まさかの結末。ブルデー2年連続大逆転優勝。琢磨は貰い事故で12位
2018シーズンの開幕戦セントピーターズバーグの決勝が行われ、セバスチャン・ブルデー(デイル・コイン)が2年連続の大逆転優勝を飾った。

2018シーズンのインディカー・シリーズ開幕戦セントピーターズバーグの決勝が行われ、大波乱のレースを乗り切り、セバスチャン・ブルデー(デイル・コイン)が2年連続で大逆転優勝を決めた。
雷雨の予報もあったものの、前日の予選とは異なり快晴のセントピーターズバーグ。昨シーズン限りでシリーズフル参戦からは引退した、エリオ・カストロネベスのスタートコマンドでエンジンが始動された。
スタート直後にいきなり波乱の展開が待っていた。1コーナーでポールポジションのロバート・ウィケンス(シュミット・ピーターソン)を狙ったウィル・パワー(ペンスキー)がスピンを喫し、ウォールに接触してしまった。また、6番手スタートだったライアン・ハンター-レイ(アンドレッティ・オートスポート)は加速が鈍かったためにピットに飛び込み、再スタートを切った。
トニー・カナーン(A.J.フォイト)はザック・ビーチ(アンドレッティ・オートスポート)と接触したためにコース上で立ち往生するが、なんとか走行再開。昨年の開幕戦ウイナー、ブルデーはデブリを踏んでパンクを喫し、緊急ピットインを行った。さらに、チャーリー・キンボール(カーリン)がコースオフしたことでフルコースコーションが出された。
レースは6周目から再開。ここでジョーダン・キング(エド・カーペンター)がウィケンスを捉え、先頭に躍り出る。しかしグレアム・レイホール(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)とスペンサー・ピゴット(エド・カーペンター)が1コーナーで接触し、ピゴットが動けなくなってしまったため、またしてもイエローが出された。
佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)はスタートの波乱を切り抜け、5番手をキープ。リスタートの際にはアレクサンダー・ロッシ(アンドレッティ・オートスポート)に飛び込まれ、6番手となっている。ロッシは一気に3番手までポジションを上げた。
11周目に2度目のリスタートを迎えると、ウィケンスがキングからトップを奪還。トップに立ったウィケンスは、一気に2秒以上のリードを広げた。ロッシの攻撃を受けるキングは彼を追うことができず、13周目にロッシの攻略を許している。ロッシはウィケンス以上のハイペースで、徐々にリードを削り取っていった。
4番手を走行していたマテウス・レイスト(A.J.フォイト)だが、15周目にギヤトラブルが発生しスローダウン。この煽りを食ってしまったジェームス・ヒンチクリフ(シュミット・ピーターソン)も失速してしまう。この隙を見逃さなかった佐藤がポジションを上げることに成功し4番手となった。
20周前後でピットインを行うマシンが続々と出始め、佐藤は22周終わりでピットインを行った。ピットストップを25周終わりまで引っ張ったウィケンスは、先にピットに入っていたロッシを抑えてコースに復帰し、ピット戦略が異なる数台のマシンをロッシとの間に挟むことに成功した。
トラブルを抱えながらなんとかレースを続けていたレイストだったが、29周目にクラッシュを喫してしまい、このレース3度目のフルコースコーションが出された。
34周目にレース再開。佐藤はディクソンをオーバーテイクし、ピットストップ後に失っていたポジションを取り戻した。しかしその翌周、1コーナーで止まりきれなかったディクソンが佐藤に突っ込む形に。両者はスピンを喫し、リードラップ最後尾までポジションを落とすことになってしまった。この件で、ディクソンにはピットスルーペナルティが科されている。
39周目にレースが再開されるがグリーンは長くは続かず、最終コーナーでジャック・ハーベイ(マイケル・シャンク)のタイヤがパンクしクラッシュしたことで、このレース5度目のコーションとなった。
5度目のリスタートは46周目。ウィケンスがレースをリードしロッシ、マルコ・アンドレッティ(アンドレッティ・オートスポート)が続いた。佐藤のマシンは幸い問題がないようで、11番手につけた。
3番手のアンドレッティはレッドタイヤがタレてしまったかペースが上がらず、ウィケンスとロッシがリードを広げていく展開。アンドレッティはたまらず53周目にピットイン、佐藤もこのタイミングでピットに入っている。ピットストップウィンドウは約30周。残りあと1回のピットストップで走りきれるタイミングだ。
ロッシとの差を徐々に広げていたウィケンスは、60周終わりでピットイン。タイヤ交換で多少のミスはあったものの、2周遅れてピットに飛び込んだロッシに対して十分なギャップを保って前をキープした。
ピットストップ回数を減らすべく、燃費走行を行うブルデーの後ろにウィケンスが引っかかり、7秒まで広がったギャップを徐々にロッシが詰めていった。ブルデーは残り32周というギリギリのタイミングでピットイン。これで前が開けたウィケンスは再びペースを上げていった。ブルデーは実質3番手でコースに復帰した。
残り30周を切り、各車が続々と最後のピットインを行っていく。ウィケンスはおよそ3秒のリードでトップを守るが、ロッシが自己ベストを連発しプレッシャーを強めていった。
ロッシは残り18周目にウィケンスのテールに張り付いた。しかしそれまでにタイヤを多く使ってしまったようで、少しずつマシンのリヤをスライドさせており攻めきれない様子だ。
ウィケンスの前には周回遅れが出始め、デビューウィンへの障害となるか注目されたが、これで逆にロッシが集中力を失ってしまったか、ブレーキをロック。からくもクラッシュを免れたがタイヤにダメージを負ってしまった。
これでレースは決着かと思われたが、残り8周でコーション発生。ルネ・ビンダー(フンコス・レーシング)がウォールに突き刺さってしまい、レース6度目のコーションが出された。
残り4周から最後のリスタート。ウィケンスはロッシを抑え1コーナーを抜け、トップをキープした。ところがマックス・チルトン(カーリン)がウォールにクラッシュしたことで、再びイエローが出されてしまった。
もう1度リスタートが切られたが、1コーナーでウィケンスのインに飛び込んだロッシが挙動を見出し、外側にいたウィケンスと接触。弾かれたウィケンスがクラッシュを喫してしまった。これにより、レースはコーションのまま終了となった。
優勝したのは燃費走行で優勝を掴み取ったブルデー。1周目にデブリを踏んでパンクを喫した彼は、通常とは異なる戦略を採っていたが、これが功を奏し2年連続の大逆転優勝を飾ることとなった。昨年のインディ500で大怪我を負い、シーズンの大半を棒に振ったブルデーは復活を飾る優勝に涙を浮かべた。
2位にはブルデーとほぼ同じ戦略のレイホール。そしてロッシは3位でフィニッシュ。ウィケンスをクラッシュさせた件で審議にかけられたものの、お咎めなしだった。4位にはヒンチクリフが入っている。
佐藤は12位でフィニッシュ。ディクソンに当てられる前にはヒンチクリフの前にいただけに、悔しい結果となった。
この記事について
シリーズ | IndyCar |
イベント | セント・ピーターズバーグ |
ロケーション | セント・ピーターズバーグ市街地コース |
執筆者 | 松本 和己 |