MotoGP
期待の声絶えないスズキのMotoGP復活。鈴鹿8耐の“新挑戦”が希望の光に?
スズキは2022年限りでMotoGPから撤退し、レース活動を縮小。しかし2024年には環境性能技術の開発を目的に鈴鹿8耐へ参戦……MotoGPへの復帰の可能性が語られるなど少しずつ風向きが変わって来ているように見える。
永安陽介
編集: 2025/02/02 11:25
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2022年にMotoGPから撤退したスズキ。レース活動が縮小されることとなり、ファンにとっては残念な状態となったが、ここに来て風向きの変化も見られている。
スズキはリーマンショックに端を発する金融危機のあとMotoGPを一時的に撤退。2015年から活動を再開させて、2020年にはジョアン・ミルとチャンピオンに輝くなど活躍を見せた。
だが2022年シーズン序盤、スズキは同年限りでのMotoGPから撤退を決断。2021年にシリーズを運営するドルナと5年間の参戦契約を結んだばかりだったが、経済状況と近年の自動車業界の直面する環境の変化を要因として、撤退を選ぶことになったのだ。
同時にEWC(世界耐久選手権)からも撤退するなど、スズキのレース活動は大きく縮小。この事態にファンは嘆きの声を上げるしかなかった。
しかしそれから2年。スズキは鈴鹿8時間耐久ロードレースへの参戦を表明。サステナブル燃料のほか、その他にもパートナー企業のタイヤ、オイル、カウル、ブレーキなどサステナブルな新技術の開発を兼ねた挑戦としての参戦だった。
この「チームスズキCNチャレンジ」としての挑戦は、2022年までのスズキのMotoGPプロジェクトを牽引した佐原伸一がプロジェクトリーダー/チームディレクターとして参加したことも話題となった。
その鈴鹿8耐でスズキは上位チームに匹敵する速さを発揮。トップ10に食い込み、8位という好結果を持ち帰ってみせた。
大きな反響を呼んだ2024年の8耐……スズキ社内では、経験者、未経験者からメンバーを全社的に集めての挑戦だったという。
「このプロジェクトそのものを全社としての取り組みとしてやっています。ただ何かそれ専門の部門があって動かしているというよりは、全社で色んな人に集まってやってもらっているという形をとっていました」
佐原プロジェクトリーダーはそう語っていた。
2022年型GSX-RR
「今後はさっき言ったみたいに、オートバイの開発もしていかなきゃいけないっていうと、この体制でできるかどうかっていうところは検証が必要で、もしかしたら専門でレースをやってくれる人がもう何名か必要かもしれない」
「来年以降、これ(CNチャレンジ)を継続すると断言しますけれど、継続する中で今回初めてやったように、全社から社員を募って新メンバーとして集まってもらうところは続けていきたいと思っていて、やるべきだと思っています」
佐原プロジェクトリーダーは、こうした全社的な挑戦をすることで、会社内での理解が進み、応援も直接聞くことができるようになったという。そこには鈴木俊宏社長も含まれており、CNチャレンジのプロジェクトの一部として関わり、「本当に喜んでくれていた」という。
それがよく分かるのが、8耐のレース後に佐原プロジェクトリーダーが社長とハグを交わしていたことだ。「その時は無意識だったんですけど、今までそんなことはなかったな」と彼は振り返り、希望を感じさせるモノだと認めた。
なにより、8耐でのCNチャレンジを通じて、MotoGP撤退後に社内に存在していたレースに対する「単にお金を使う」というイメージが「ある程度払拭された」部分があると思うと佐原プロジェクトリーダーは振り返っていた。
こうしたコメントからもスズキではレース活動への考えが2022年のMotoGP撤退時よりも改善されていると見ていいだろう。実際、鈴木俊宏社長からはMotoGPへの復帰の可能性を匂わせる発言がモーターサイクルショー『EICMA 2024』でなされている。
「MotoGPの勝利は我々にとっても非常に重要なものだったというのは明らかなことです」
イタリアのCorriere dello Sportに鈴木社長はそう語っていた。
「ですが全てのバイク愛好者のための多様で完璧なモデルを揃えなければ、我々にとって役には立ちません。そして、現時点ではそうした状況にはないと思っています」
「今のライダーの方達を満足させる完璧な製品ラインナップを素早く提供することが重要です。全てが上手く行けば、我々はレースに復帰し、再び勝利を収めるでしょう」
MotoGPは2024年シーズンから燃料の40%が非化石由来となるなど、カーボンニュートラル方面の取り組みも進められてきている。新レギュレーションが導入される2027年には、その比率が100%に高められる予定だ。
8耐における挑戦とも繋がってくるこういったMotoGPの取り組みも考えると、スズキが復帰する可能性はあるのではないかという考えは無理筋ではないように思える。とはいえ、スズキの短期的なMotoGP復帰が決まっているわけではない。
佐原プロジェクトリーダーはMotoGPの燃料の変化が復帰への誘引材料になるのか? という問いに対して「否定するものではない」としているが、MotoGP復帰の可能性については前述の社長コメント後にも「特に(復帰に関して)コメントはない」という姿勢をとっている。
自動車産業では最近になりEVの普及速度が鈍化しており、電動化一辺倒ではなく様々な手法でカーボンニュートラル達成に向けて動くことが重要だという考えも広まって来ている。スズキがMotoGPへ再び戻ってくるかどうかは分からないが、こうした動きが彼らの活動再開の後押しとなることを期待したい。
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