近年で最も苦しいル・マンとなったトヨタ、首脳陣も「完敗」「力不足」と総括。挑戦者の立場でパフォーマンスアップを目指す
2025年のル・マン24時間レースで厳しい結果に終わったTOYOTA GAZOO Racing。チーム首脳陣の中嶋一貴と小林可夢偉は、今回トヨタはライバルに対し「力不足」であり「完敗」であったと総括。2026年に向けて、どのようにして車両のパフォーマンスを上げていくか考えていく必要があるとした。
写真:: Marc Fleury
2025年のル・マン24時間レースは、TOYOTA GAZOO Racing(トヨタ)にとって非常に厳しいレースとなった。好調フェラーリ勢らと比べてペース面で劣り、そこにペナルティやトラブルも重なったことが苦境に拍車をかけた。結果は7号車が5位、8号車が15位(フェラーリ50号車の車検失格で1ポジション繰り上がり)。トヨタが1台も表彰台に乗れなかったのは、2017年大会以来だ。
悔しい結果に終わったル・マンを終え、チーム代表で7号車のドライバーも務める小林可夢偉と、8号車のドライバー平川亮、そしてTOYOTA GAZOO Racingヨーロッパ(TGR-E)の中嶋一貴副会長が日本メディアの取材に応えた。
「率直に、かなり厳しいレースになりました」と振り返るのは小林。特に今回は、不運やトラブルはあれど、GR010ハイブリッドのパフォーマンスがライバルと比べて十分ではなかった点が何より大きいと話した。
「クルマのパフォーマンスに関しても、思い切り走れるクルマではなかったこともありますが、それ以上にパフォーマンス面で劣っている部分がたくさんありました。無理をしないとタイムが出ない、でも無理をすると限界が来てしまう……というスパイラルの中戦っていました」
「完璧と言えるレースができなかったとはいえ、例えできていたとしても、優勝争いはできていなかったと思うし、表彰台もかなり厳しかったと思うので、率直に今年のル・マンは力不足で、自分たちのアプローチが足りなかったと認識しています」
「とはいえ、このまま負けているわけにもいかないので、来年のル・マンでどのようなアプローチやチャレンジをすべきか、早めに決断して動き出そうと思います」
今回のレースは、10番手スタートの8号車が早々に上位争いに加わり、セーフティカーによって各車のギャップが縮まった際には、ピットタイミングの妙で首位を走る時間帯もあった。しかしペースの振るわない8号車は徐々に後退していき、5番手走行中のレース終盤、ピットアウト直後に左フロントタイヤのナットが外れるトラブルに見舞われた。その後タイヤが脱輪し3輪状態となり、ドライバーの平川は慎重にマシンをピットに持ち帰って足回りの部品を交換して復帰したが、完全に勝負権を失う事態となった。
このトラブルについて中嶋副会長は、「ホイールをハブに留めるための部品に不具合が出たことが直接的な原因です。ただ、どうしてそれが起こったのかは精査しないといけません」と説明した。
そして自身のスティントでトラブルに見舞われた平川は、すぐに修復をして復帰した点ではチームの強さを見せられたものの、全体的にライバルに及ばず悔しいレースになったと振り返った。
「終始ペースがあまり良くなく、どちらかというとミスなく淡々と走ることに専念するような展開になりました。スタート直後からペースがないことは明らかでしたが、その中でやれることに集中していました」
「自分が乗っている時にタイヤが外れるトラブルが出て戦線離脱となってしまいました。その後チームが諦めずに修復し、15分くらいでレースに復帰できた点ではチームの強さを示せたかなと思いますが、ライバルに全く及ばず悔しいレースになりました」
「この借りは来年のル・マンで返したいと思うので、チームとミーティングをして、何ができるのかをしっかり考えていきたいです」
また中嶋副会長は、マシンのポテンシャルを限界以上に引き出さなければいけないという現状が、上記のトラブルに限らずレース全体の問題の遠因になったのではないかと述べた。
「僕が個人的に感じているのは、ドライバーやメカニック、エンジニアが限界ギリギリ、むしろ限界を超えるぐらいまでプッシュしなきゃいけないほどパフォーマンス差があったことが、間接的に問題の原因になった部分もあったのではないかということです」
「ただ平川が言ったように、チームもそういうトラブルを目にした瞬間はガッカリしたかもしれませんが、集中力を切らさずに最小限の事件でクルマを直してくれた……そこはチームとしてまだまだ気持ちが折れていないことを示してくれたと思います。これからもそういったことを地道に続けていくしかないと思います」
「正直、今はもう僕たちがベンチマークではなく、フェラーリやポルシェがベンチマークになってくると思います。自分たちはこれから完全な挑戦者の立場で、学んでいかなければいけないこともたくさんあります。そうすることで、もっと良いクルマを作っていかなければいけません」
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