インディカー第15戦ワトキンスグレン決勝:ディクソン圧勝。最後は手に汗握る燃費勝負
インディカー第15戦の決勝はディクソンが圧勝。佐藤琢磨は最終周にスピンし、17位に終わった。

インディカーシリーズ第15戦ワトキンスグレンの決勝レースが行われ、スコット・ディクソン(チップ・ガナッシ)がポール・トゥ・ウインの完勝。最後は燃費競争になる中、ジョセフ・ニューガーデン(エド・カーペンター)が2位に入った。佐藤琢磨は7番手浮上を狙っていた最終ラップにスピンし、17位に終わった。
ディクソンがホールショットを決め、2番手をウィル・パワー(ペンスキー)が確保する。しかし1コーナーで3番手スタートのセバスチャン・ブルデーがスピン! その後方ではファン-パブロ・モントーヤ(ペンスキー)やジャック・ホークスワース(A.J.フォイト)、マックス・チルトン(チップ・ガナッシ)らが4ワイドになり、モントーヤがコースオフしてしまう。
ポイントリーダーのシモン・パジェノー(ペンスキー)が絶好のスタートを決めて3番手に上がり、11番手スタートのRCエナーソン(デイル・コイン)が6番手に浮上している。22番手スタートの佐藤琢磨(A.J.フォイト)も、すぐに16番手までポジションを上げている。
ディクソンは序盤ハイペースで走り、2番手パワーとの差をあっという間に4秒以上の差を築く。
8周を消化した時点で、佐藤琢磨が最初のピットインを行い、ブラックタイヤからレッドタイヤに履き替え、さらには燃料も追加している。後方スタートだったため、他者との戦略を変え、上位進出を狙っているのだ。翌周にはニューガーデンとホークスワースがピットインしている。ピットアウト直後、ニューガーデンがホークスワースをオーバーテイクする。続く10周目終了時点で、アレクサンダー・ロッシ(アンドレッティ・ハータ)、ライアン・ハンター-レイ(アンドレッティ)らもピットインした。
ディクソンはパワーに対する差をどんどん広げていく。そして13周目にはカナーンがパジェノーを交わして3番手に浮上する。
ディクソンは14周を走りきったところでピットイン。レッドタイヤに履き替える。
15周目、ミカエル・アレシン(シュミット・ピーターソン)がクラッシュ。左リヤタイヤがバーストしてしまったのだ。これでこのレース最初のフルコースイエロー(FCY)となってしまう。まだピットに入っていないパワーやカナーン、そしてパジェノーにとっては、まさに最悪のタイミングでのフルコースイエローとなってしまった。彼らは間も無く最初のピットインを迎えるはずだったのだ。
16周を走りきった段階で、ピットレーンがオープン。多くのマシンがピットに入る。このタイミングで佐藤琢磨も2回目のピットイン。これで琢磨は21番手まで落ちてしまう。
19周目からレース再開。先頭はディクソンなのは変わらずで、以下チルトン、モントーヤが続き、コナー・デイリー(デイル・コイン)が4番手に上がっている。佐藤琢磨は2台のマシンを交わして19番手に浮上する。
21周目、グラハム・レイホール(レイホール・レターマン・ラニガン)がクラッシュ。マシンのフロント部を大破させた。チャーリー・キンボール(チップ・ガナッシ)を追い抜きにかかった際に弾かれてしまったようだ。これで、このレース2回目のFCYが出た。
24周目からレースは再開。このイエローコーション中にピットインしたカナーンは、トーリンクが破損してピットイン。大きく順位を落とす。
ディクソンがまたも後続との差を広げていき、27周目にはチルトンとの差を6秒に。1周目に単独スピンを喫したブルデーが7番手に浮上している。
15番手まで戻っていた佐藤琢磨は、キンボールに対してブロックの違反があったとして審議になっていたが、キンボールに進路を許すことによってペナルティを逃れた。その琢磨は、各車が2回目のピットインを行った後、33周目が終わった段階でピットイン。コースに戻った際には14番手だった。
ディクソンは今回のレース、圧倒的な速さ。38周目を終えた段階で、2番手のモントーヤに対して15秒近い差を築いている。完全なひとり旅である。
39周目、パワーがキンボールと接触。キンボールは走り去っていったが、パワーはコース左のウォールにヒット。マシンを大破させ、ここでリタイアとなってしまった。チャンピオンを争いを繰り広げるパワーにとっては、非常に厳しい結果となってしまった。これでこのレース3回目のFCYである。
41周目終了時点で、ピットレーンがオープン。先頭のディクソンもピットに入ったが、タイヤ交換作業に手間取ったのか、順位を落とす。これで、カストロネベスが実質的な首位に浮上する。
