【インディカー】テキサス:大波乱の戦いはまさかの結末。パワー優勝

第9戦テキサスの決勝、大波乱のレースを乗り切ったウィル・パワー(チーム・ペンスキー)が優勝を果たした。

 インディカーシリーズ第9戦、テキサス・モーター・スピードウェイでのナイト・オーバルレースは、サバイバルレースを生き残ったウィル・パワー(チーム・ペンスキー)が今季2勝目を挙げた。

 ポールポジションはチャーリー・キンボール。彼をはじめとして、チップ・ガナッシは4台のマシンを予選トップ6に送り込んだ。佐藤琢磨(アンドレッティ・オートスポート)は8番手からのスタートとなった。

 戦場となるテキサス・モーター・スピードウェイは大規模改修がなされ、ターン1と2のバンク角が24度から20度になるなど、大きく変更されている。なお、今回ファイアストンは負荷が高い右側の耐熱性を上げたニュースペックタイヤを持ち込んだ。

 大きな混乱なく248周のレースがスタートすると、キンボールはポジションをキープ。琢磨はスタートを上手く決め、6番手にポジションアップした。

 インディ500での予選で負傷したデイル・コイン・レーシングのセバスチャン・ブルデーに変わり出場しているトリスタン・ボーティエの周辺でバトルが頻発。彼がミスをした際に琢磨がポジションを上げるが、ボーティエは琢磨を抜き返しトニー・カナーン(チップ・ガナッシ)と激しいバトルを繰り広げた。

 カナーンを攻略したボーティエは、14周目にアレクサンダー・ロッシ(アンドレッティ・オートスポート)、15周目にディクソンをオーバーテイクし2番手に浮上。

 16周目には、ボーティエはトップのキンボールとサイド・バイ・サイドでの走行となった。このタイミングで、琢磨は13番手までポジションを落としてしまった。ロッシも7~8番手まで後退した。

 トップが2ワイドになったことで、ペースが落ち先頭集団は一気に接近。キンボールとボーティエ、カナーンにジョセフ・ニューガーデン(ペンスキー)も加わってトップ争いを展開するが、29周目に遂にボーティエがラップリーダーに浮上した。

 2番手にニューガーデン、3番手にウィル・パワー(ペンスキー)がボーティエを追いかけ、独走を許さない。ボーティエは、今度はニューガーデンと並んでの走行となった。

 38周目、クラッシュが発生。3ワイドとなった際に、ミドルにいたロッシがバランスを崩し、アウトサイドのカナーン、インサイドのディクソンと軽く接触。そのままスピンし、ウォールにクラッシュしてしまった。

琢磨、ピットレーンでまさかのもらい事故

 ロッシのクラッシュでイエローコーション。ピットレーンがオープンとなり、全車がピットへなだれ込んだ。ここで、琢磨は不運なクラッシュに遭遇する。ピットアウトしたジェームズ・ヒンチクリフ(シュミット・ピーターソン)がピットレーン出口の手前でスピン。エリオ・カストロネベス(ペンスキー)に接触してしまう。そのカストロネベスが、ピットアウトした直後の琢磨の方に弾き飛ばされてきてしまい、両者がクラッシュ。マシンをピットレーンで止めてしまう事態となった。

 カストロネベスはなんとかすぐに動き出せたものの、琢磨はフロントウイングにダメージを負っており、その交換に時間がかかって周回遅れとなってしまった。ピットレーン出口に1番ピットボックスが近い、好条件だったはずの琢磨に思いがけない不運が襲ってきたという形だ。この件でヒンチクリフにはドライブスルーぺナルティが科された。また、このコーションの間にキンボールにエンジントラブルが発生し、リタイアとなっている。ニューガーデンはピットスピード違反でドライブスルーぺナルティが科された。

 49周目にレースはリスタート。パワー、ボーティエ、ディクソンというトップ3となった。トップのパワーに、ボーティエはアウトサイドから並びかけ、またしてもトップが2ワイドに。しかし徐々に息切れし、68周目までにシモン・パジェノー(ペンスキー)に抜かれ3番手となった。

 ピットレーンでのクラッシュに遭いながら、周回遅れにはならずに済んだカストロネベスはレースファステストを更新する猛烈な追い上げを見せ、5番手まで浮上した。ペナルティで周回遅れになったヒンチクリフは自力でリードラップに復帰しようと、2番手を走るパジェノーに並びかける”迷惑な”走りを見せた。

 91周目、猛烈に追い上げていたカストロネベスがクラッシュ。どうやらサスペンションが破損してしまったようだ。2回目のピットストップのタイミングが迫っていたこともあり、周回遅れのヒンチクリフと琢磨、そして直前にピットストップを済ませていたジョセフ・ニューガーデン(ペンスキー)以外の全車がピットに戻ってきた。琢磨はこのイエローでトップと同一周回に復帰することに成功し、17番手。ハンター-レイはピットストップ中にウイング交換を行い、16番手となった。

