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走行感覚とラップタイムの差が掴めず……トヨタ8号車の中嶋「このままでは大変」

中嶋一貴がドライブするTOYOTA GAZOO Racingの8号車は、2020年ル・マン24時間レースの予選で3番手となった。しかしレベリオンにも先行されてしまう結果に中嶋は、「このままでは大変」と危機感を露わにした。

#8 Toyota Gazoo Racing Toyota TS050: Sébastien Buemi, Kazuki Nakajima, Brendon Hartley

#8 Toyota Gazoo Racing Toyota TS050: Sébastien Buemi, Kazuki Nakajima, Brendon Hartley

Rainier Ehrhardt

 新型コロナウイルス感染拡大の影響で、通常の6月から9月に開催がずれ込んだ、2020年のル・マン24時間レース。その予選では、小林可夢偉らがドライブするTOYOTA GAZOO Racingの7号車がポールポジションを獲得。中嶋一貴らがドライブするTOYOTA GAZOO Racingの8号車は、レベリオン・レーシングの1号車にも先行され、予選3番手だった。

「予選ではポールポジションを獲れませんでしたが、正直に言って予選のことを考えられるような状況ではありませんでした」

 予選後、中嶋はそう語った。

「ポールポジションを獲るとポイントもついてくるので、獲れれば良いなという想いはありました。でもどれだけタイムが出るかなど、不確定要素が多すぎて……ポールポジションどころじゃなかったですね」

「実際に走っている感触とラップタイムの差が、いまひとつ把握できなかったんです。レベリオンの前にはいきたかったですけどね……でも今は、レースに向けてどうやっていくのかということが大切です。このままでは大変です。色々とおさらいしなければいけないことがたくさんあります」

 今年のル・マンは、例年以上に難しい要素がたくさんある。まずは天候だ。

「レースは雨になるという予報もあります。だからといって、雨用のセッティングだけすればいいというモノではありません。雨でも晴れでも、どちらでも行けるようにしなきゃいけない……だからセットアップは難しいですね」

 そしてコロナ禍により、スケジュールは例年よりもかなり圧縮。ファンイベントなどはないものの、短い期間に多くの走行セッションが詰め込まれている。中嶋曰く、これも大変だという。

「去年までのル・マンと比べてスケジュールがびっしりと詰まっており、正直疲れました」

 そう中嶋は語る。

「いつもの年はイベントが多いので、それもまた疲れます。でも今年はスケジュールが詰まっているので……昨日(木曜日)の朝から今日(金曜日)まででもう1レース終わってしまったような感じです」

「しかもここまで順調にきているわけではないので、レースまでに一度スイッチを切ってやり直さなきゃいけないと思っています」

「今年のクルマは空力パッケージもまったく新しいので、色々と確認することも多かったんです。9月は6月に比べて夜が長く、レースではその分リスクが高まります。セーフティカーや赤旗のリスクもあるかもしれません。最後まで気を抜かないで戦い切ることを心がけないといけませんね」

 中嶋は昨年、一昨年のル・マン24時間レースを連覇中。今年のレースには3連覇をかけて挑むことになる。そのため彼のヘルメットには、”18”、”19”と、ル・マンを制覇した年の数字が記されている。

 この日会見に応じたチーム代表の村田久武は、この中嶋のヘルメットについて「18年と19年の優勝者だというプライドがある証拠だ。一貴はそういうところを見せないドライバーだが、今年も必ず優勝して、そこに20という数字を付け加えたいんだろう」と語っていた。

 しかし当の中嶋は、飄々と次のように語った。

「ヘルメットに18、19という数字が描かれていますけど、デザインはプロの方にすっかりお任せしています。僕の方から、その数字を入れて欲しいとは言っていないんです。もちろん、3連覇できれば嬉しいですよ」

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