KYOJO CUP
“弁護士ドライバー”から見た女性限定KYOJO CUP。フォーミュラ導入で脚光浴びる中、選手の「契約トラブル回避」に向け仕組みづくりを
フォーミュラカー導入後初のレースを無事終えたKYOJO CUP。滞りなく開催できたことに安堵する声もある中、今後のさらなる発展に向けては、参戦ドライバーの契約トラブル等を未然に防ぐための仕組みづくりが必要だとする声も聞かれた。
戎井健一郎
公開日時: 2025/06/10 3:30
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山本龍
写真:: KYOJO CUP
5月11日に開幕戦が行なわれた女性限定シリーズのKYOJO CUP。今年からフォーミュラカーに車両がスイッチされて注目度も高まっていたことから、記念すべき最初のレースが無事終了したことに安堵する声も聞かれた。
「第1戦が終わって、関係者の皆さんはすごくホッとされているのだろうなと思いました。私の知り合いでも、グリッドにマシンが並んでいるのを見てちょっと涙が出たと言っている方がいて……そのくらいの気持ちで皆さんやられていたのだと思います」
そう裏話を明かしたのは、参戦ドライバーのひとりである山本龍。弁護士の顔も持つキャリアウーマンであり、KYOJO CUPではお馴染みのひとりだ。VITAでの最終年となった昨シーズンはランキング7位に入った実力者でもある。
山本龍
写真: KYOJO CUP
KYOJO CUPはフォーミュラ元年の今年、非常に心強いパートナーが多数参画している。特にTOYOTA GAZOO Racing(TGR)はその支援を拡大し、参戦ドライバーの約半数である9名をサポート。TOM'SやTEAM IMPULといった国内名門チームの名を背負っての参戦を可能としている。
またスーパーフォーミュラのプロモーターであるJRPもパートナーとなっており、開幕前にはTGR、JRPの協力でメディアトレーニング、メンタルトレーニング等の研修を開催するなど、スーパーフォーミュラとKYOJOが併載される7月富士大会を前にして連携は進んでいるようだ。
「(研修は)その分野の第一線の方を呼んでいただいているので、色々勉強になるなと。お金だけのスポンサーシップではなく、人の繋がりも使ってドライバーを育てていこうとされていて、関係者の方々のご苦労が目に浮かぶようです」と山本は言う。
「レースが面白くないと注目度も高まらないですし、そのためには乗っているドライバーがきちんとレースができないといけませんから、そういう意味でも素晴らしい取り組みだと思います」
参戦ドライバーのひとりでありながらも、どこかシリーズ全体を俯瞰したようなコメントも印象的な山本。彼女自身は社会人経験も豊富だが、10代の若いドライバーも多く参戦するKYOJO CUPにおいては、契約トラブル等のリスクを回避するための仕組みづくりも大切になるだろうと述べた。これは弁護士の山本らしい視点と言える。
写真: Motorsport.com Japan
モータースポーツは言うまでもなく、競技コストが非常に高い『カネのかかるスポーツ』である。そのため金銭関係のトラブルは珍しいことではない。それは「悪人に騙された」といった極端なケースに限らず、車両破損時の対応や“ドタキャン”時の対応などを契約上で詰めきれておらず、それがトラブルに繋がったり……。山本の耳にも、様々な話が聞こえてくるのだという。
これらは当然ながらKYOJOに限った話というわけではないが、山本は今後若い女性ドライバーが様々なカテゴリーで活躍できるようになるためにも、契約時の注意事項をリストアップして共有するなどの対策があれば良いだろうと語った。
「今のKYOJO CUPには国内のトップカテゴリーで活躍するチームが入ってきたことで、ドライバーがある程度守られている部分があります。ただ、KYOJOで注目されて他のカテゴリーのオファーを受けた時に何か揉め事が起こる、そんな可能性も否定はできません」
「当然、これらはKYOJOに限った話ではありません。やはり事前にお金のことなどをしっかり決めておくべきなのですが、では決めるにあたって何がスタンダードなのか、どういう項目をチームと決めておけばいいのかなどのチェックリストがあるといいなと思いますね」
山本龍
写真: KYOJO CUP
「今は若いドライバーも増えていますが、高校生は契約なんか交わしたことがないでしょうし、大学に行ってアパートを借りる時の賃貸借契約にサインするのが人生初の契約という方が多そうですよね(笑)。そういう人たちがリスクに気付かないままレースを走って、後で揉めるということを避けるためにも、その辺の指針のようなものがあると良いですよね」
「レースをやってみたいと思っている若い方もたくさんいると思います。そういう方たちがどういうやり方でレース活動をしていけばいいのか、もう少し分かりやすくなればいいですね」
近年注目を集める女性のモータースポーツ。発展途上の今だからこそ、選手を守る仕組みづくりも同時並行で求められていくだろう。
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