F1の夢を諦めない名取鉄平、選手権首位のSFライツでさらなる高み目指す「まだ満足いくレースができていない」

スーパーフォーミュラ・ライツのポイントリーダーである名取鉄平は、今後のレースキャリアで再び海外に挑戦するチャンスを掴むためにも、圧倒的なレースを展開したいと考えている。

名取鉄平 Teppei Natori (B-MAX RACING TEAM)

名取鉄平 Teppei Natori (B-MAX RACING TEAM)

Masahide Kamio

 5月に行なわれたスーパーフォーミュラ第3戦オートポリスではジュリアーノ・アレジが初優勝を飾って話題をさらったが、そのアレジが主戦場とするスーパーフォーミュラ・ライツ(SFライツ)でポイントリーダーに立っているのが、B-MAX RACING TEAMの名取鉄平だ。

 名取はここまで行なわれたSFライツの8レースで5勝を挙げ、68ポイントを獲得。ランキング2番手のアレジに27ポイント差をつけている。結果だけを見れば順風満帆なシーズンを送っているように見える名取だが、本人曰くここまでのレース内容には納得できていないようだ。

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「確かに勝ってはいますが、満足の行く内容のレースが一度もありませんでした」

「予選で引き離してもレースで詰められるという展開が多かったです。それは後半戦に向けての課題かなと思います」

 そう語った名取。裏を返せば、純粋な速さに関しては現時点で誰にも負けない自信があるということでもある。

「(速さに関して)自信はあります。ただ、これはクルマのおかげでもあります」

「去年もSFライツに参戦していましたが、去年の所属チームは自社エンジンを積んでいたということもあって、ストレートで10km/h遅いということがありました。しかしクルマ(チーム)が変わって走り初めのテストでトップタイムを出せたので、僕自身何かが変わったというよりも、クルマが速いというところが大きいと思います。速いクルマに乗れば速く走れるんだなということが再確認できました。あとはクルマの状態が良くない時にどうアジャストするかが重要なので、ドライバーとして成長しないといけません」

 名取は2018年、日本のFIA F4で現アルファタウリF1の角田裕毅とタイトルを争い、翌2019年に渡欧。カーリン・バズ・レーシングからFIA F3に参戦したが入賞1回にとどまった。そして2020年から日本に戻ってSFライツ参戦をスタートさせたが、今季はホンダのドライバー育成枠から外れてしまった。

 FIA F3時代に名取のチームメイトだったのは、フェリペ・ドルゴビッチとローガン・サージェント。彼らもこの年、名取と同じく上位入賞を果たせなかったが、ドルゴビッチは翌2020年からFIA F2のシートを獲得して現在はトップコンテンダーのひとりに成長。サージェントも2020年に強豪プレマのシートを得てFIA F3でチャンピオンを争った。

「(ドルゴビッチやサージェントが)活躍してる一方で、僕は(日本に)帰ってきてから活躍できていないので。そこは悔しいです」と名取。

「ただ正直、ドルゴビッチやサージェントとチームメイトだった時、速さの面で彼らに対してそれほど劣っていたとは思いません。逆にスパではチームメイトに勝っています。こればかりはしょうがないと思いますが、自分的には劣っていないと思いますし、ドライバーとしてのレベルも同じだと思っています」

 名取としては、チャンスさえあれば再び海外のフォーミュラ選手権に参戦し、彼らと再び同じ土俵で戦いたいと思っている。もちろん自分自身の意向だけでどうにかなる話ではないため、「それはあまり現実的ではない」と語る名取だが、まだF1の夢は諦めずに持ち続けている。

「僕としては、F2や(FIA)F3といった海外のレースに出たいです。ただ、それは先ほども言ったように僕の要望だけでどうにかなることではないので、現実味はあまりないかもしれません。もし日本でレースをするならば、スーパーフォーミュラで走りたいです」

「日本の場合、どうしてもメーカーの意向などもあります。海外に挑戦するならば億単位のお金がかかりますし……そこは正直20歳の僕がどうにかできることではありません。あとはタイミングが合うこと、周りの人たちを納得させることが重要です。そのためにはまず結果を残すことが重要だと思っています」

「(F1の夢は)諦めたら、頑張る理由がなくなっちゃいます。だから1%でも可能性が残っているなら、そこを目指したいです」

 今は非常に良い環境でレースができていると語る名取。今シーズンの残りレースについて、「チームの皆さんに恩返しをするつもりで頑張ります」と力強く締めくくってくれた。

 

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