 レースは103周目にリスタート。パワーが先頭を守るが、8番手のエド・カーペンター(エド・カーペンター・レーシング)がスピンを喫し、再びイエローコーションとなった。幸い、カーペンターのマシンにはダメージがなかったが、19番手までポジションを落としピットでタイヤを交換した。後方にいるニューガーデンも、ピットイン。戦略がずれたカーペンターをフォローした形だ。

 109周目にレースが再開されると、2番手パジェノーにカナーンが襲いかかりオーバーテイク。そのままパワーに並んだが、リーダーチェンジまでは至らず、再び3番手に後退した。

 上位争いが膠着してきた中、139周目にターン2のデブリが原因で4度目のコーションが発生した。このコーションも各車がピットインのタイミングだったため、ステイアウトを選択したマックス・チルトン(チップ・ガナッシ)以外の全車がピットインした。琢磨は17番手でコースに復帰したが、マルコ・アンドレッティ(アンドレッティ・オートスポート)はトラブルか、ピットに残り最後尾の19番手となった。

多重クラッシュ発生、琢磨は8番手に浮上

 チルトンがステイアウトしたまま、148周目にレースがリスタート。タイヤが古いチルトンを抜き、パワーが先頭に躍り出た。すると、152周目にカナーンとヒンチクリフの接触をきっかけに多重クラッシュが発生した。これでボーティエやヒンチクリフを含め7台がリタイア。これを切り抜けた琢磨は8番手まで浮上した。

 これにより、レッドフラッグが掲示され155周でレースが中断。ピットレーンでマシンが並べられたが、22台中生き残っているのはわずか11台となった。

 31分間の中断の後、レースは再開。ピットがオープンすると、破片を踏んでいる可能性もあるため全車が強制的にピットインし、タイヤを交換することとなった。琢磨は8番手でポジションキープ。マルコ・アンドレッティはこのタイミングでリヤウイングを交換した。わずかに先にパワーが通過し、マルコは周回遅れとなった。

 160周目にグリーンフラッグ。トップを走るパワー以下、パジェノー、カナーン、ディクソン、ニューガーデンと続いたが、カナーンには多重クラッシュの原因となったとして、ピットで20秒ストップのペナルティが科せられ、2周遅れとなった。なお、カーペンターは赤旗中にマシンを修復し14周遅れの12番手でレースに復帰した。

 琢磨はオーバーテイクを成功させ、5番手に浮上した。その背後は周回遅れのチームメイト、マルコが壁となっている形だ。

 ニューガーデンが190周目にタイヤトラブルを抱えピットへ。その直後にイエローコーションが発生した。このコーションは、多くのマシンのタイヤにブリスターと呼ばれるトラブルが頻発したことによる強制タイヤ交換のためのイエロー。このピットアウトでディクソンがトップに躍り出た。琢磨は4番手をキープした。

 198周目のリスタートで前を狙った琢磨は、逆にスピードが乗らずニューガーデンの先行を許した。ディクソンもパワーにトップを明け渡した。4番手まで浮上していたニューガーデンだが、ディクソンのアウト側にマシンを置いたが、オイル処理の粉に乗って体勢を崩しクラッシュしてしまった。

 残り39周でレースがリスタート。ディクソンがパジェノーを交わし2番手に浮上した。琢磨もパジェノーのインに入ると、オーバーテイクを成功させ3番手となった。ディクソンのドラフトに入った琢磨は、アウトサイドからディクソンを競り落とし、そのままパワーのアウトサイドに並ぶが、インサイドにディクソンが飛び込み、再び琢磨が3番手となった。

 そこで、もう1度オフィシャルによるタイヤ交換のためのイエローコーションが出された。各チームのピット競争となったが、トップ3の順位は変わらず。

 残り20周、同一周回の10台がイコールコンディションでレースがリスタートし、超スプリントでの勝負となった。至る所で2ワイドでの走行があり、めまぐるしく順位が変動。乱気流の影響で何度か5番手に落ちるも、大胆なアウトサイドラインをとった琢磨は、パワーやディクソンと3ワイドになる場面もあるなど、トップ争いを展開した。しかし、残り5周というところでコース最内にある芝生に乗ってしまいスピン。アウトサイドにいたディクソンと接触。2台揃ってクラッシュとなってしまった。

 これでリードラップに生き残ったのはわずか7台。イエローコーションのままチェッカーフラッグが振られ、パワーが今季2勝目をあげた。

 2位には、レース中盤で大クラッシュのきっかけとなってしまったカナーン。3位はパジェノーとなった。琢磨は結局10番手でフィニッシュ扱いとなった。

インディカーシリーズ第9戦テキサス決勝結果

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この記事について
シリーズ IndyCar
イベント名 テキサス
サーキット テキサス・モーター・スピードウェイ
記事タイプ 速報ニュース