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motorsport.com編集長日記:「不条理は痛い」

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motorsport.com編集長日記:「不条理は痛い」
執筆:
2019/06/20 10:19

motorsport.com日本版の編集長が、日々経験する様々な事柄の中から、琴線に触れるようなものをピックアップ。

2019年6月20日・木曜日
「不条理は痛い」

 大手クライアントの制作物を作るときに紹介して一緒に仕事をした出版社に、同じような次の仕事でそのクライアントが直接仕事を頼むという苦い現実を経験した友人がいる。彼はそのせいで人間不信に陥ってしまった。

 出版社の担当者からは一緒に仕事をしてくださいという話があったらしいが、彼はクライアントの担当者の思量のなさ、背理の行為にうんざりして編集担当者からの依頼も断ったという。編集担当に対しては恨みも何もないんですけどね。誘ってくれて感謝さえしているんです、と言う。

 しかし、クライアントの担当者には以前から不信感があったそうだ。何年か一緒に仕事をしてきたが、自己中心的で自己擁護のためなら他人に苦労を担がせるところがあり、その実態を何度も目にしてきたという。それでも我慢して仕事をしてきたけれど、今度ばかりはねぇ、と溜息をついて、もう二度と仕事はしたくない、とビールを飲みながら私に不満をぶつけた。そりゃあ私だってゴメンだ。

 カナダGPのセバスチャン・ベッテルやル・マンのフォードGT勢のように、苦労した仕事で成績を出した後でそれを剥奪されたり無にされたりしたときの気持ちは、私の友人が経験したそれとは違うかもしれないが、いずれにせよ努力の結果を認められなかったという点では同じだろう。

 特に、被害者(と言い切ってしまっていいだろう)には落ち度がないということを考えると、痛みはより一層厳しく突き刺さる。ベッテルは行き場所がなくハミルトンの走路を妨害する形になり、フォードGTは燃料タンクの容量過多に泣いた。

 予選前後に車検を受けて合法であるという結果を得ていたフォードだが、なぜかレース後の車検でタンク容量が僅かに大きかった。レース前、故意に大容量のタンクに交換したわけではあるまい。しかし、ルールはルール。被害者は24時間懸命に走ったドライバーかもしれない。

 こうした不可抗力は、現場で働く者にとってこれ以上ない鉄槌であり、現実的な痛さに加えジワリと効いてくる内側からの鈍痛が長引くことで心がしおれてしまうことがある。ベッテルは2週間後に行われるフランスGPでカナダの痛みを消し去ることが可能だろうが、WECから撤退を発表したフォード勢には痛みは痛みとして永遠に残ることになる。

 話が少しずれるが、ル・マンにおけるトヨタTS050・7号車の痛みも相当なものだったに違いない。24時間レースの23時間をリードし、残り1時間でパンクによって勝利を逃がした。関係者にとればそれまでの23時間は何だったのだ、という怒りに似た思いが頭をもたげるはずで、ル・マンを嫌いになっても彼らを責められない。

 こうしてみると、世の中には数多くの落胆や怒りや鬱憤が存在し、我々は様々な機会でそれらを経験したり垣間見たりする。健康に良くないな。身体にとっても心にとっても。

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この記事について

シリーズ Le Mans , WEC , 編集長日記
執筆者 赤井邦彦