インディカー デトロイト・レース2:パワーが久々の勝利。琢磨トップ10フィニッシュ
インディカーデトロイト戦のレース2が行われ、ウィル・パワーが昨年のインディGP以来久々の勝利を飾った。
写真:: Art Fleischmann
ポールポジションからスタートするのは、シモン・パジェノー(ペンスキー)。2番手ライアン・ハンター-レイ(アンドレッティ)。上位勢は無難なスタートを決めるが、後方では多重クラッシュが発生。これは、チャーリー・キンボール(チップ・ガナッシ)の動きに端を発するもので、佐藤琢磨(A.J.フォイト)もこれに巻き込まれ、フロントウイングを交換している。マックス・チルトン(チップ・ガナッシ)とジェームス・ヒンチクリフ(シュミット・ピーターソン)はこれでストップしている。
5周目からレース再開。佐藤琢磨はしっかり同一周回で戻り、15番手までポジションを回復している。
レース再開後はパジェノーが快調に逃げる展開。ハンター-レイに対して1.5秒近い差をつけて逃げていく。
佐藤琢磨は10周を走りきったところでピットインし、ブラックタイヤを装着する。翌11周終了時点で、アレクサンダー・ロッシ(アンドレッティ・ハータ)もピットイン。フロントウイングも交換する。
レース1で勝利を収めたセバスチャン・ブルデー(KVSH)も、12周終了時点でピットイン。グラハム・レイホールもこれに続いている。
先頭グループは、軒並みレッドタイヤを装着しているが、10周を超えた頃からデグラデーションが顕著になってくる。これで、ブラックタイヤを履いているファン-パブロ・モントーヤ(ペンスキー)がウィル・パワー(ペンスキー)を交わし、ミカエル・アレシン(シュミット・ピーターソン)も攻略する。モントーヤはこれで6番手。彼はブラックタイヤを履いているマシンのうち最上位であり、その効果を活かしてどんどん上位に迫っていく。ただ、スコット・ディクソン(チップ・ガナッシ)をなかなか抜くことがきず、このポジションのままレースが進んでいく。
しかし23周目に両者が接触。モントーヤはフロントウイングを壊し、ディクソンはリヤにダメージだ。これでふたりはピットに入り、大きく順位を落とす。ただ、このピットインは、燃費から考えてもまずまずのタイミングで、トップのパジェノー始め、上位勢も翌24周目から続々とピットインしていく。
ひと通りピットインが完了した時点で、トップはパジェノー。早めのタイミングでピットインしていたトニー・カナーン(チップ・ガナッシ)とブルデーが2番手と3番手につけ、エリオ・カストロネベス(ペンスキー)がハンター-レイを交わして4番手に上がっている。佐藤琢磨は12番手である。
カナーンとブルデーは、パジェノーに徐々に迫っていき、33周目にはその差がほとんどなくなっていく。パジェノーは完全な燃費走行か? 琢磨は31周目終了時点でピットインすると、多くのマシンも続々とピットに入っていく。
しかし34周目にモントーヤが単独でクラッシュ。右側のウォールに左リヤを激しく打ち付けてしまっている。これでフルコースイエローとなり、隊列が縮まる。カナーン、マルコ・アンドレッティ(アンドレッティ)、ロッシらがここでピットに入る。
40周目からレースは再開。カストロネベスがパジェノーに並びかけるが、パジェノーはなんとかこれを抑える。41周目、再びカストロネベスが並びかけ、今度はオーバーテイクに成功。これでカストロネベスがトップに。パジェノーのペースは上がらず、カストロネベスがどんどん差を広げつつ逃げていく。
ただ、ふたりのラップタイムは徐々に逆転。パジェノーは徐々にカストロネベスに近づいてくる。そして49周を走りきったところでパジェノーがピットイン。ハンター-レイも入ったが、カストロネベスはステイアウトする。
しかしその直後、ジャック・ホークスワース(A.J.フォイト)がコース上にストップ。ピットインをしていないドライバーにとっては、最悪の展開である。特にカストロネベスはもう燃料がほとんどないはずで、ピットが開くタイミングまで燃料が持つのかすら、心配されるところだ。佐藤琢磨はこの直前にピットインしており、彼にとっては最高のタイミングのコーションだったと言えよう。
