女性のF1チャンピオン輩出を目指して! 『More Than Equal』のドライバー育成プログラムに”オリンピックの知識”を注入

イギリスの自転車競技における育成の第一人者であるトム・スタントンがMore than Equalのドライバー開発プログラムの責任者に任命され、次世代の女性ドライバーの発掘と育成を支援することになった。

Tom Stanton, More than Equal

 モータースポーツ界での女性の活躍を後押しするプロジェクト『More Than Equal』のドライバー開発プログラムの責任者に、サイクリング業界で育成を担ってきたトム・スタントンが任命された。

 過去5年間、イギリスの自転車競技における育成責任者を務めていたスタントンは、エリートタレントの育成において豊富な経験を持っている。彼はコーチング会社のヒンツァ・パフォーマンスとともに、女性ドライバーたちの育成プログラムを実施することになる。

 More Than Equalは、元F1ドライバーのデビッド・クルサードと起業家のカレル・コマレックによって設立され、女性のF1世界チャンピオンを発掘すること、それに向けた成長をサポートすることを目的としている。

 現在、モータースポーツにおけるエリート・アスリート・トレーニングの大半が男性ドライバーのみに焦点を当てているのとは対照的に、若い女性ドライバー集団に合わせたサポートを提供することを目指している。

 2輪から4輪へと活躍の場を移すスタントンは、イギリスのオリンピック・パラリンピック組織の一員として20年を過ごしてきた。

 スタントンは現場での実践者、コーチ、スポーツ科学やブリティッシュ・サイクリングのアカデミー責任者としてのパフォーマンス・リーダーなど、様々な役割を担ってきた。

 彼がモータースポーツとMore Than Equalの世界に魅了された理由、そしてその経験が彼の新しい役割にどのように反映されるのだろうか?

「これまでやってきたこととは違う。オリンピックやパラリンピックのシステムで得た知識を、比較的未発達なシステムに応用する機会は、無視できない挑戦だと感じた」

 スタントンはそう語る。

「2輪でも4輪でも、原則は同じ。人々の可能性を最大限に引き出そうとするのだから、新しい分野で何かをするエキサイティングな機会だ」

「この分野のパイオニアとなるであろうMore than Equalと仕事をするチャンスを逃すわけにはいかなかった。More than Equalが他と違うのは、ドライバー自身に焦点を当てるということだと思う」

「もちろん、技術的、戦術的なコーチングを提供し、身体的な準備や肉体的な改善も進めるが、それ以外の方法で才能を伸ばすことにも重点を置いている」

「このプログラムでは、エリート・モータースポーツにおけるパフォーマンスとパフォーマンス開発のエキスパートである、エビデンスに基づいたコーチング・グループのヒンツァをはじめ、多くの優れた人たちと協力している」

More than Equal Advisory Board member Kate Beavan, Entrepreneur Karel Komarek, David Coulthard, Hintsa CEO Annastiina Hintsa

Photo by: Right Formula

More than Equal Advisory Board member Kate Beavan, Entrepreneur Karel Komarek, David Coulthard, Hintsa CEO Annastiina Hintsa

 ヒンツァはMore Than Equalの狙いの鍵を握る存在だ。フィンランドのパフォーマンス・スペシャリスト集団であるヒンツァは、ルイス・ハミルトンをはじめとする複数のF1ワールドチャンピオンと仕事をしており、エビデンスに基づいたコーチングで世界をリードしている。

 スタントンのドライバー開発プログラム・チームは、今後発表されるコーチを含め、ヒンツァと協力して才能のある女性ドライバーを発掘し、レース機会、技術的・戦術的コーチング、身体的・認知的準備、商業的機会、パーソナル・ブランド開発などをサポートする。

 ヒンツァは、プログラムの核となる理念について簡単に説明し、次のように述べた。

「このプログラムの目的は、データと洞察力を駆使して、才能ある若い女性ドライバーをグローバルに発掘し、彼女たちがエリート・レーシングドライバーに成長するために必要なツールとリソースを提供することだ」

「技術的、戦術的なコーチングや身体的な準備だけでなく、個人的な成長にも重点を置く。最初の3年間は、ドライバーに必要な質の高いスキルセットを構築することに重点を置き、彼らが可能な限り最高の学習者になれるようサポートする」

「我々は、ポテンシャルを発揮しながらも次のレベルへのサポートを必要とする若い女性ドライバーのために、特別にデザインされたプログラムを作りたい」

 スタントンは「女性ドライバーをサポートする支援プログラムやイニシアチブはたくさんあるが、若い年齢層と協力し、年齢や性別に適した方法で、独立した資金で育成するという点では、これまでこのようなことは行なわれてこなかったと思う」と付け加えた。

「どのように、いつ、女性ドライバーの何を育成するかについて、我々が持っているすべての知恵を、彼女たちのためだけのプログラムに注ぎ込むことができるという見通しに、我々は本当に興奮している」

「我々はヒンツァと協力し、彼らのパフォーマンスと育成に関する技術的な知識と、我々のドライバー育成方法に関する知識を合わせて、アクセスしやすく、パフォーマンスと準備を加速させることができるパッケージを形成する予定だ」

 More than Equalのドライバー育成プログラムの目標のひとつは、男女間のパフォーマンス・ギャップを埋める手助けをすることだ。

 More than Equalはモータースポーツにおける女性と女児に関するデータを調査し、女性ドライバーにとってのふたつの重要な課題、すなわち競技人口における男女のギャップとパフォーマンス・ギャップという問題があることを特定した。

 彼らの調査によると、女性ドライバーは現在、全カテゴリーの競技において平均わずか10%しかいない。その中でもカート競技が最も高く、女性参加者全体の40%を占めているという事実が浮き彫りになったが、上位層になるとさらに女性の割合が減ってしまうのだ。

 スタントンは、More than Equalの「女性ドライバーを最高の学習者にする」ことで、このギャップを埋めることができると語った。

「我々は、彼女たちの身体的な能力を高め、精神的な準備をさせ、技術的、戦術的に世界一になれるようにするつもりだ」

「我々のビジョンは、時間をかけて、若い女性ドライバーの育成に最適なシステムを開発することだ」

 More than Equalは現在、データ主導でグローバルな人材発掘を行なっており、2024年に公募を開始する予定だ。

 

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