WECトヨタ、”3輪走行”を練習!? ル・マンに向けトラブル対策進める

トヨタは、ル・マン24時間制覇を磐石なものにすべく、あらゆるトラブルへの対処法をシミュレートし続けている。

 悲願のル・マン24時間レースに向けて準備を進めているトヨタ。トラブル対応力の向上を目指し、アラゴンでのテストではフロントタイヤを1本失った”3輪状態”も想定して走行を行ったという。

 ポルシェが世界耐久選手権(WEC)から撤退し、LMP1クラスに参戦する唯一のマニュファクチャラーとなったトヨタ。今年は、プライベーターチームからの挑戦を受けて立ちながら、初のル・マン制覇を目指すことになる。

 チームは今年のル・マン24時間レースに向けた準備を万全なものにすべく、予想外のトラブルへの対応力強化に取り組んできた。

 先月アラゴンで行われた耐久シミュレーションでは、フロントホイールを片方失っている状態でマシンがコースに送り出された。これは、もし同じような状況がレースで起こった場合に備えて、チームが対処法を学ぶためのテストの一環だったという。

 TMG(Toyota Motorsport GmbH)のテクニカルディレクターであるパルカル・バセロンは、次のように語った。

「アラゴンでは3つの車輪で1周を走り、ピットにマシンを持ってくるようにチームに頼んだ」

「例えばフロントのディファレンシャルに問題が発生したような場合に、追加で発生するトラブルについて理解することができる」

 さらにバセロンは、以前のテストでリヤタイヤを取り外して同様のテストを行ったことを明かした。

 トヨタはこれまで、手が届きそうになりながらもル・マン制覇を逃してきた。大差でリードしていた2014年は、残り9時間を残し電気系トラブルによりリタイアを喫した。2016年はポルシェを1分半リードしていたが、残り6分の時点でターボ系トラブルが発生しマシンストップ。目前に迫った勝利が夢と消えた。

 2017年は、ル・マン必勝を期して3台のTS050HYBRIDを投入。予選では7号車の小林可夢偉がコースレコードを叩き出すなど、速さはあった。しかしLMP1クラスのマシンにトラブルが続出。クラッチに問題を抱えた7号車はピットに戻れずリタイア。8号車はフロントアクスルモーターのトラブルにより修理に時間を要した。

 総合優勝をしたポルシェの2号車にもトラブルは出たが、結果として修復時間の短さが功を奏した形だ。2号車と8号車の周回数の差は9周。時間にして30分弱の差だ。

「これまでと同じような走行距離は必要なかったので、マイレージを犠牲にしてトラブルへの対処を通じてチームを鍛えた」とバセロンは説明した。

「イレギュラーなことも、今やそれほど例外的な事件ではない。しかしいうまでもなく、レース中のストレスとアドレナリンが、新たな困難を引き起こす可能性はある」

 バセロンによれば、今年のトヨタはこれまでに20~25の問題をシミュレートしてきたという。

 その中には、ドライバーに知らせずに全てのラジオ通信を切り、ドライブシャフトの故障をシミュレートするというケースも含まれていた。

 また、バセロンは2016年の優勝を失う結果となったターボ系の問題は、1年後には問題にならなくなっていたと明かした。TS040に搭載されていたV8自然吸気エンジンを止め、V6ターボエンジンを開発するという決定が遅れたことが、問題発生の原因だったと彼は説明した。

「ル・マンで、エンジンはとてもうまく機能していた。全てがうまくいっていた。しかしターボからインタークーラーにつながるパイプに問題が発生した時、システムがそれを処理できず、完全にパワーを失ってしまったのだ」

「もし今同じことが起こっても、システムがすぐにこれに対処する。通常なら3分20秒のラップタイムだが、4分でサルト・サーキットを走れる」

「これは、どれだけよく準備できているかに結果が左右されるという良い例だと言える」

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この記事について
シリーズ Le Mans , WEC
チーム Toyota Gazoo Racing
記事タイプ 速報ニュース