ホンダのF1で培った技術が、インディカーにも活きる? 2023年からハイブリッド導入
ホンダのインディカー・プロジェクトを担うホンダ・パフォーマンス・デベロップメントのデビッド・ソルターズ社長は、2023年インディカーに導入されるハイブリッドシステムについて、サードパーティから共有される”共通”コンポーネントとなるものの、エンジニアリング面では簡単なことではないと語る。
Alex Palou, Chip Ganassi Racing Honda
Geoffrey M. Miller / Motorsport Images
インディカー・シリーズは、2023年からハイブリッド・システムを投入することを予定している。当初これは2022年から導入される予定だったが、新型コロナウイルスの影響により1年延期された。
このハイブリッドシステムは、現行のエンジンメーカーであるホンダやシボレーがそれぞれ独自に開発するものではなく、サードーパーティから供給される”共通”コンポーネントを、それぞれのメーカーのエンジンに組み合わせるというモノで、900馬力を発生することになる予定だ。またこれに伴い、排気量は現在の2.2リッターから2.4リッターに引き上げられる。
世界中の自動車メーカーは、ハイブリッドを通り越し、すでに電動化への道を進んでいる。そんな中、これからハイブリッドシステムを採用するインディカーは、世の中の動きに遅れているのではないか? そう尋ねられたホンダのインディカー・プロジェクトを担うホンダ・パフォーマンス・デベロップメント(HPD)のデビッド・ソルターズ社長は、次のように語った。
「それは電動化に関連するテクノロジーだ。かなり興味深いと思う」
そうソルターズ社長は語った。
「我々のエンジニアとも関連している。我々の会社は、既にいくつかの素晴らしいハイブリッドカーを作っている。だから、そのスキルを活用することができるはずだ」
「それにはふたつのことがある。我々はハイブリッドに移行するが、現在はバイオ燃料であるE85……つまり85%がエタノールの燃料でレースをしている。それについても学習を進めているんだ。そのことについても非常に楽しみだ」
前述の通り、インディカーで採用される予定のハイブリッドシステムは、サードパーティ製だ。つまりHPDにかかる負担はごく限られたモノになる。逆を言えば、ホンダのような企業にとっては開発の機会が少なく、参戦を続けるメリットが少ないというようにも感じられる。しかしソルターズ社長曰く、そのことはホンダにとってもフラストレーションではないという。
「我々はそれを手助けしている」
そうソルターズ社長は語る。
「それをしっかりと機能させることは、全ての人の興味に繋がるんだ」
「ご存知の通り、供給を受けているテクノロジーはたくさんある。その多くはそれを統合し、連携させることが重要なんだ。それは間違いなく、課題の一部分であると言える」
「まだやるべきことがあり、学ぶべきモノもたくさんある。それはエンジニアにとっていいことだ。何らかの方法で、電動化の要素を付け加えていく必要がある。それはエンジニアが学ぶ上での手助けになるだろうし、それを統合してシステムを最大限に活用する方法を考えることに繋がるだろう」
ただHPDは、このプロジェクトを独自に進めていくわけではないようだ。HPDは、ホンダのF1プロジェクトで培ったノウハウを、インディカーに活かそうとしている。現在ホンダのF1テクニカル・ディレクターを務める田辺豊治は、F1を担当する以前はHPDに在籍し、インディカーのプロジェクトを率いる立場だった。
ホンダはF1のプロジェクトを今季限りで終了させるが、そうなればそのリソースを、インディカーにも振り分けることができるようになるという。
「ハードウエア自体の仕様は少し違いますが、既に連携を始めています」
田辺テクニカルディレクターはそう語った。
「ホンダのF1プロジェクトと、ホンダのインディカーのプロジェクトの間では、技術面でのやりとりが行なわれています。一部の人たちは情報を共有し、開発にも共に取り組んでいます」
これについてはソルターズ社長も、次のように語った。
「田辺さんが言ったように、我々は一緒に働く」
「我々には、週ごとに行なわねばならない優先順位がある。しかし、コミュニケーションを図っていく。我々はどちらもホンダだし、コミュニケーションを図っていくんだ。それを行なうための良い方法もある」
「F1では、電動化の面で途方もないことを学習してきたということは、容易に想像できる。我々はそれを共有しようとしているのだ。我々はエンジニアの集団であり、女性だろうが男性だろうが、チームは志を同じにしている。だから可能な限り共有するつもりだ」
「我々は自分たちの仕事に取り組む必要がある。今回のことで我々はかなり忙しくなるだろうが、情報を共有し、話し、そして意見を共有するための良い方法があるんだ」
「それがホンダの素晴らしいところだと思う。我々は皆同じ会社の下にあり、アメリカとヨーロッパの両方で戦っている……それは非常に珍しいことだ」
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