アキュラ、ARX-06のカスタマー供給は今のところナシ！「複雑すぎて、ワークスでも苦労しているのに」

　IMSAウェザーテック・スポーツカー選手権でふたつのワークスチームを展開しているアキュラだが、マシンの運用が複雑すぎるため、カスタマーチームへの販売は考えていないようだ。

　アキュラはウェイン・テイラー・レーシング・ウィズ・アンドレッティと、メイヤー・シャンク・レーシングの2チームにLMDh車両である『ARX-06』を1台ずつ供給。それぞれにHPD（ホンダ・パフォーマンス・ディベロップメント）のファクトリーエンジニアがついているという体制だ。

　LMDh車両は共通のハイブリッドシステムを搭載している。そのため、WEC（FIA世界耐久選手権）で競い合っているLMH車両よりもカスタマーチームにマシンを供給するハードルが低いと考えられている。実際、ポルシェは『963』のデリバリーを開始している。

　しかしハイブリッドシステムやエンジンのソフトウェア開発はオープンな分、リセットが必要な誤動作やシステムの不具合も多発している。

　HPD代表のデビッド・ソルターズは、長期的に見てARX-06がカスタマーチームに販売される可能性を否定はしないものの、すぐにカスタマーチームの手に渡ることはないと考えている。

　ソルターズは「今、私の考えではこれはワークスレベルのクルマだ」と、ARX-06について語った。

「将来的にはカスタマーレベルに移行する可能性もあるが、個人的にはそれは何年か先のことだと考えている。我々はそれを評価し続ける必要がある。いわゆるカスタマーにも、非常に優れた人たちがいるんだ」

「我々でさえ、このクルマを走らせるのに苦労しているんだ！　それをカスタマーに渡すのは非常に骨の折れることなので、今のところそれはない。将来的には変わるかもしれないが、今はアキュラのためにいい仕事をし、ベストを尽くさなければならない」

　つまりそれは、アキュラがル・マン24時間を含むWECを走る可能性がさらに低くなることを意味するだろう。しかしソルターズは以前から、ル・マン挑戦について「かなり準備ができている」と話している。

「現時点ではワークスチームがあり、その参加を求めている」と、ソルターズは付け加えた。

「ある時点で、カスタマーにとってのビジネスケースになるかもしれない。しかし私の率直な感想は、今のところ複雑すぎるということだ」

「このクルマでカスタマー向けのサービスを提供するとしたら、それはまだ先の話だと思う。我々は、このクルマを使いこなそうとしていて、チームと協力してクルマを走らせるというビジネスを楽しんでいる」

「チームと一緒になって楽しみながら、あるいは苦しみながら、やっているところなんだ」

　アキュラは現在のパートナーとさらにエントリーを増やす可能性はあるのか、あるいはデイトナでマイケル・アンドレッティが提案した「今後数年でWECチームを走らせる」というウェイン・テイラー・レーシングの目標のひとつに従うことはあるのかと尋ねると、ソルターズはmotorsport.comに次のように答えた。

「率直に言って、それは彼らと我々が話し合うことだ」

「ビジネス面や、それにどう対処するかは我々の問題なんだ」