本文へスキップ

サウジアラビア、フォーミュラEを含む3つの電動レースと巨額のスポンサーシップを締結。近年のスポーツへの投資は国民の生活向上のため?

サウジアラビア公共投資基金は、フォーミュラE、エクストリームE、そしてパワーボートシリーズのE1と数百万ドルに及ぶ巨額の複数年スポンサーシップを締結した。

Pascal Wehrlein, Porsche, Porsche 99X Electric Gen3, Sebastien Buemi, Envision Racing, Jaguar I-TYPE 6, Mitch Evans, Jaguar Racing, Jaguar I-TYPE 6, Nick Cassidy, Jaguar TCS Racing, Jaguar I-TYPE 6, Jake Hughes, McLaren, e-4ORCE 04, the rest of the field at the start

 フォーミュラEの創設者であるアレハンドロ・アガクは、サウジアラビア公共投資基金(PIF)と、フォーミュラE、エクストリームE、そしてパワーボートのシリーズであるE1が複数年にわたるスポンサーシップ契約を締結したことを明らかにした。PIFは3つの電動レースシリーズ全てをカバーしていることから、この計画を「エレクトリック360」と呼んでいる。

 石油を輸出することで国力を増強してきたサウジアラビアは、脱石油を目指して3つの電動レースシリーズに大規模なスポンサーシップを行なうことを決めた。金額は公表されていないものの、関係者によればその総額は数百万ドルになると言われており、3つの電動レースシリーズ全てのラウンドで活動が行なわれることになるという。

 この活動は主に教育に焦点が当てられるといい、サウジアラビアを対象としたものだけではなく、シリーズが開催される各国でも実施されるという。具体的には、持続可能なモビリティ、世界規模でのSTEM教育(科学技術分野で活躍する人材を育てること)、コミュニティでの実習プログラムなどが推進されるようだ。

 アガグはmotorsport.comとAutosport.comの独占取材に応じ、このサウジアラビア公共投資基金とのスポンサー契約について説明した。

「それは、我々にとって非常に大きなことだ」

 そうアガグは言う。

「フォーミュラEは既に非常に強力だが、その他ふたつの始まったばかりのプロジェクトに多くの安定をサポートをもたらしてくれる。エクストリームEとE1にとっては、このように大きなパートナーのサポートにより持続可能性がさらに高まり、将来的により安定することになる」

「チャンピオンシップを立ち上げても、それを継続させるのは非常に難しい。しかし今やひとつだけでなく、3つも実現している。そしてこの”360”のようなパートナーシップが、これで最後にならないことを願っている。パートナーにとって、電動モータースポーツのあらゆる分野をサポートするための、非常に素晴らしいアイデアだと思う」

 サウジアラビアは、国内総生産(GDP)の40%を石油に依存しており、アメリカに次ぐ世界第2位の産油国である。その石油依存から脱却するため、サウジアラビアは2030プロジェクトを立ち上げ、最近ではスポーツ界で大きな動きを見せている。

 その結果、サウジアラビアは電動モータースポーツのみならず、F1も誘致。モータースポーツだけにとどまらず、ボクシングの世界タイトル戦を開催したり、トップクラスのサッカー選手を自国のチームに迎え入れるなどした。また、国外のゴルフやサッカーにもスポンサードしている。

 この動きは、サウジアラビアという国のイメージを向上させ、国が抱える問題から世間の目を逸らす”スポーツウォッシング”だと非難されることも多い。しかしアガグは、実際の意図が十分に理解されていないと考えている。

「彼らのスポーツに対する野心は、私ならばふたつの単語で定義できると思う」

 そうアガグは言う。

「非常に野心的だが、非常に合理的でもあるということだ。つまり合理的な成長計画に従って、彼らはさまざまなスポーツに関与したいと考えている。彼らはサウジに何かをもたらすスポーツを欲しがっている。皇太子は数ヵ月前のFOXのインタビューで、スポーツがサウジのGDPが1%押し上げたと語り、今後さらに1.5%押し上げると考えていると語った」

「イメージやその他のことを改善するためにスポーツへ投資していると言っている人たちは間違っていると思う。彼らは自分たちの国の人たちに、最高のショーを届けたいと考えているんだ。サウジに素晴らしいゲームや自動車レースを持ち込み、サッカーをサウジに持ち込んだ。自国民に最高のエンターテインメントとスポーツを提供し、観戦できるようにしたいと考えているんだ。大きな変化を試みている国に進歩をもたらす、素晴らしい方法だと私は思う」

 サウジアラビアの現在のGDPは約1兆ドル(約150兆円)。スポーツへの投資がGDPに2.5%貢献するとなれば、250億ドル(約3兆7000万円)に相当する計算だ。この額は、フランスやEUのGDPにおけるスポーツの貢献における割合とほぼ同じだ。

 またサウジアラビアがスポーツへ投資するもうひとつの推進力は、国の人口3600万人のうち6%が30歳未満という、非常に若い国であるということだ。

 PIFのコーポレートブランド責任者であるモハメド・アル・サヤドは、次のように語る。

「PIFはパートナーシップの力を信じており、”より良いモノへの投資”に重点を置く一環として、革新的なコラボレーションに投資を行なっている。これらのパートナーシップは、人々の生活の質を向上させ、我々がサービスを提供するコミュニティにチャンスを提供し、このサービスを継続するのに役立つことになるだろう。変革の触媒として機能するんだ」

 そうアル・サヤド氏は言う。

「エレクトリック360は、電動モータースポーツを再定義し、その成長を加速させる。そしてPIFが将来の電動モビリティの基礎となる新たなグリーン技術革新を推進する中で、より広範囲なビジネス戦略に沿った具体的な効果をもたらすことになる」

 

前の記事 HRS首席卒業の加藤大翔、フランスF4参戦決定。先輩・岩佐歩夢らに続けるか
次の記事 野尻智紀が育った茨城・筑西市の名物は“魔改造軽トラ”!? 母校訪問の裏に隠された想いも明かす【連載:レーサーふるさと自慢】

最新ニュース