motorsport.com編集長日記:「1000戦目のF1レース」

シェア
コメント
motorsport.com編集長日記:「1000戦目のF1レース」
執筆:
2019/04/12 12:16

motorsport.com日本版の編集長が、日々経験する様々な事柄の中から、琴線に触れるようなものをピックアップ。

2019年4月12日・金曜日
「1000戦目のF1レース」

 上海のF1レースに来ているが、このレースが1000戦目のF1レースということらしい。このシリーズで面倒くさいのはF1とグランプリが同じではないことだ。

 今ではF1グランプリと呼ばれるが、かつては全てのF1レースがグランプリと呼ばれていたわけじゃなかった。F1選手権にインディ500が含まれていたり、F2マシンと混走したレースもあったりで、さすがにそれはグランプリとは呼ばれなかった。ゆえに、F1レース1000戦目はグランプリ1000戦目とはいかなかった。実際のグランプリ1000戦目は来年のイギリス・グランプリあたりだろうと、知り合いのドイツ在住スウェーデン人ジャーナリストが教えてくれた。その友人は1968年からグランプリを取材しており、もう700戦を越えたと言っていた。

 数の話をすれば、F1取材を500戦以上続けてきたジャーナリストやカメラマンは、500クラブという得体の知れない団体に登録されていた。バーニー・エクレストンが指揮を執ってFOMが一般のメディアパスとはほんの少し違ったパスを提供していたが、そのシステムが今年から無くなった。エクレストンからF1の経営を引き継いだリバティメディアが、エクレストンが築き上げたものを片っ端から撤廃しつつあり、500クラブはいい標的になったわけだ。まあ、大勢に影響があるわけではないが、歴史や伝統が無知な人々によって消し去られるのはどうかとも思う。

  数を重ねることはひとつの立派な足跡だけど、数ばかりが先行して中身がついてこないとあまり誇れたものでもないことも分かっている。グランプリの取材も惰性で続けるのではなく、求められる記事を書くために現場に足を運ぶというのが理想的だろう。しかし、欠かさずレースを取材することでしか得られないものもある。毎レース取材に出かけている日本人ジャーナリストは何人か知っているが、彼らのF1に対する愛情、継続する情熱、読者にF1の真実を伝えようとする真摯な姿には頭が下がる。久し振りの現場で彼らの姿を目の当たりにして、かつては私もそうだったなあと感慨に耽る自分にちょっと残念がっている。まあ、最近足が遠のいたのでこんなことを書いているが……。

次の記事
motorsport.com編集長日記:「佐藤琢磨とイチロー」

前の記事

motorsport.com編集長日記:「佐藤琢磨とイチロー」

次の記事

motorsport.com編集長日記:「空気を切り裂いてくるF1カー」

motorsport.com編集長日記:「空気を切り裂いてくるF1カー」
コメントを読み込む

この記事について

シリーズ 編集長日記
執筆者 赤井邦彦
まずは最新ニュースを読む