今度はマシンが脆すぎる? フォーミュラE、”喧嘩レース”が批判集めたGen2からGen3移行も開幕戦では堅牢性に不満の声

フォーミュラEシーズン9から新たに導入されたGen3マシン。カウルが付いていたことで接触が多いと批判を受けたGen2からの移行となったものの、開幕戦ではGen3マシンの堅牢性の欠如がドライバーから指摘されている。

Rene Rast, NEOM McLaren Formula E Team, Nissan e-4ORCE 04

 メキシコシティePrixで幕を開けたフォーミュラEのシーズン9。今季からは新たにGen3マシンが導入されたが、ドライバーからは堅牢性に不満の声が上がっている。

 シーズン8まで使用されていたGen2マシンでは、ホイールにはカウルを装備。完全なオープンホイールのフォーミュラカーという訳ではなかった。

 しかしその近未来的なルックスとは裏腹に、Gen2時代のePrixではコース上での接触も多かった。コース幅の狭い市街地サーキットがカレンダーの大半を占めることもその要因のひとつではあるが、ホイールがカウルに守られ、多少の接触では大きな損傷を負わないマシン構造となっていたため、ドライバーは相手のマシンと”接触しながら”オーバーテイクを試みるという手法を採ることができた。

 この状況に対しては、シーズン8のフォーミュラE世界王者であるストフェル・バンドーン(現DSペンスキー)が以前、あまりに接触が多くコース上に脱落したパーツが散乱している状況から、車体をぶつけ合う遊園地のアトラクションのようだと批判していた。

「ボディワークが(コースの)右にも左にも中央にも落ちていて、なんだかとても素人っぽく感じたよ。どちらかと言うと、バンパーカーのレースみたいに感じたよ」

 そうした意見を持っていたのはバンドーンだけではなく、シーズン9導入のGen3ではマシンの出力向上に加えて、フロントとリヤのカウルが撤去された。

 ただ、Gen3の初陣となったメキシコシティePrix決勝では逆に、マシンの脆さがやり玉に挙げられている。

 14番手のオリバー・ローランド(マヒンドラ)と13番手のレネ・ラスト(マクラーレン)は、残り4周というところで接触。ローランド曰く”ほとんど接触していなかった”ものの、ラストはサスペンションの破損によってターン7出口のコース脇にマシンを止めた。

 ラストは2020-21年のシーズン7限りでのアウディ撤退に伴い、一年ぶりのフォーミュラE再参戦となったが、復帰戦は厳しい結果に終わった。

Oliver Rowland, Mahindra Racing, Mahindra M9Electro

Oliver Rowland, Mahindra Racing, Mahindra M9Electro

Photo by: Alastair Staley / Motorsport Images

 この出来事についてラストは、ローランドに非があると考えているものの、特に批判することはなかった。

「残念ながら、ローランドは僕の右側に飛び込んできて、ターン5と6で接触したんだ。それで右フロントのサスペンションが壊れちゃってさ」

 ラストはmotorsport.comにそう語った。

「残念だけどそこで僕のレースは終わってしまった。15番手からスタートして、できることはやったと思う。もっとやれるはずだったけど、結局は上手くいかなかった」

 そしてローランドは、接触はリタイアするほど大きなものではなかったとして、Gen3マシンが接近戦に「かなり弱い」と指摘している。

「僕はイン側にいて、コーナーの真ん中でホイールが接触したんだ」

「そのせいで彼をリタイアに追い込んでしまったのは、かなり気の毒に思う。かなり悪い角度で当たったんだろうけど、ほぼ接触はしていなかったし、激しくぶつかったという訳でもないんだ」

「このマシンは構造的にかなり弱いと思う。昨年なら何ともなかったんだけどね」

「このマシンでオーバーテイクするには、もっとリスクを負う必要がある。このタイプのコースだと、消耗が激しくなるんだ」

 
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