【独占】インディカー転向のミック・シューマッハーに聞く。F1との違いには慣れた? 今後活躍していく自信は?……人間性まで徹底深掘り
今季からインディカー・シリーズに参戦しているミック・シューマッハー。序盤戦を終えての課題や展望を聞いた。
Mick Schumacher, RLL Racing
写真:: Perry Nelson / Lumen via Getty Images
これまでF1やWEC(世界耐久選手権)に参戦してきたミック・シューマッハーは、今季からインディカー・シリーズに戦いの場を移した。ルーキーシーズン最初の4レースを終え、一度もトップ10に食い込むことはできていないが、オーバル、ロードコース、市街地の全てを経験した。
motorsport.comの独占インタビューの中でシューマッハーは、インディカーへの適応、レースウィークでの最大の課題、F1との違い、そして今シーズンの目標や計画などについて語った。
——WECからインディカーへと転向し、再び“1人で乗る”環境に戻った感覚は?
「すごくいい。本当に楽しんでいる。シンプルに言うと、妥協をしない環境で自分の作業に集中できる、というのが一番しっくりくる表現だと思う」
——先入観を持ちたくはないので率直に聞きたいが、インディカーに来てから最も大きな気付きは?
「これまで自分が経験してきたレースとは、週末の組み立て方がかなり違うと感じる。例えば金曜日はプラクティスが1回だけで、土曜日は非常にタイトなスケジュールだ。つまりFP1の後に決めたセットアップを、予選までに大きく変える時間がほとんどない。金曜から土曜にかけてどんな変更をするか、かなり正確に判断する必要がある。それは日曜日に向けても同じことが言える」
「つまり、FP1の段階でマシンをできるだけ完璧に近い状態に仕上げ、それで週末を通して戦うことになる。そこは一番強く感じていて、アプローチや変更の選択肢、そして週末の時間配分を把握することに努めている」
F1とインディカーの違い
Mick Schumacher, Rahal Letterman Lanigan Racing, Romain Grosjean, Dale Coyne Racing
Photo by: Penske Entertainment
——私はF1も数回取材したが、ほとんどをインディカーの取材に費やしてきた。両者の間には“どちらか優れているか”などといったある種の分断があると感じるが、F1とインディカーは人々が思うよりも共通点があるのだろうか? それとも分断が起こって当然なくらい両者はかけ離れているのだろうか?
「全体としては確かに似ている部分はある。ただ、ドライバーとマシンの関係性という点では、かなり違う」
「インディカーでは、基本的にドライビングスタイルに合わせてマシンを調整しようとする。一方F1では、チームごとの哲学があって、かなりデータ主導で進められる。データ上で最も速いと判断された方向に、基本的には合わせていく傾向がある」
「正直、インディカーのやり方はとてもポジティブだと感じている。ドライバーにとって自然な形になるし、そのやり方に合わせていく作業はとてもやりがいのあるものだった」
——要するに、常にエンジニアの哲学に合わせるのではなく、ドライバーの哲学に合わせたアプローチができると。
「その通りだ。例えばヨーロッパでは、僕は新しいものに適応したり順応したりするのが得意だった。だから一見するとそれは強みのように思えるけど、ここでは必ずしもプラスにはならない。マシンを調整しても、僕自身は“その前のクルマ”に合わせた状態になってしまっているからだ」
「だから重要なのは、自分とマシンのフィーリングや哲学をしっかり擦り合わせること。過去の状態に合わせて自分が変わってしまうのではなく、一貫性を保ち、その上でマシンを自分に合う方向へ調整していく必要がある」
インディカーのルーキーとして直面する課題
Mick Schumacher, Rahal Letterman Lanigan Racing
Photo by: Penske Entertainment
——君はF3やF2で、学びの段階からトップ争いに加わるまでそれぞれ2年をかけた。インディカーでも同じような時間軸になると考えているのか?
「そうかもしれない。F3やF2の場合は、そう見えた背景にはまた別の要因もあったけど、インディカーの場合はやはりコースを知らないことが大きい。他のドライバーたちはフリー走行でマシンのセットアップや細かい調整に集中できる中、僕はまず10〜15周を習熟に充てなければいけない。この15周は本来とても貴重なんだけど、今の自分には余裕がない」
「だから、もしかすると少し時間はかかるかもしれない。まあ、このカテゴリー自体がある意味かなりニッチでもある。ここにいる多くのドライバーは、このクルマを何年も運転してきていて、その扱い方をほぼ極めている。最近ハイブリッドの導入で多少の変化はあったとはいえ、車両自体は16年ほど大きく変わっていない。これは非常に長い期間だ。F1やこれまで僕が参戦してきたカテゴリーでは、同じ車両が4年以上使われることはほとんどなかった」
「確かに時間はかかるかもしれないけど、一回でも良い週末が送れると変わるとも思っている。直近のレースでは不運もあった。オーバルでは予選自体は良かったけど、初めてのオーバルでいきなり前方グリッドからスタートするのは簡単ではなかった。それにピットでのタイヤガンのトラブルもあったしね。それでも、どのレースもペース自体はトップ10を争うドライバーたちと同等だった」
「だから今後は素晴らしい未来が待っていると思っている。あとは時間の問題で、すべてをうまく噛み合わせて、本来得るべき結果をしっかり手にするだけだ」
——色々な人から話を聞く限り、君のプロフェッショナルな姿勢は興味深い。ただその分、自分にプレッシャーをかけすぎている部分はないだろうか? 楽しむこととのバランスはどう考えている?
「ふたつの側面があると思う。まずヨーロッパのレースはとても厳しい環境で、生き残る術を学ばなければならない。そして僕の場合、生き残るための方法は“誰よりも努力すること”だった。もちろん他の人がどれだけ努力しているかは分からないけど、少なくとも自分はどんな状況でも自分ができる最大限の努力をするようにしてきた。ここに来ても、その考え方は変わっていない。もしそこで気を緩めてしまうと、必要な緊張感がなくなり、自分のパフォーマンスが落ちると感じているからだ」
「繰り返しにはなるけど、僕はこういったサーキットを走ったことがない。トップの人たちと戦うためには倍の努力が必要なんだ」
インディカーは「とても楽しい」
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Photo by: Penske Entertainment
——これまで様々なマシンを経験してきた中で、インディカーはどのくらい楽しい?
「僕はレースが大好きだ。それがすべての楽しさの源なんだ。だから、楽しんでいないというわけではない。インディカーでレースをするのは本当に楽しいし、競争のレベルも非常に高い。うまくいったときの満足感もとても大きく、残りのシーズンもすごく楽しみにしている」
「もちろん、アーリントンのようなところに行くと、とにかく路面がバンピーでカルチャーショックのようなものを感じる時もある。それも、インディカーの楽しさや魅力の一部だと思う。もちろん、改善できる部分はあると思うから、ヨーロッパのレース経験も活かして、安全面などの改善について何か貢献できる立場にもなれると思っている。良い点悪い点を共有して、このカテゴリーをより良くしていければいいと思う」
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