このタイミングでピットインをしなかったカルロス・ムニョス(アンドレッティ)が先頭。佐藤琢磨が2番手につけた。43周目にレースが再開した際に琢磨はムニョスを攻撃したが、コースオフ。6番手まで順位を下げてしまう。ディクソンもあっさりと順位を上げていき、45周目までには先頭に返り咲く。マルコ・アンドレッティ(アンドレッティ)、ムニョス、カストロネベスと続く。
ただ、FCYの際にピットに入ったマシンは、60周レースのチェッカーまで走りきれるかどうか、ギリギリのラインだ。
48周終了時点で、5番手を走っていた佐藤琢磨がピットイン。ムニョスは49周を走りきった際にピットに入る。
ディクソンはカストロネベスに5秒の差をつけ、最後の10周に入る。佐藤琢磨はムニョスを抜いて15番手に浮上。
最後のFCYでピットインをしたマシンは、最後まで燃料をもたせるための省エネ走行。一方、琢磨、ムニョス、アンドレッティの3台は燃費の心配はないため、他車よりも圧倒的に速いペースで飛ばしていく。
54周目、パジェノーに無線が入る。
「イエローコーションがないと、燃料が足りない」
ほとんどのマシンは、やはり燃費が厳しいようで、ペースを落とす。そんな中、カストロネベスはピットイン覚悟で飛ばしていく。チルトン、キンボールのペースも速く、これらのマシンも追加のピットインを決意したようだ。
57周終了時点で、カストロネベスがピットイン。チルトン、キンボールらも入る。カストロネベスは5番手に、チルトンは13番手に落ちる。
佐藤琢磨は9番手に浮上し、ロッシを抜いて8番手。そして最終ラップに入り、7番手のパジェノーをかわそうとした際にスピン! 18番手まで落ちてしまう。
結局、ディクソンがトップでチェッカー。2番手を走っていたヒンチクリフは燃料が足りずに最終ラップ途中でストップ。ニューガーデン、カストロネベスがトップ3でフィニッシュした。チェッカーは受けることはできたものの、デイリー、パジェノーらも燃料が足りず、ピットに戻ることができなかった。
ディクソンが完璧な強さを見せた中、最後は燃費勝負。ペースを落として燃費走行に賭けた者、逆に飛ばしに飛ばしてもう一度ピットに入る者。その判断が分かれたのが、このレース最大の見所だったと言えるかもしれない。
IndyCar 2016 Watkins Glen
Cla | # | Driver | Laps | Time | Gap | Interval | Mph | Pits | Retirement | Points | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 9 | ![]() | 60 | ||||||||
2 | 21 | ![]() | 60 | 16.5308 | |||||||
3 | 3 | ![]() | 60 | 21.4417 | |||||||
4 | 18 | ![]() | 60 | 24.3349 | |||||||
5 | 11 | ![]() | 60 | 25.3815 | |||||||
6 | 83 | ![]() | 60 | 29.4268 | |||||||
7 | 22 | ![]() | 60 | 31.1118 | |||||||
8 | 98 | ![]() | 60 | 32.0710 | |||||||
9 | 19 | ![]() | 60 | 32.3965 | |||||||
10 | 8 | ![]() | 60 | 32.9478 | |||||||
11 | 26 | ![]() | 60 | 34.7869 | |||||||
12 | 27 | ![]() | 60 | 35.3813 | |||||||
13 | 2 | ![]() | 60 | 37.7024 | |||||||
14 | 28 | ![]() | 60 | 42.4644 | |||||||
15 | 20 | ![]() | 60 | 45.3829 | |||||||
16 | 41 | ![]() | 60 | 45.7584 | |||||||
17 | 14 | ![]() | 60 | 1'07.4937 | |||||||
18 | 5 | ![]() | 59 | 1 lap | |||||||
19 | 10 | ![]() | 59 | 1 lap | |||||||
20 | 12 | ![]() | 38 | 22 laps | Accident | ||||||
21 | 15 | ![]() | 19 | 41 laps | Accident | ||||||
22 | 7 | ![]() | 14 | 46 laps | Accident |