波乱のレースでまさかの優勝! エリクソン「宙を舞って空が見えたのに勝てるなんて!」
インディカー第11戦ナッシュビルで優勝したマーカス・エリクソンは、4周目にマシンが空中に舞い上がるほどのクラッシュをしながらも、なぜ優勝できたのか不思議だと語った。
Marcus Ericsson, Chip Ganassi Racing Honda
Chris Owens
インディカーの第11戦、ナッシュビルの市街地で初開催されたミュージックシティGPは赤旗が2度、コーションが何度も出される波乱の展開となった。優勝したのは、序盤にクラッシュしてマシンを破損し、ペナルティを受けたマーカス・エリクソン(チップ・ガナッシ・レーシング)だった。
エリクソンはコーション中の4周目、セバスチャン・ブルデー(A.J.フォイト)に追突してしまった。衝撃でエリクソンのマシンはフロントが大きく持ち上がったが、ひっくり返ることなく着地した。
ブルデーはリヤサスペンションにダメージがありレースを終えたが、エリクソンは破損したフロントウイングを交換してレースに復帰。エリクソンはブルデーとの接触の責任を問われペナルティを受けたが、その後もクラッシュが多発したことや、リスタートでの大胆なオーバーテイクも功を奏してポジションを上げていった。
80周のレースが30周を消化した頃、トップを走っていたのはコルトン・ハータ(アンドレッティ・オートスポート)だったが、この日5度目となるコーションが出されピットインを済ませていなかった上位陣が相次いでピットに入ったことで、エリクソンが首位に浮上した。
プラクティスや予選で圧巻の速さを見せていたハータは、怒涛の追い上げで2番手まで浮上しエリクソンに迫ったが、エリクソンは燃料を節約しながらもハータを抑えた。
すると75周目にハータが痛恨のクラッシュ。2度目の赤旗が掲示された。残り2周でレースが再開されたが、エリクソンはチームメイトのスコット・ディクソンを従えてトップチェッカーを果たしたのだ。
「レース序盤に空を見て、レースが終わってしまったと思っていたのに、どうして優勝できたのか考えているところだ。信じられない、信じられないよ!」と、エリクソンは笑いながら話した。
「セブには申し訳ないことをした。あそこで彼らが加速すると思っていたんだ。この時点でレースは終わったと思った。その後、クルマを修理したらストップ&ゴーのペナルティを受けて最後尾になってしまった。そこから挽回しなくてはいけなかった」
「クルマにもあのフライトによるダメージがあったけど、できるだけ順位を挽回して15位以内に入ることを目標にしていたんだ……」
「その後、チームは戦略的に素晴らしい仕事をし、ピットストップも素晴らしかった。そして多くのアクシデントがあった……でも僕たちは必要なときにすべてを正しく行なうことができた」
「レース終盤、コルトンが僕の後ろにいた時は、彼を抑えつつもフィニッシュまでたどり着くために燃料をかなり節約しなくてはいけなかった。あれは僕のキャリアの中でも最も困難なチャレンジのひとつだったけど、彼を引き離してペースを維持できたことをとても誇りに思っている。そのおかげでレースに勝つことができた。彼は本当に一生懸命にプッシュしていたし、週末ずっと最速の男だった」
「でもあんなアクシデントの多いレースでは、また赤旗が出たり、簡単にはゴールできないだろうと思っていた。最後まで走りきって勝利を手にすることができて、とても嬉しかった」
エリクソンは、レースを振り返ってもなぜ勝てたのか分からないものの、本来なら予選でトップ6に入るだけのパフォーマンスはあったと説明した。
「どうやってここ(優勝)にたどり着いたのか、いまだに理解できていないけど、要は本当に速かったということだ。フリーエアを得たときも速かったし、他のクルマを抜く時も速かったし、燃料を節約する時も速かった……」
「予選ではQ1で壁に接触してサスペンションを壊してしまい、そのせいで後方(18番手)からのスタートになってしまった。本来なら、ファスト6に入るべきだったと思う」
「でも、インディカーでは何が起こるか分からない。これまでもそうだったし、今日もまた決してあきらめず、常にプッシュし続け、信じ続けることが大切だということが分かった。僕たちのように強力なチームがあれば、どんなことでも可能なんだ」
エリクソンはドライバーズランキング5番手。今回の優勝でポジションを上げてはいないものの、4番手のジョセフ・ニューガーデン(チーム・ペンスキー)との差は4ポイントに縮まった。ポイントリーダーにはアレックス・パロウ、ランキング2番手のディクソンも42ポイント差で続いており、チップ・ガナッシは4台中3台がランキング上位に名を連ねている。
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