ピットレーンがオープンになると、すぐさまカストロネベスがピットイン。しかし、一気に15番手まで順位を下げてしまう。ブルデーやキンボールら先頭の4台はコースに留まる戦略。リスタート後飛ばしに飛ばし、後続との差を開いてからピットインするつもりなのだろう。
53周目からレース再開。グリーンフラッグ直後、パワーがパジェノーを交わし、最後のピットインを終えたマシンの中でトップに立つ。佐藤琢磨はカナーンに抜かれてしまい12番手だ。
先頭のブルデーは、力のかぎり飛ばして逃げ、後続との差をできる限り広げる。ブルデーのペースは圧倒的で、ただひとり1分14秒台だ。そして59周を走り終えた時点でピットイン。タイヤを交換せず、給油のみを行って、佐藤琢磨の直前の10番手でコースに復帰する。イエローコーション前に前方を走っていたカストロネベスが14番手にいることを考えれば、この戦略は成功だったと言っていいだろう。
これで先頭はパワー。パジェノーを1.5秒離し、ひとり旅の状態である。パジェノーとハンター-レイも自己ベストを記録してパワーを追うが、なかなか差が詰まっていかない。
最終ラップ、パジェノーが一気に1秒以下まで差を詰めるが届かず、パワーがトップチェッカー。パジェノーが2位、3位ハンター-レイの順でフィニッシュしている。最終ピットを引っ張る作戦に出たブルデーは8位。佐藤琢磨は10位でのフィニッシュとなった。
パワーは昨年のインディGP以来の、実に久々の勝利。レース2もレース1に引き続き、戦略がモノを言う結果だった。ホンの少し展開が違っていれば、カストロネベスなどその他のドライバーに勝機が舞い込むという結果になった可能性もあるだろう。
インディカーシリーズ2016 - デトロイト - Race 2
P. | Driver | Team (Engine) | Time |
---|---|---|---|
1 | Will Power | Penske (C) | 1:42:22.2672 |
2 | Simon Pagenaud | Penske (C) | +0.9203 |
3 | Ryan Hunter-Reay | Andretti (H) | +1.4711 |
4 | Josef Newgarden | Carpenter (C) | +2.4602 |
5 | Scott Dixon | Ganassi (C) | +3.1575 |
6 | Conor Daly | Coyne (H) | +7.1263 |
7 | Tony Kanaan | Ganassi (C) | +11.3012 |
8 | Sébastien Bourdais | KVSH (C) | +12.9361 |
9 | Marco Andretti | Andretti (H) | +26.4201 |
10 | Takuma Sato | Foyt (H) | +27.7105 |
11 | Graham Rahal | Rahal (H) | +28.0410 |
12 | Alexander Rossi | Andretti-Herta (H) | +28.5507 |
13 | Gabby Chaves | Coyne (H) | +29.2530 |
14 | Helio Castroneves | Penske (C) | +29.6631 |
15 | Carlos Muñoz | Andretti (H) | +30.4879 |
16 | Charlie Kimball | Ganassi (C) | +30.6922 |
17 | Mikhail Aleshin | Schmidt (H) | +1:10.5229 |
18 | Spencer Pigot | Carpenter (C) | +3 laps |
19 | Jack Hawksworth | Foyt (H) | +22 laps |
20 | Juan Pablo Montoya | Penske (C) | +37 laps |
21 | James Hinchcliffe | Schmidt (H) | +70 laps |
22 | Max Chilton | Ganassi (C) | +70 laps |
(C) = Chevrolet, (H) = Honda
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