ホンダ・レーシングがF1で培った技術を注入。アキュラ、IMSA新投入のLMDh車両『ARX-06』の開発秘話を明かす
アキュラは2023年のIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権に投入するLMDh車両『ARX-06』には、ホンダ・レーシングがF1のパワーユニット開発で得た知見が生かされていると言う。ブレーキング時に発生する”奇妙な音”もその理由の一部だと明かした。

ホンダの米国レース部門であるホンダ・パフォーマンス・デベロップメント(HPD)のデビッド・ソルターズ代表は、2023年からIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権(IMSA)に投入する新開発のLMDh車両『ARX-06』の開発には、2022年のF1でダブルタイトルを獲得したレッドブル・レーシングにパワーユニット(PU)を供給する日本のホンダ・レーシング(HRC)が密接に協力してきたと明かした。
IMSA最高峰クラスとなるGTPに投入されるLMDh車両は、エンジンの仕様には選択の幅が持たされているものの、標準ハイブリッドシステムの搭載が義務付けられている。そうした面でも、HRCの知見が役立っているとソルターズは言う。
「我々はHRCの仲間たちと共に仕事をしているが、それはとても特別なことで、本当に特権的なモノだ」
ソルターズはそう語る。
「HRDにも何人か電動化の経験をもっている人はいるし、この(ハイブリッド化の)時が来ることは分かっていた。しかし、我々は常にグループを成長させようとしている。エネルギーマネジメントやそういったことを学ぶために、実際に何人かをF1プログラムに送り込んだんだ」
「その成果が現れるといいね。我々のグループリーダーで、日本に滞在し、F1プログラムにも参加したとても賢い人がいる。エネルギーマネジメントやハイブリッド化、電動化など、F1の仲間たちとは定期的にディスカッションを行なっている。本当に役立っているよ」
「正直言って、とても嬉しかった。会社が様々なモノに投資することで、様々な利益が得られるということを表す良い例だ」
デイトナで行なわれたプレシーズンテストでは、ブレーキング時のARX-06からは、ヘリコプターの羽ばたき音のような、BMWやキャデラック、ポルシェのライバルマシンとは明らかに異なる音がなっていた。
なぜARX-06がこのような音を奏でるのか、とMotorsport.comがソルターズに尋ねると、彼は次のように答えた。
「フレディー・マーキュリーが歌った様に『一種の魔法だ』!」
「ご想像の通り、我々は色々なことに挑戦している。それがこのマシンの面白さであり、未来なのだ。とてもクールなことだよね」
「ブレーキをかけたり、バッテリーを充電するために回生したり、エンジンブレーキをかけてみたり、ブレーキ・バイ・ワイヤーのシステムをコントロールしたり、これらが全てが不思議な音を立てているようだ」
「ブレーキや回生、ブレーキ管理など、あらゆる面で、パーツの保護に務めている。駆動系を振動させたくないから、こういったことをする時には、パーツを傷つけないようにイベントを計画する必要があるんだ」
「エンジンブレーキや回生、マシンマネージメント、そして電動化……これらが相まって、あのような音が出ているんだ。良いじゃないか! かなりカッコいいでしょ!?」
「意図的なモノだと言いたいところだけど、半意識的なモノなんだ。基本的には、今のところコーナーでエネルギー管理しているために起きることだが、おそらく今後も変わっていくと思う。それと同時に、何も壊さないように気をつけているんだ。それに音も最高だ」
ARX-06は、2023年1月末に開催されるロレックス・デイトナ24時間レースでデビューする予定だ。
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