

シュミット・ピーターソン・モータースポーツのオーナーであるサム・シュミットは、大クラッシュに見舞われたウィケンスの復帰を願い、オーバルコースにはバリアの追加をすべきだと主張している。
シュミット・ピーターソン・モータースポーツのオーナーのひとりであるサム・シュミットは、大クラッシュに見舞われ負傷したロバート・ウィケンスの復帰の可能性について率直にコメント。オーバルの安全性については変化を望むと語った。
31歳にしてビジネスマンからレーサーに転身し、インディカーに参戦していたシュミット。しかし2000年にテスト中に大クラッシュを喫し脊髄を損傷、なんとか一命を取り留めた。ただ、四肢に麻痺が残ってしまいドライバー生命を絶たれることになった。
それでも彼は車椅子の闘将と呼ばれるフランク・ウイリアムズに倣い、自らチームを設立。チームオーナーとしてインディカーに戻ってきた。
先週末のポコノでは、皮肉にも彼のチームのドライバーであるウィケンスが大クラッシュに見舞われてしまった。ウィケンスは胸椎の固定手術を受けたが、脊髄損傷の有無やその重症度はまだ分かっていない。
手術とリハビリがうまくいき、ウィケンスが復帰できると思うかと訊かれたシュミットは、次のように語った。
「そう思うし、そう信じている。私はロビー(ウィケンスのニックネーム)を約1年しか知らないが、彼はレースが人生の一部であり、本当にインディカーを楽しんでいる。インディカーの雰囲気とレースの質を好んでいたし、とてもうまく適応していた」
「彼が自分に競争力があると思ったならば、復帰してくるのは間違いないだろう。彼は大きな挫折を克服することができるタイプの人物だ」
2011年のラスベガスでダン・ウェルドンがこの世を去ったクラッシュ以来、2014年のミカエル・アレシンや2015年のジェームス・ヒンチクリフなど、大きな事故から立ち直ってきたチームだが、ウィケンスのクラッシュがチームの士気に大きなダメージを与えているとシュミットは語った。
「我々のチームが、最も立ち直りの早いチームでなければならないことに、うんざりしている」
「チームの誰もが情熱を持っており、お金のために働いているわけではない。我々はレーサーであり、毎回勝ちたいんだ」
「ロビーはルーキーにも関わらず、すでにその一員となっていた。チームの他の人々の士気を上げられるような、才能のあるドライバーだ」
「しかしそれこそが、今の状況をさらにつらいものにしている」
SAFERバリアの高さを増やすべき
ウィケンスの事故以来、アメリカのモータースポーツ界や各レーストラックは、高速でインシデントが起きマシンが宙を舞うような事態に備え、キャッチフェンスに代わる対策を模索している。
また、フェンスではコースの外側に小さな破片が網目を通り、フェンスの両側にデブリが飛び散る可能性もある。
プレキシガラスと呼ばれる、アクリル樹脂でできた壁が適切だとの意見もあるが、シュミットは解決策は明らかだとコメント。すでに導入され、実績のあるSAFERバリアの高さを増やすべきだと話した。
「何を導入すべきかは明白だ」
「私はそれを、2011年にダンが亡くなってから言ってきた。私は、解決策もないのに文句を言ったり変更を求めることは、好まない。それに私が答えだと言うつもりもない」
「しかしそれ以来、私が言ってきているのは、スタジアムがなく観客の視線に支障が無いところでは、SAFERバリアの高さを2倍にするべきだということだ」
「おそらくそれは、短期的な解決策だ。しかしSAFERバリアはテストされているし、プレキシガラスの場合はマシンがトラックに押し戻されると懸念している人もいる」
「ロビーのアクシデントや、NASCARも含めたその他の事故のリプレイを見直すと、もう3フィートSAFERバリアが高ければ、フェンスがマシンを粉々にすることなく、コース内に留めただろう。長期的な解決策になるかも分からないし、必要になる投資のレベルも分からない」
「しかし観客の問題にならないターンでは、何かをする必要があるのは間違いない」
この記事について
シリーズ | IndyCar |
ドライバー | ロバート ウィッケンス |
チーム | Schmidt Peterson Motorsports |
執筆者 | David Malsher |