テチータ | 40 | 47'30.379 | 9.975 | 0.924 |
5 | エドアルド モルタラ | ヴェンチュリ | 40 | 47'38.760 | 18.356 | 8.381 |
6 | ニック デ・フリーズ | メルセデス | 40 | 47'39.424 | 19.020 | 0.664 |
7 | ロビン フラインス | ヴァージン・レーシング | 40 | 47'40.636 | 20.232 | 1.212 |
8 | ルーカス ディ・グラッシ | ヴェンチュリ | 40 | 47'42.929 | 22.525 | 2.293 |
9 | セバスチャン ブエミ | Nissan e.dams | 40 | 47'43.798 | 23.394 | 0.869 |
10 | マキシミリアン ギュンター | Nissan e.dams | 40 | 47'46.901 | 26.497 | 3.103 |
11 | Jake Dennis | アンドレッティ | 40 | 47'47.233 | 26.829 | 0.332 |
12 | ストフェル バンドーン | メルセデス | 40 | 47'47.490 | 27.086 | 0.257 |
13 | ニック キャシディ | ヴァージン・レーシング | 40 | 47'49.198 | 28.794 | 1.708 |
14 | オリバー ターベイ | NIO Formula E Team | 40 | 47'53.382 | 32.978 | 4.184 |
15 | サム バード | ジャガー・レーシング | 40 | 47'56.081 | 35.677 | 2.699 |
16 | オリバー ローランド | マヒンドラ | 40 | 47'56.451 | 36.047 | 0.370 |
17 | Oliver Askew | アンドレッティ | 40 | 47'56.799 | 36.395 | 0.348 |
18 | ダニエル ティクトゥム | NIO Formula E Team | 40 | 48'05.011 | 44.607 | 8.212 |
19 | ミッチ エバンス | ジャガー・レーシング | 40 | 48'22.862 | 1'02.458 | 17.851 |
20 | セルジオ セッテ・カマラ | ドラゴン・レーシング | 40 | 48'41.810 | 1'21.406 | 18.948 |
21 | アントニオ ジョビナッツィ | ドラゴン・レーシング | 21 | 26'38.045 | 19 Laps | 19 Laps |
22 | アレクサンダー シムス | マヒンドラ | 1 | 1'22.334 | 39 Laps | 20 Laps |
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