motorsport.com編集長日記:「面白くないレースは視点を変えて面白く」

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motorsport.com編集長日記:「面白くないレースは視点を変えて面白く」
執筆:
2019/03/14 13:42

motorsport.com日本版の編集長が、日々経験する様々な事柄の中から、琴線に触れるようなものをピックアップ。

2019年3月13日・水曜日

「面白くないレースは視点を変えて面白くしよう」

 3月になると世界中でモータースポーツ・シーズンが幕を開け、幾つものレースが開催されるので、いきなり忙しくなったように感じられる。それらのイベントに自分が直接関わっているわけではないのに、見落としていると置いて行かれたようでちょっと寂しい気分になる。といっても、かつてのようなことはない。かつてほとんどのF1グランプリへ足を運んでいたときは、自分が行かなければレースは開催されないと思うほど密着していたから、1レースでも欠席すると疎外感に苛まれた。いまは流石にそんな気分になることはないが、知らないうちにレースが終わっていると、あれ私は何をしていたんだろう、と思う。

 先週末は香港でフォーミュラEが、セント・ピータースバーグ(米)でインディカー開幕戦が行われた。香港のフォーミュラEは知っていたが、インディは「佐藤琢磨リタイア」というニュースを見て行われたことを初めて知った。そういえば佐藤を追いかけているカメラマンのM君がアメリカへ出発、というコメントをSNSに載せていたような気がする。不覚というか、モータースポーツ取材を生業としている身としてはこれではいかんなあ、と自分に言い聞かせている。それにしても、毎年3月と10月はレースの数が多すぎる。大方のシリーズが開幕と閉幕を迎える時期なのでそうなるのだが、同じ週末に世界選手権が2つも3つも行われるのはいかがなものか。

 ところで50戦目にして初めて雨に降られた香港のフォーミュラEだが、ゴール前で接触事故があって後味の悪いレースになったようだ。シリーズ立ち上げから3年間取材をしてきたが、あまりに接触事故が多くて気持ちの良いレースを観た記憶がない。これは明らかに公道レースの弊害だと思っている。狭く、コンクリート壁が迫っており、エスケープゾーンがない。接触すればすぐにはじかれてコンクリートの壁にドカン! 一巻の終わりだ。

 主宰者はなぜこんなレースを許容しているのか? 初めてのEVレース、初めての全レース公道というキーワードでうまく世間の関心を集めた。だが、公道レースには限界がある。公道にレースコースを作る莫大な経費、市街地に十分な観客席を設置出来ないリスク、そして多発する接触によって台無しになるレース。数えればきりがない。それでもサーキットを使わないで公道コースに固執するのはなぜだろう?

 多分、主宰者のアレッハンドロ・アガグは引けなくなったのだ。排ガスを出さないクリーンなクルマで市街地、公道レースを打ち出して始めたフォーミュラE。いまさらサーキットとは言えない? しかし、言うならいまだと思う。このまま公道レースを続けても、結局は公道に似た空き地にコースを作るしかなくなる。そのために何十億円もかけて? レース専用に作られたサーキットは世界中に幾つでもある。身の丈にあったサーキットで開催すれば、その方がよっぽど面白いレースが出来る。そして最後に疑問。フォーミュラEに携わっている人は本当に公道レースに価値を見いだしているのだろうか? どこかの国じゃないんだから、親分に忖度して詰まらないレースを続ける必要はないと思う。

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この記事について

シリーズ フォーミュラE , 編集長日記
執筆者 赤井邦彦
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