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motorsport.com編集長日記:「チェンジリング」

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motorsport.com編集長日記:「チェンジリング」
執筆:
2019/04/19 11:11

motorsport.com日本版の編集長が、日々経験する様々な事柄の中から、琴線に触れるようなものをピックアップ。

2019年4月19日・金曜日

「チェンジリング」

 毎日書いてこそ日記だけれど、なかなかそうもいかない。日記と銘打っておきながら毎日書かないということはお前の怠慢以外なんでもない、と心の声が聞こえるが、呑んで遅く帰ると流石に書く元気は残っていない。

 しかし、呑んで遅く帰っても良いこともある。先日も呑んで深夜に帰宅して、ソファに転がってテレビをつけたらクリント・イーストウッド監督の「チェンジリング」をやっていた。消えた(殺された?)息子を執拗に捜し続ける母親を演じるアンジェリーナ・ジョリーの演技が素晴らしく深みがあって、改めて感動した。

 モータースポーツの話しと何の関係があるんだと思われるだろうが、幾つもの事象が重なっているように感じた。この映画の中で失踪した息子を捜し続けるアンジーが、フェルナンド・アロンソの立場とダブった。というか、アロンソがいま置かれた立場が、息子を捜すアンジーにダブったというべきだろう。つまり、恐らく殺されて二度と会うことは出来ないと思いつつ、アンジーはそれでも息子を捜すことをやめられない。アロンソはF1からはじき出されてもなお、F1以上に自分を満足させてくれるカテゴリーがないことを知っている。

 以前にもこの日記で触れたが、アロンソはWECやインディカーに興味を持っている振りをしながら、彼の視線は常にF1にある。それは、彼にとってF1が何にも増して愛する可愛い息子であるからだ。チェンジリングのなかでアンジーがどうしても諦めきれないように、アロンソはどうしてもF1を諦めきれない。インディで快走しても、ル・マンで勝っても、彼はまだアンジーが息子に会えていないのと同じように、心の安らぎに会えていない。勝てないクルマでも彼が会いたいのは(戦いたいのは)F1だけなのだ。

 ちょっとこじつけっぽくなってしまったけれど、F1の魅力は私にも良く分かるし、それは誰にとっても同じだと理解出来る。ルクレールやフェルスタッペンといった優秀な若者が登場してきて、アロンソの帰るシートは見つかりそうにないが、それでも彼はチェンジリングのアンジー同様、探すことをやめそうにない。それが証拠に、アロンソは今年のル・マン終了後、トヨタWECを離れる意向を示している。これは彼の周囲の人達からの情報だが、確率は高いだろう。

 それというのも、トヨタは2019〜2020年の新しいWECには2台のマシンに4人のドライバーで挑戦するといわれている。現在トヨタWECチームに所属する6人のドライバーのうち、アロンソとセバスチャン・ブエミがチームを離れるという噂だ。ブエミは日産のフォーミュラE活動がメインになる。日産は破格の契約金をブエミに提示しているといわれており、彼をモータースポーツ活動の顔にしたいようだ。そのためにもトヨタでWECに参戦するのは避けて欲しいところだろう。

 アロンソがこれから先どうなるのかは分からないが、モータースポーツの世界も新陳代謝が盛んにならないと若手ドライバーの行き場がない。昔からのモータースポーツ・ファンにとればベテラン・ドライバーが消えていくのは寂しい限りだが、最近の若いファンにはアイルトン・セナさえ知らない人がいるという現実を知れば、時代の変遷には抗えまい。アロンソも、アンジー同様に、失ったF1シートを探し出すことは出来ないだろう。

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この記事について

シリーズ F1 , IndyCar , WEC , 編集長日記
執筆者 赤井邦彦