最終戦ソノマ:ギャンブル作戦のパジェノーが優勝。王者はニューガーデンに
最終戦ソノマが行われ、ペンスキーパジェノーが優勝し、同僚のニューガーデンがペンスキー1年目にして年間チャンピオンに輝いた。

インディカーシリーズ最終戦ソノマが行われ、ペンスキーのシモン・パジェノーが優勝し、同僚のジョセフ・ニューガーデンがペンスキー加入1年目にして年間チャンピオンに輝いた。
カルフォニア州に位置するソノマ・レースウェイ上空は、最終戦を飾るのに相応しい快晴に恵まれた。
予選でペンスキー勢に続くチーム最高位の5番手となった佐藤琢磨(アンドレッティ・オートスポート)は、最終戦ソノマのために白と黒を基調とし、ウイングなどに黄色のアクセントを施した特別カラーリングのマシンを持ち込んだ。
スタート後、ポールシッターのニューガーデンを先頭にペンスキー勢はスムーズに第1コーナーをクリアする。後に続く佐藤は背後から来たスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング)に交わされ、さらに同僚のアレキサンダー・ロッシとターン5で接触して片輪をトラックから外した。これにより8番手となった。
オープニングラップでジェームス・ヒンチクリフ(シュミット・ペターソン)がコースオフ。トニー・カナーン(チップ・ガナッシ・レーシング)とチャーリー・キンボール(チップ・ガナッシ・レーシング)はクラッシュして、早々にピットストップを行なった。
トップ4を占めるペンスキー勢は盤石の体制へ。ニューガーデンは好ペースを発揮して、ウィル・パワーとのギャップをじわじわと開いていく。
8番手につけていた佐藤は、6周目に右リヤタイヤがパンクチャーに見舞われた。佐藤は暴れるマシンを懸命に抑えるも、ピットを目指す間にホイールからゴムが外れかけてしまう。大きくスローダウンした佐藤はなんとかピットに辿り着きタイヤ交換を行なった。レースに復帰時に最後尾となり、前戦に続き不運のレースとなってしまった。
4番手のパジェノーが12周目にピットイン。今回のレースのピットウィンドウは29周前後であり、85周に渡るレースは3ストップが主流となる。想定よりも早くピットストップし、給油もそこそこにソフトタイヤを装着してコースに復帰したパジェノーはギャンブル要素の強い4ストップ作戦に出た。
15周目でロッシが通常ピットインを行うも、排気管のトラブルを抱えたため18周目で再びピットに戻る羽目に。チャンピオン候補であるロッシはその後レースに復帰するも、何度もピットインを繰り返して結局リタイアとなった。
その間、ディクソンがピットインを済ませてコースに復帰した。さらに18周目でニューガーデン、エリオ・カストロベネス(ペンスキー)、パワーらがピットインし、ハードタイヤへと履き替えた。
各車が一連のピットインが完了した時点で、パジェノーが2番手のニューガーデンに対し10秒差をつけてトップに立った。
グラハム・レイホール(レイホール・レターマン・ラニガン)を交わしたディクソンは5番手に浮上し、前のペンスキーたちを狙う。
30周目にパジェノーがピットイン。その10周後にカストロベネス、ディクソン、ライアン・ハンター-レイ(アンドレッティ)、次の周にニューガーデン、パワーらがピットインを行なった。
このレースで唯一4ストップ作戦を敢行するパジェノーは、ニューガーデンに25秒差をつけて実質トップに浮上した。上位勢が平均1分20秒台で走行するのに対し、パジェノーは1分19秒台をコンスタントに記録。2番手のニューガーデンよりも1回多くピットストップする予定のパジェノーは、タイム差を稼ぐために猛プッシュした。しかし、タイヤの磨耗が激しいのか3度目のピットストップを前に度々コースオフする姿が見受けられた。
48周目でパジェノーがピットストップ。ソフトタイヤを装着して、3番手でレースに復帰した。相変わらずの好ペースで、2番手のパワーをあっさりと交わす。
この時点でトップ3台が4番手のカストロベネスに10秒差以上つけており、その背後のディクソンとマルコ・アンドレッティ(アンドレッティ・オートスポート)、レイホールが1パックとなっている状況だ。しばらく順位の変動やバトルはなく、パジェノーだけがニューガーデンに接近してタイム差を縮めていった。
ディクソンが62周目でラストピットイン。翌周にニューガーデンとパワー、カストロベネス、アンドレッティらも続いた。アンドレッティ以外はソフトタイヤを装着して、コースに復帰した。
そしてパジェノーも64周目に最後のピットイン。事前の無線では全てソフトタイヤで戦うと宣告していたが、最後にハードタイヤを装着した。
パジェノーはちょうどニューガーデンの直前でレースに復帰。ニューガーデンはまだタイヤの温まらないパジェノーにクロスラインで仕掛けるも、パジェノーも断じて譲らないという態度で首位を守りきった。攻撃的な動きをするニューガーデンに対し、チームは「2位でもチャンピオンシップは獲得できる」と無線でなだめた。
トップ3のパジェノー、ニューガーデン、パワーはそれぞれ約1秒差で走行。トラフィックに引っかかりながらも悠々とレースを消化していく。その3台をもうひとりのチャンピオン候補である4番手のディクソンが猛追していた。
残り10周をきったところで周回遅れのカナーンがディクソンを手助けしてパジェノーをしばらく抑えたおかげで、3番手のパワーの2秒差まで詰めたディクソンだが、ペンスキー勢の好ペースについていくことができなかった。
結局パジェノーを先頭にペンスキーの3台が危なげなくフィニッシュラインを横切り、パジェノーが最終戦で今季2度目の優勝を達成。ニューガーデンは2位に入賞し、2017年のインディカーシリーズ・チャンピオンに輝いた。パワーは3位表彰台を獲得した。マニファクチャラーズランキングは6年連続でシボレーが優勝した。
パンクチャーに見舞われた佐藤はレース復帰後もペースを上げることができず、レース中盤でリタイア。直近のレースでトラブル続出の佐藤は最終戦も完走することができず、残念なシーズン締めくくりとなった。
2017年インディカーシリーズはこれにて閉幕。シリーズはこれから約半年ほどのロングバケーションに入る。
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この記事について
シリーズ | IndyCar |
イベント | ソノマ |
ロケーション | ソノマ・レースウェイ |
ドライバー | ジョセフ ニューガーデン , シモン パジェノー |
執筆者 | David Malsher |