General

男女のパフォーマンス差が、モータースポーツにおける女性の進歩をどのように妨げているか?

あらゆるレベルのモータースポーツで、女性が活躍する数は圧倒的に少ない。ドライバーやライダーとして競技に参加する女性でも、トップレベルに進むのには苦労している。

編集: 2023/10/13 16:47

Copy link

Facebookでシェアする

Twitterでシェアする

WhatsAppでシェア

Linkedinでシェアする

Pinterestでシェアする

Viberでシェア

Google検索でmotorsport.comをお気に入り登録

Maya Weug

 モータースポーツ界での女性の活躍を後押しするプロジェクト『More Than Equal』の調査によれば、女性ドライバーにとっての現時点での主な課題は、参加率とパフォーマンスにおける男性ドライバーとの格差であると特定された。

 同プロジェクトの調査によれば、女性参加者の割合は全てのカテゴリーを平均して10%に過ぎないことが分かった。最も女性が参加しているのはカートで、女性ドライバーのうち40%がこのカテゴリーに参加している。

 各カテゴリーの参加者総数における女性の割合を見ていくと、カートでは13%が女性ドライバーだったが、フォーミュラカーやGTレースでは7%にまで減少することになる。

 元F1ドライバーのデビッド・クルサードと、起業家のカレル・コマレックによって設立された『More Than Equal』は、女性のF1世界チャンピオンを発掘すること、それに向けた成長をサポートすることを目的に立ち上げられた。

 このプログラムは、4つの重要な優先事項に焦点を当て、女性F1世界チャンピオンの誕生を実現させようとしている。その4つの優先事項とは「証拠に基づき、女性のモータースポーツにおける障壁を打ち破るのに役立つ研究と洞察を提供すること」「才能溢れる若い女性ドライバーを世界中からスカウトすること」「高い潜在能力を持つ若女性ドライバーを育成するプログラムを構築すること」「その才能を適切なチャンスと結びつけ、成長をサポートすること」である。

 以前Motorsport Networkが主催した調査では、女性ドライバーはカテゴリーが上位になるにつれて参加の割合が減っていることが分かる。上位カテゴリーで活躍できている女性ドライバーの割合はごく僅かで、現在は4%にとどまっている。

 多くの女性がトップレベルのモータースポーツで戦えるようにするためには、エントリークラスのレースをする女性ドライバー、そして上を目指そうとする女性ドライバーが増えなければならないということは明らかなことだ。

Jade Edwards, One Motorsport Honda Civic

Jade Edwards, One Motorsport Honda Civic

Photo by: JEP / Motorsport Images

 BTCC(イギリス・ツーリングカー選手権)のドライバーであるジェイド・エドワーズは、10年以上にわたって同シリーズに参戦した初めての女性ドライバーであり、現在参戦する唯一の女性ドライバーだ。

 英国AUTOSPORTの取材に応じた彼女は、そもそも女性ドライバーの数が少ないという事実が、問題の根幹であると語る。

「個人的には男性か女性かということより、そもそもモータースポーツに挑戦する女性が少ないだけだと思います」

 エドワーズはそう語った。

「我々のレベル以上になると、例えば男性ドライバーが50人いて、女性ドライバーが5〜10人しかいない場合でも、男性もほとんど同じように消えていくものです。数が多いので、そもそもそれほど目立たないだけです」

「私はキャリア初期の段階から、女性とも男性ともレースをしてきました。でもそのほとんどは、今はもうレースに参加していません。モータースポーツとの関わりもまったくない人もいます。私が参加してきた選手権には、男性が20〜25人いるのに対し、女性はおそらくひとりかふたりくらいしかいなかったと思います。経済的なモノは大きな違いを生むと思いますが、元々女性が少ないという事実を除けば、それは男女間で大きな差があるわけではないと思います」

 女性ドライバーのキャリアは、平均で1〜5年。男性は12年以上キャリアを続く可能性が高いことと比較すると、その差は圧倒的に見える。

 そんな中で女性がレースキャリアを続けたとしても、どのようなシリーズでもランキング上位20%に入る可能性は低い。中団グループの70%に入る可能性は高まるが、下位10%となると、その可能性は2倍に跳ね上がる。

Jade Edwards, One Motorsport Honda Civic

Jade Edwards, One Motorsport Honda Civic

Photo by: JEP / Motorsport Images

 エドワーズはこれについても「やはり数字の問題だ」と断言する。

「やはり数字的な問題だと思います。レースに参戦した20人の男性ドライバーの中から、何人がランキングの上位にいるでしょうか? そしてその20人のうち、1〜2シーズン以上参戦する人は何人いるでしょうか? おそらく、かなり低い確率だと思います」

「男性ドライバーの数は多いので、我々はあまりそのことに気付きません。この業界は経済的な負荷が非常に大きいです。女性だけではなく、男性ドライバーの大部分も経済的に苦労しています」

「女性ドライバーが苦労しているように見えるのはわかります。でも、そもそも女性の数が少ないので、それが浮き彫りになっているんだと思います。

 現在フォーミュラ・リージョナル・ヨーロッパに参戦しているフェラーリ育成のマヤ・ヴェウグも、モータースポーツに挑む女性の少なさが課題であると語った。

Maya Weug

Maya Weug

Photo by: Ferrari

 7歳でレースを始めたヴェウグは、FIAガールズ・オン・トラックの初代優勝者となり、フェラーリ育成の座を射止めた。

 女性ドライバーが苦闘している率が高いのではないかと尋ねると、彼女は英国AUTOSPORTの取材に次のように語った。

「モータースポーツは、経済的に厳しいスポーツです。でも、非常に多くの要因があるため、どれかひとつに依存することはできませんし、彼らが女性ドライバーを望んでいないからでもありません」

