ブエミ&中嶋一貴ル・マン3連覇。「僕らは他の車よりも運に恵まれている」
2020年のル・マン24時間レースは、トヨタの8号車が総合優勝。中嶋一貴とセバスチャン・ブエミは、これでル・マン3連覇を成し遂げることとなった。8号車のクルーが、勝利の喜びを語った。

2020年のル・マン24時間レースがフランスのサルテ・サーキットで行なわれ、セバスチャン・ブエミ、中島一貴、ブレンドン・ハートレー組の8号車TOYOTA GAZOO Racingが合計387周を走り、総合優勝を果たした。ブエミと中嶋は、これでル・マン24時間3連覇である。
【ギャラリー】トヨタ3連覇! 2020年ル・マン24時間を振り返る
8号車トヨタは、レース序盤でパンクやブレーキダクトの問題に見舞われ、2度の緊急ピットイン。これで10分をロスすることになった。しかしその後追い上げを見せ……最多周回を走り切ってみせた。2位に入った1号車レベリオン・レーシングとは5周差である。
なお今回のレースは、2016年から使われてきたTS050 HYBRIDにとって、最後のル・マンということになった。
「TS050 HYBRIDでの最後のル・マンで勝つことができたことは格別ですし、3連覇達成というのも素晴らしいです」
中嶋一貴は、チームのプレスリリースにそうコメントを寄せた。
「我々の今日のレースは浮き沈みの激しい展開でしたが、7号車のクルーも含め、全員が本当に素晴らしい働きをしました。どういうわけか、我々は他の車よりも運に恵まれているようです」
「7号車がトラブルに見舞われたときは、TOYOTA GAZOO Racingとしてレースに勝つことが全てだったので、その後はとてもタフなレースになりました。それだけに勝利を達成することができ、このチームの一員でいられたことが本当に嬉しいです」
チームメイトのブエミも、ル・マン3連覇を喜んだ。
「最高の気分です。チームメイトと、そしてチームがこの様な素晴らしい成果を成し遂げてくれました」
ブエミはそう語る。
「ここル・マンでは、レースの流れはあっという間に変わります。レースが始まったときは、スローゾーンのタイミングやタイヤのパンク、ブレーキ冷却のトラブルなど、あらゆる災厄が私に襲いかかってきているように感じました。しかしその後、突然状況は好転して我々は首位に立ち、まもなく後続に5周差をつけるまでになりました。今年のル・マンは、レースは最後まで何が起こるか分からないということを改めて教えてくれました」
なお昨シーズン限りでチームを離れたフェルナンド・アロンソの後任として8号車に加入したのが、ハートレーである。ハートレーは2017年にポルシェのマシンを駆ってル・マンに勝ったことはあるものの、トヨタでは初の出走で勝利を収めるという形となった。
「チームメイトと、チーム全てを誇りに思います。このチームに加わったばかりの時は、学習の連続でした。セブ(ブエミ)と一貴のおかげで、この複雑なレースカーを速く走らせることができるようになりました」
そうハートレーは語る。
「今日は序盤、幾つかのトラブルに見舞われましたが、支えてくれた最高のメカニックやエンジニアのおかげで、その後は完璧なレースでした。全てが上手く行き、TOYOTA GAZOO Racingには本当に感謝しています」
このレースの結果により、8号車トヨタは、僚友7号車をポイント数で逆転。7ポイント差をつけ、首位に躍り出ることとなった。これにより2019-2020シーズンのWEC(世界耐久選手権)タイトル争いは、最終戦バーレーンまで持ち越されることになった。
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