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モータースポーツのそもそも論(3):エンジンの未来はどうなる?

モータースポーツに限らず、人々の生活に身近な存在の”エンジン”。そもそも、どんな構造になっていて、どんな役割を果たしているのだろうか?

エンジンのカットモデル

写真:: Motorsport.com / Japan

 モータースポーツ好きだけに限らず、車を所有している人にとっても、エンジンは身近な存在だ。しかしガソリンを使って動力を生み出すことは分かっていても、その仕組みまで知らない方も意外と多いのではないだろうか?

 motorsport.comはエンジンのスペシャリストに、改めてエンジンがどんな働きをしているのか、どんな開発が行なわれているのかを取材した。

 今回話を伺ったのは、ホンダのエンジン開発部門の新里智則氏。1984年の入社から、ホンダでCIVICなどのエンジン開発に携わってきたエキスパートだ。

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 英国などいくつかの国では2030年までに内燃機関を搭載した新車販売を禁止し、電気自動車へと移行しようとしている。ホンダも電動化戦略を進めており、2030年までに電気自動車の販売比率を15パーセント、電動車(ハイブリッド車、燃料電池車などを含む)を3分の2とするとしている。

 しかし新里氏は、まだまだ内燃機関の重要性は高いと考えている。

「今見通せる範囲でも、あと30年間くらいはまだまだ、エンジンの価値は高いと思います。これから30年使い続けると考えると、エンジンは引き続き進化していくと思いますし、2050年以降もまだまだ伸びるんじゃないかと思います」

「個人的な考えも入りますが、2040年くらいまでは燃費や環境性能と、馬力やレスポンスといった動力性能の両方を広げていかなくちゃいけないという、今の価値観とあまり変わらないと思います」

「その先は少し難しいのですが、ふたつのケースを考えています。ひとつ目はバッテリーと再生エネルギーのコストが大幅に下がり電気が使いやすくなった場合、バッテリーとモーターが主役になって、エンジンは非常用の発電機”レンジエクステダー”としての役割が主流になっていくというケースが考えられると思います」

「ふたつ目は逆に、液体燃料がまだまだ主力で生き残るシナリオです。バイオ燃料や合成燃料といったカーボンフリー燃料のコストが下がってくると、今のガソリンエンジンもまだまだ使い続けられると思います」

「今の時点ではどちらも課題が大きいです。太陽光や風力発電といった再生エネルギー電力の点では、ヨーロッパは比較的進んでいますが、日本はまだまだです。インフラ投資に費用がかかるので、電力事情がどうなるかという部分が重要ですね。バッテリーのコストもなかなか下がってきませんし、資源や製造時に排出する二酸化炭素の課題も予測が難しいところです。ですが両方がリーズナブルになってくれば、電気が主役になっていきます」

「バイオ燃料や合成燃料も今は高価ですし生産性は悪いですが、世界中でいろいろな研究がなされています。エンジンは化石燃料を燃やして二酸化炭素を出すから社会悪だと言われるんですが、バイオ燃料は作られる過程で大気中の二酸化炭素を吸収していますし、合成燃料も大気中の二酸化炭素を回収してガソリンを作ろうという考えです。カーボンニュートラル燃料ができれば、エンジンでいくら燃やしても二酸化炭素は増えない世界がやってくるので、大きなゲームチェンジが起きるかなと思っています」

「私はエンジンのエンジニアなので、個人的には後者を期待しますが、本当にどうなるか分かりませんね」

ホンダ 新里智則氏

ホンダ 新里智則氏

Photo by: Motorsport.com / Japan

 最後に、新里氏はエンジン開発の面白さについて、次のように語ってくれた。

「エンジンって工業製品の中でもすごく特殊なんです。力・熱・液体・気体の流れがあり、燃焼という化学反応を内蔵する……他に例のない構造物で、起こる現象もものすごく複雑です」

「求められる機能も、出力・熱効率・排ガス・静粛性と色々あって、極めたという感触が全然ありません。まだまだ発展途上で進化の余地があり、日々新しい発見があります。苦労することもありますが、エンジンと技術者が一緒に成長する経験ができる領域だと思います」

 最後に、新里氏にとって”極めた”エンジンとは何かと訊くと、実に開発者らしい答えが返ってきた。

「熱効率42〜44パーセントって数字的にまだまだじゃないですか。確かにガソリンエンジンの構造的な宿命というのはあるんですけど、その殻を破って全く新しい発想で熱効率80、90パーセントという世界もないとは言えません」

「我々は量産車メーカーなので、車のボンネットに収まるサイズで、買っていただける値段でという制約がありますが、極めたエンジンがどこまでいけるかというのは大変興味深いですね」

 

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