加藤大翔が描くF1挑戦に向けた“人生設計図”。2024年参戦のフランスF4では「大バトルよりもブッちぎるレースを見せたい」
昨年HRS-Formulaを首席で卒業した加藤大翔は、今年挑戦するフランスF4では「ブッちぎること」を意識して戦うと意気込んだ。
先日、ホンダ・レーシング(HRC)が2024年のモータースポーツ活動計画を発表し、加藤大翔がフランスF4に参戦することが明かされた。初の海外フォーミュラでのシリーズ参戦に向けて、加藤は「ブッちぎること」を意識して戦うと語った。
現在16歳の加藤は、2023年にホンダ・レーシングスクール・鈴鹿(HRS)のフォーミュラクラスを首席で卒業。スカラシップを獲得し、フランスF4行きのチケットを掴んだ。
これまでも岩佐歩夢や荒尾創大、野村勇斗など、HRSを卒業したドライバーがフランスF4に挑戦してきた。2020年には岩佐がここでチャンピオンを獲得し、FIA F3、そしてFIA F2へとステップアップしていった。
加藤も先輩たちに続いて渡欧するが、ホンダ・フォーミュラ・ドリーム・プロジェクト(HFDP)兼レッドブル育成ドライバーとしてフランスF4に参戦した上記3名と異なり、HFDPのみのサポートを受けることになるという。
そんな加藤は、2027年にF1デビューを果たすという明確な目標を立てている。
「小学5年生とか6年生の時からずっと考えてきたことです。自分の人生設計図も書いていて、今まさにその通りに来ています」
渡欧に先立って加藤はそう語り、自身の人生設計図について次のように説明した。
「大谷翔平さんがやっているのを見たり、中野さん(中野信治/HRSヴァイス・プリンシパル)にもなりたいものは書けとアドバイスを頂いたりして、自分で人生設計図を書くようになりました」
「14歳の時には全日本カート選手権でチャンピオンを獲ると書きました。15歳では全日本カート選手権最高峰クラスへの出場とカートの世界大会へ行くと書いて、それをクリアすることができました」
「そして15歳でのHRS-Formulaのスカラシップ獲得も達成して、今年16歳はフランスF4に行ってチャンピオンを獲ることが(人生設計図に書いた)目標です。そして17歳はFIA F3チャンピオン、そのままFIA F2に進み、丁度20歳でF1に乗る設計図になっています」
加藤が人生設計図を書いた後、ホンダのF1におけるパートナーがレッドブルからアストンマーティンに変わることになった。これについては、既に対応済みだと加藤は明かす。
「アストンマーティンのF1マシンに乗るというのも、人生設計図に追加しました」
F1好きの父の影響で物心つく頃からF1を観ていたという加藤。6歳でカートを始め、F1という夢に向かって10年というキャリアを積んできた。昨年のF1日本GP決勝日には、HRSプリンシパルの佐藤琢磨や卒業生の岩佐らと共にHRSの新型スクールカーのデモ走行を担当し、夢の実現に向けた想いを強めた。
「率直に感動しました。どこを見ても人でいっぱいで、やはりもう一度走りたいと思いましたし、自分とって刺激になりました」
「そして次(鈴鹿サーキット)を走るなら、F1だと心に決めました」
Photo by: Honda Racing
Honda Racing School Suzuka
加藤にとって今年のフランスF4は大きな挑戦でもあり、ある意味では通過点とも言える。参戦初年度でのタイトル獲得という人生設計図の目標をクリアする上で、使用するミゲールF4やピレリタイヤへの適応が今後の具体的な課題になると考える一方で、“コース外”での取り組み方については前々から準備を進めてきたという。
「向こうに行くと英語でコミュニケーションを取ることになりますが、このためにずっと前から英語の勉強をしてきたので、準備はバッチリです」と加藤は言う。
「人と話すのは好きなので、メカニックとのコミュニケーションは得意だと思いますし、そのあたりは自信を持って挑むことができると思います」
そしてレースで勝つ体制を作り上げるために“人間力”をさらに磨き、フランスでもメカニックと友好な関係を築きたいと加藤は語った。ここにはHRSの佐藤プリンシパルや中野ヴァイス・プリンシパルの教えが活きているという。
「人間力をつけなきゃダメだと言われてきましたし、中野さんからは『好かれるドライバー』『こいつを勝たせてやりたいと思わせるドライバー』になってほしいとよく言われました」と加藤は言う。
「挨拶や敬語はもちろん、軽いジョークとか、好かれるために基本のことは絶対にやるようにしています。向こうのメカニックとも一緒にジョークを言い合えたり、ご飯を一緒に食べに行けたりする関係になりたいです」
そして、フランスF4では自身のどのようなところに注目してほしいか? そう尋ねると加藤は次のように答えた。
「僕の強みは速さです。予選ではもちろんポールポジションを目指しますし、決勝ではバトルよりもブッちぎることを意識して走っていきたいです。ファンのみなさまには、大バトルというよりも1位独走でチェッカーを受けるところを見ていただきたいです」
「(1ラウンド3レース制のフランスF4では)レース2とレース3はリバースグリッドになると思いますが、そこはアベレージを高く保てるようにしたいです。もちろん、レース1では全戦全勝を目指していきます」
2024年のフランスF4は3月6日から7日にかけてル・マンでプレシーズンテストを実施する予定となっており、シーズンは4月1日のノガロ戦で開幕し、全7ラウンドが実施される。加藤はビザの取得など渡欧準備が整い次第、現地に向かうという。
フランスF4で加藤がどのような戦いを見せるか、開幕前から期待が高まる。
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