「レースを始める女性の数が非常に少ないんです。同じ年齢でレースをやめた男の子もたくさんいます。でも数が多いので、実際にはそれほど目立たないだけです」

 では女性ドライバーとして直面した課題はなかったのか? そうヴェウグに尋ねると、彼女は次のように語った。

「肉体的にも厳しいスポーツです。だからたくさんトレーニングしなければいけないし、誰もがたくさんトレーニングしなければいけません。でも、私が肉体的に男性と競えるレベルに達するためには、多くの時間がかかるかもしれませんし、もっと努力しなければいけないかもしれません」

「しかし最終的には、必要なモノは何でも手にいれなければいけないんです。だから、それは私にとっては大きな問題ではありません」

「私は7歳からレースを始めたので、男の子が周りにいることや、今いる環境には慣れています。そして私が成長するにつれて、レースに参加する女の子も増えてきたと思います」

「幼い頃からそういう関係に慣れてしまうと、そういうことがあまり考えなくなることがあります」

ヴェウグは現在、フォーミュラ・リージョナル・ヨーロッパに参戦中

ヴェウグは現在、フォーミュラ・リージョナル・ヨーロッパに参戦中

Photo by: Ferrari

 性別のせいで、違う扱いを受けたと感じたことがあるかと尋ねられたヴェウグは、次のように語った。

「若い時は、そんなことはあんまり考えないと思います」

「7歳とか10歳、そして12歳の頃には、クルマを運転するのがあまり好きではありませんでした。でもドライブしていて唯一分かったことは、男性は女性が前でゴールするのが好きじゃないということだけです」

「コース上で尊敬を勝ち取ればいいだけです。一度彼らが尊敬してくれれば、それでいいと思います。しかし私が女性であるという理由で軽蔑されたり、何かされたと感じたことは一度もありません。私はただ速くなり、速く走れるということを証明しなければいけないんです」

『More Than Equal』のアリ・ドネリーCEOは、最も才能ある女性ドライバーをサポートすることと合わせて、モータースポーツに参加する女性を増やすための取り組みを同時に行なうことが重要だと述べた。

「私たちの研究では、現在のモータースポーツに参加している女性の数から考えると、女性のF1チャンピオンを発掘することが、統計的にいかに難しいかが分かります。これは早急に対処する必要があり、これを認識していくつかのポジティブな取り組みが導入されつつあります」

「女性の参加率の低さが、パフォーマンス格差の要因となっています。それが女性ドライバーの成功を妨げていることは事実です。他にも、女性や少女が男性と比べて金銭面で同じ支援を受けていないことや、高い可能性を示す女性に対する初期のサポートが十分ではないという事実も含まれます」

 ドネリーCEOは、若い女性のドライバーに対する育成プログラムを導入するという『More Than Equal』の計画は、現在のパフォーマンス差に対処するのに役立つだろうと付け加えた。

「その作業は現在進行中です。我々はレースに参加し、高い可能性を示している、才能ある若い女の子の集団を、最終候補者に挙げることを目指しています。我々は長期計画の一環として、来年彼女たちのトレーニングを始められることを楽しみにしています」

 

あなたの意見が聞きたい!

Motorsport.comで何を見たいですか?

5分間のアンケートにご協力ください。

- Motorsport.comチーム

関連ニュース :

記事をシェアもしくは保存

Copy link

Facebookでシェアする

Twitterでシェアする

WhatsAppでシェア

Linkedinでシェアする

Pinterestでシェアする

Viberでシェア

前の記事 勝田貴元がフォーミュラ・ドリフト・ジャパン最終ラウンドに登場! ヤリスWRCで土日にデモラン実施

次の記事 アルピナ創業者のブルカルト・ボーフェンジーペン氏、87歳で亡くなる

最新ニュース



キャデラック最初の半年間、ポイントゼロでも成長は間違いない!「どんどん良くなってる」とボッタス

F1

F1 F1

オランダGP

15 分前

キャデラック最初の半年間、ポイントゼロでも成長は間違いない!「どんどん良くなってる」とボッタス



大波乱のチャンピオン争い! 14位に終わったウェーレインが戴冠。バーナードが最年少優勝|フォーミュラE最終戦ロンドン

フォーミュラE

FE フォーミュラE

ロンドンE-Prix レース2

7 時間前

大波乱のチャンピオン争い! 14位に終わったウェーレインが戴冠。バーナードが最年少優勝|フォーミュラE最終戦ロンドン



フェルスタッペン、後半戦の”優先事項”は「週末の途中でパフォーマンスが落ちてしまう問題を解決する必要がある」

F1

F1 F1

オランダGP

11 時間前

フェルスタッペン、後半戦の”優先事項”は「週末の途中でパフォーマンスが落ちてしまう問題を解決する必要がある」



ボルトレト、今後数年アウディで活躍か「条項とかないし、長期プロジェクトだからね」2年目も成長実感中

F1

F1 F1

11 時間前

ボルトレト、今後数年アウディで活躍か「条項とかないし、長期プロジェクトだからね」2年目も成長実感中

Subscribe and access Motorsport.com with your ad-blocker.

フォーミュラ 1 から MotoGP まで、私たちはパドックから直接報告します。あなたと同じように私たちのスポーツが大好きだからです。 専門的なジャーナリズムを提供し続けるために、当社のウェブサイトでは広告を使用しています。 それでも、広告なしのウェブサイトをお楽しみいただき、引き続き広告ブロッカーをご利用いただける機会を提供したいと考えています。

次の 2 つのオプションがあります。

購読中 すでに購読していますか? ここからサインインします

広告ブロッカーを無効にしましたか?
ページをリロード

お知らせの管理

登録