開催迫るル・マン24時間、中嶋一貴「難しさは僕が1番分かっている」

シェア
コメント
開催迫るル・マン24時間、中嶋一貴「難しさは僕が1番分かっている」
執筆: 松本 和己
2018/05/29 10:21

ル・マン24時間レース開催を控え、TOYOTA GAZOO Racingがプレスカンファレンスを行い、中嶋一貴と小林可夢偉が意気込みを語った。

 5月29日、TOYOTA GAZOO Racingが東京・池袋でプレスカンファレンスを行い、トークショーに中嶋一貴と小林可夢偉が登壇。2週間後に決勝レースを控えるル・マン24時間レースに向けて意気込みを語った。

 2016年、ル・マン制覇という悲願をほぼ手中に収めながらも、残り3分でトラブルによりマシンストップを喫したトヨタのTS050 HYBRID。2017年は雪辱を晴らすべく3台体制でリベンジに挑むも、接触やトラブルが続発しまたも涙を呑んだ。

 ライバルだったポルシェが撤退した2018年は、LMP1クラスにはプライベーターの参戦が増えたが、マニュファクチャラーとしてはトヨタのみがエントリー。”次の100年もクルマを楽しくする”ため、WEC参戦を継続しているトヨタにとっては、ル・マン制覇に向けて負けられない年だと言えよう。

 そんなトヨタ陣営にとって大きな変化といえるのが、世界3大レースの制覇を目標としていると公言しているフェルナンド・アロンソの加入だ。彼と同じ8号車に乗る中嶋は”耐久モード”のアロンソはすでにチームに溶け込んでいると話した。

「彼が乗るということを聞いて僕もびっくりしたんですけど、いい意味で彼が入ってきても僕らのチームの雰囲気は変わっていません。彼もその一員としてすごく良く溶け込んでいますし、クルマ以外の話もワイワイやりながら話していますよ。F1での印象とは全く違って、彼にも耐久レース用のモードがあるんでしょうね」

 一方、小林はゲームが大得意だというアロンソの意外な一面と、開幕戦のスパの舞台裏を明かした。

「アロンソが意外な一面を見せまして、ゲームがすごく上手いんですよ。レースゲームとサッカーゲームなんですけど、ゲームで大会に出られるくらいの腕前のホセ・マリア・ロペスを秒殺KOだったんです。ステアリングコントローラーじゃなくてですよ」

「スパでは、僕たちが走っている間にアンソニー(デビットソン)がずっとゲームをしていて、そこに加わったフェルナンドがアンソニーのタイムを更新して、負けじとロペスも頑張ってと和気あいあいでしたね」

 TOYOTA GAZOO Racingの今年のテーマは、コースレコードを記録した”速さ”と24時間のレースを走りきる”強さ”を併せ持つこと。あらゆる部品の徹底的な見直しに加え、テストから昨年の戴冠を阻んだ大きな要因である人為的なミスを減らし、トラブル対応力の向上に取り組んでいる。

 予期せぬトラブルに対してチーム全員が素早く対処できるよう、テスト中にはセンサーを取り外して走行したり、3輪でコースに出て行くなどの”避難訓練”的なトレーニングを実施。小林も中嶋がひとりでマシンのフロントセクションを取り外していた場面を目撃したという。

「トラブルが発生した時に、なんとかしてピットに戻ってこないと勝負権がなくなってしまいます。特に今年のレースはいかに最後まで走り切れるかが重要だと思うので、そのための準備にできることは全てやっています」と中嶋。

 小林も「3輪でコースインするなんて、よくサーキットも許してくれたなと思いますし、周りから見たら何をしているんだと思われるかもしれないです。でもそういう時でもクルマを壊さずに帰ってくる。そんなテストは普通やらないですけど、そこまで本気でやっているということを理解してもらいたいなと思います」と語った。

 ハイブリッドシステムを搭載するトヨタのTS050と非ハイブリッドのプライベーターたちのパフォーマンスのバランスを取るため技術均衡値(EoT)が設定されるが、現時点ではル・マンのためのテスト分までしか発表されていない。

 そのため、スパではプライベーターを圧倒したトヨタ勢だが、陣営としてはまだまだ油断はしていない様子。ドライバーふたりは、しっかりと戦いきって良い結果を掴みたいと、ル・マン24時間に向けての意気込みを語った。

「今年勝たないでいつ勝つんだと当然思われていると思いますが、プライベーターのクルマも非常に手強い相手になると思います。それほど簡単なレースではないと思っていますし、24時間レースを問題なく戦い切ることの難しさを誰よりも分かっているつもりなので、しっかりと地に足をつけてその上でワンツーという結果を届けられるように頑張ります」(中嶋)

「ル・マンは、ライバルがいなくても戦う相手がいるんです。去年より速く、トラブルもなくしっかりと24時間を走り切るということが本当の意味でのチャレンジです。信頼性を上げて挑むとは言っていますが、多少なりとも去年よりクルマは速くなっているんですよね。その速さで、今年こそ24時間を走り抜けて、結果的に表彰台の一番上を目指すというのがドライバーとしての仕事だし、チームとしては(優勝が)一番高い壁なので、それを達成できるようにやっていきたいなと思います」(小林)

次の記事
テニス界の英雄ナダル、今年のル・マン24時間レースでスターターを担当

前の記事

テニス界の英雄ナダル、今年のル・マン24時間レースでスターターを担当

次の記事

ポルシェGTE、今年のル・マン24時間でレトロカラーリングを復刻

ポルシェGTE、今年のル・マン24時間でレトロカラーリングを復刻
Load comments

この記事について

シリーズ Le Mans
イベント ル・マン24時間レース
ロケーション Circuit de la Sarthe
執筆者 松本 和己