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ホンダ、宇宙へ。JAXAと契約締結し、月面探査車両への電力供給システムを研究開発「課題を解決したときに競争力が生まれる」

ホンダは、JAXAと研究開発契約を締結。アルテミス計画の一環として、月面探査車両に電力を供給するための「循環型再生エネルギーシステム」の開発に着手したことを明かした。

月面基地のイメージ図

 ホンダはJAXA(国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構)と「循環型再生エネルギーシステム」の研究開発契約を締結し、月面探査車両の居住スペースとシステム維持に電力を供給することを発表した。

 国際的な宇宙探査プロジェクトである「アルテミス計画」の一環として、2020年代後半に有人での月面探査が計画されている。この月面探査が実現すれば、アポロ計画以来約半世紀ぶりに、月面に人類が立つということになる。

 このアルテミス計画には日本も参加。その中でホンダは、2020年からJAXAと共同研究を行なってきたが、正式に委託を受ける形で、有人月面探査を支える技術を開発していくという。

 アルテミス計画での月面探査では、探査車両を月面で走らせることになる。それには、探査車両が走行するための電力と、車両内で人が生活するための電力が必要となる。電力は基本的に太陽光発電で賄われることになるが、日照時間が少ない地域だと、夜が14日間も続く場合があるという。そうなった場合には、当然太陽光での発電ができないため、蓄電した電気でその間をしのぐ必要があり、蓄電池を月面に運ばなければならない。

 ただその場合にも問題がある。月面にモノを輸送するためには、当然ロケットが必要であり、その費用は莫大。1kgの荷物を運ぶためのコストは1億円にも及ぶという。そのため、”軽くてコンパクト”な電池……つまりエネルギー密度の高い電池が必要とされるわけだ。

 そこでホンダが研究開発するのが、「循環型再生エネルギーシステム」である。これはホンダ独自の高圧水電解システムと燃料電池システムを組み合わせたもので、太陽エネルギーと水から、継続的に酸素・水素・電気を製造することができるという。具体的には、太陽光発電で得た電気を用いて水を分解して酸素と水素を生成してタンクに貯蔵、これを使って電気を起こすというものだ。

月面基地のイメージ図と、循環型再生エネルギーシステムの概念図

月面基地のイメージ図と、循環型再生エネルギーシステムの概念図

Photo by: JAXA

 このシステムは非常にコンパクトにすることができ、さらに現在使われているリチウムイオン電池よりもエネルギー密度が4〜5倍高いという。言い換えれば、4tのリチウムイオン電池が必要な場合には1tの「循環型再生エネルギーシステム」で済むことになり、輸送コストを数百億円単位で節約することに繋がるという。

 なおこのシステムで作られる酸素や水素は、別の形での転用も可能だ。例えば酸素は、当然人が呼吸するのに使うことができるし、水素は月面を飛び立つ宇宙船の燃料としても使うことができる。さらにこのシステムは、月面だけではなく地球上でも利用可能。地球上には豊富な太陽光と水資源があるため、同システムを活用すればカーボンニュートラルなエネルギー供給手段にもなる。

 なおホンダのオウンドメディアであるHonda Storiesに掲載された対談記事によれば、燃料電池を月面で使う上では、多くの困難もあるという。そのひとつが冷却の問題だ。地球上ならば大量の空気が存在するため、これを使って排熱することができる。しかしながら宇宙空間では空気はほぼないため、排熱はできず、放熱することしかできないという。そのため電池の熱をどう逃すかは難しい挑戦であり、「自動車開発での感覚から、頭の中を大きく切り替えなければならなかった」という。

 輸送時に関する問題もある。前述の通り、システムの輸送にはロケットが使われるが、このロケットの打ち上げの時の音の「影響は想定外だった」という。打ち上げ時の音圧は「F1エンジンの10倍くらい」だと言い、その轟音によって物が壊れるという。つまり振動や加速の荷重に加え、音の影響も考慮した開発が求められるのだという。

 ホンダ技術研究所の先進パワーユニット・エネルギー研究所の針生栄次チーフエンジニアはこの対談の中で、「課題があるからこそ、それを解決したときに競争力が生まれるので、ある意味で技術課題はウェルカム」と語っている。それはF1をはじめとしたモータースポーツに挑むホンダの姿勢と、同じようなところがあるかもしれない。

 なおホンダは、JAXAの委託を受ける形で「循環型再生エネルギーシステム」の概念検討を行ない、2023年度末までに初期段階の試作機を製作するとしている。

 
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